『バクマン。』 91 ページ 「票と表」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 30 号)
ご存じのとおり、『バクマン。』はマンガ家を描いたマンガです。
そのため、メタな視点からの読み方──つまりは、「マンガ家の視線から見た──マンガ業界のバクロ」として読んでいる人も多いでしょう。たしかに、出版業界の暗部を、本作品を通して見ているような気もする。
また、メタと言えば──『バクマン。』自体が、作者自身のサクセス・ストーリィと見る人もいます。作中に出てくる主人公と作者とは、両者とも「原作者と作画」のコンビですからね。
今回は、サイコーとシュージンが、ようやく成功への足がかりをつかんだ──といったシーンが出てきます。これも、なんだか作者と置き換えが可能そうに見えますが──、実際はどうなんだろう……。
渡しては いけない
このページでは、「サイコーがアンケート表を見せたいのは誰か」が謎になっています。なぜかサイコーは、誰に見せるのかを言わないんですよね。
そのせいで、シュージンはそうか 亜豆に…
と思い込んでいる。しかし、まだまだアニメ化まではほど遠く、亜豆に会うとしたら、時期的にオカシイですよね。
これは──ミステリィ好きの血が騒ぐぜ! ──というほど、分かりにくい相手ではないですケド。
アンケートの結果を持って、一緒に来て欲しい──というサイコーの願いを聞いて、服部は察したようです。さすが、長年の付き合いですね。
ところが──、シュージンは話についていけない。
Σ(゜Д゜;≡;゜д゜) というアスキーアートみたいな、シュージンの表情が面白いです。察しと思いやりがあるシュージン──だったはずなのに、この時はなんだか鈍感ですね。急に 1 位を獲ったので、調子がオカシクなっているのかな。
墓地?
サイコーとシュージン・服部は、どういうわけか──墓地にやってきました。こんなところに 3 人でやって来て、いったい、どうするつもりなのでしょうか(棒読み)。
そうか、『2015 TOKYO』という写真集を作る気なのだな──とは思わなかったケド。
おじさんが獲りたかった
この場面は、ぜひともカラーで見たかったな……!
川口たろう先生──真城信弘が眠る墓石と、サイコーの顔が夕焼けに照らされて、本当に美しい光景ですね。このページはモノクロですが、色が目に浮かびます。
喜んでるだろうな
『北斗の拳』のアンケートが 1,000 票中の 700 票以上
を取った──というのは事実なんでしょうね。現在の「ジャンプ」では考えられない結果です。今後も、あり得ないでしょう。
「月刊少年ガンガン」に掲載され、先日、惜しくも最終回を向かえた『鋼の錬金術師』であれば── 1,000 票のうち 980 票くらいは取ったりして(ほかのマンガに失礼)。
いままで、亜城木夢叶の作品は、本誌では 1 位にならなかった。それは、作者が今回の状況を描くためだったのでしょう。「おじさん」へ報告をしに来たサイコーを、ようやく描けました。
しかし、サイコー自身が言っているとおり、まだまだ 1 話目の 1 位
を獲っただけです。これからの連載で安定して上位に入るようになった時に、初めて川口先生も喜ぶことでしょう。
とか言いながら、現時点でも「ものすごく悔しがっている川口たろう」の表情が、カンタンに想像できます。
最後の最後までガンバリ抜いて──悔いを残して死ぬことと、目指すモノがないために──悔いも「ない」人生とでは──、
──どちらが良いのでしょうかね。
コメント
今週のシュージンの(サイコーや服部と比べての)冷め具合や鈍感さの理由は
「シュージンはサイコーとずっと一緒にいたから」じゃないか?
と、この記事を拝見して思いました。
サイコーはおじさんの事については、普段はあまり話していなかった…というか語りたがらなかったように思います。
話題に出る頻度は亜豆の方がはるかに高かったような。
それに、意気込みこそ凄かったとはいえ
「1位で当たり前の1話」という台詞を作中でたびたび、直前まで口にしていました。
サイコーにとって1話1位は「あくまで通過点、大喜びする程のことじゃない」ぐらいのものだろう…
とシュージンが想像し、それを上回る喜びように呆気に取られた…としても不思議じゃない気がします。
ラス前のシーンにしても、普段のサイコーを知るシュージンは、おじさんよりも先に亜豆を思い浮かべ
亜豆との関係や約束を知らない服部は、縁のある相手=川口たろうだ、と察することができた…のではないでしょうか?
「おじさんは一度も1位を取れなかった」という話を、初期からの読者は知っていますが
果たしてシュージンは知っていたのかどうか。
既刊を調べていないのでちょっと記憶があやふやなのですが…
もし聞いていたのなら、まあ…「忘れてんなよっ!」とツッコみたくはありますねw