デジタル(APS-C)用 17-50mm F2.8 レンズを比較する
結論: シグマ 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM が最強!
レンズキットについている(おまけのような)レンズから卒業するか、「単焦点レンズだけを使え!」という呪縛から逃れる場合には、タムロンの新しい高倍率ズームがおすすめ──という記事を昨日書きました。
タムロン 18-270mm F3.5-6.3 DiII VC PZD – 幸福を引き寄せるレンズ : 亜細亜ノ蛾 – Weblog
今回は、上記の「便利なレンズ」から視点を変えて、「明るくてボケがきれいなレンズ」を選んでみましょう。それほど明るくない室内での撮影や、ポートレイト(人物撮影)に向いたレンズですね。
比較するレンズは、下記の 3 本です:
- シグマ 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM キヤノン用 (シグマ ニコン用)
- タムロン SP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II VC B005 キヤノン用 (タムロン ニコン用)
- キヤノン EF-S 17-55mm F2.8 IS USM (キヤノン ニコン用──は なかった・笑)
焦点距離は 17-50mm(または 17-55mm)・解放値は全域で F2.8・手ブレ補正を内蔵しているレンズで絞り込み、自分が愛用している Canon EOS 7D との組み合わせを想定しました。
結論は上に書いてあるとおり、シグマのレンズが 1 番です。ここから先は、その理由を深く見ていきましょう。
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Reviewer: あじもす @asiamoth,
──あ、もちろん、現時点で上のリンクからレンズを購入すると、幸せになりますよ!(自分もあなたも)
GANREF – スペックの比較
自分がよく見ているサイト・GANREF では、スペック(カタログ上の仕様)と性能テストが見られます。
今回の 3 本を同時に比較できるようにしました:
まず、スペックで大きく異なる部分は、フルタイム・マニュアルフォーカスに対応しているのはキヤノンだけ──という点です。ただし、このクラスでそんな機能が必要かどうか疑問がある。マクロレンズでもないし。
あとは、タムロンだけが超音波モータを内蔵していません。オートフォーカスの素早さを重視するならば、気になるところです。
DxOMark のレンズ・テスト
DxOMark という海外サイトは カメラ内蔵のセンサのランキングで有名ですが、最近になってレンズの比較も始めました。こちらも、各メーカが冷や汗をかくような「容赦のないテスト結果」が掲載されています。
3 本のレンズを比較してみましょう:
- Overview – DxOMark – 17-50mm (17-55mm) F2.8 Compare lenses
- 日本語訳: 概要 – DxOMark – 17-50mm (17-55mm) F2.8 レンズ比較(Yahoo! 翻訳)
ここで注目なのは、「Transmission」という項目です。これは「正確な解放値」(の平均値)で──、あまり知りたくなかった現実がここにある。
ようするに、今回の 3 本は「大口径・F2.8 !!」と言っても、厳密にチェックすると解放値は F3.1 ~ F3.4 あたりなのです。シグマだけが平均 F3.1 になっていて、ほかの 2 本よりも 1/3 段ほど明るい。
Transmission – DxOMark – 17-50mm (17-55mm) F2.8 Compare lenses
「Resolution」(解像度)の項目では、わずかな差でキヤノンが 1 番だけれど、「1/3 段絞ってある」と考えると、ちょっと見方が変わります……。
photozone のテスト・レポート
上の比較サイトでは、「ボケ味」が確認できません。
Photozone のテストからは、各レンズの湾曲・周辺減光・シャープネス・ボケが確認できます。海外サイトのため、すべて英語で書かれていますが、グラフが中心なので分かりやすいでしょう。
ページ下部の Bokeh に注目です:
- Sigma AF 17-50mm f/2.8 HSM DC EX OS – Review / Test Report – Analysis
- Canon EF-S 17-55mm f/2,8 USM IS – Retest @ 15mp / Review – Analysis
- Tamron AF 17-50mm f/2.8 XR Di II LD Aspherical [IF] VC (Canon) – Review / Test Report – Analysis
ボケを比較した結論
マニュアルフォーカスを多用したり、「レンズは純正品に限る」という人でもないのであれば──、じつは、まっ先に候補から外したいレンズは、キヤノンの 17-55mm です。
なにより、キヤノン純正品は高い。
ボケのきれいさで比べても、キヤノンは厳しい状況です。レンズ周辺部のボケはいわゆる「猫の目」状態で、ボケのエッジが硬い。タムロンのボケは丸いけれど、やや硬め。
シグマは丸くて柔らかい、素晴らしいボケです。
以上で、結論は出ました!:
- 真の意味で解放値が明るく、
- 美しいボケを味わえて、
- 解像度も高い──。
コストパフォーマンスが最高の、シグマ 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM が究極にして至高です!!
追記
2012-05-12T14:29:20+09:00 追記
キヤノン用・ニコン用のレンズを合計 80 本以上(!)も集めて、おすすめを紹介する記事を書きました! ぜひ、参考にしてくださいね。
- キヤノン 7D・60D・Kiss X5・Kiss X4 の性能を引き出す優秀レンズ! | 亜細亜ノ蛾
- ニコン D7000・D5100・D3200・D3100 用に写りの良いレンズを探す! | 亜細亜ノ蛾
余談
今回のタイトルも、ゲーテの言葉から借りました。
「博学はまだ判断ではない」
★ゲーテ
エッカーマン『ゲーテとの対話』より
自分は、かなり多くのページを参考にして、カメラとレンズの知識を蓄えています。それでも、今回のようにじっくりと比較してみると、「何となくの印象」による思い違いに気づく。
今回もじつは、「タムロンが 1 番! シグマは大きくて重いだけ」と思っていた時期もあったりして……。TAMRON SP AF28-75 F2.8 A09 のボケにはうっとりするけれど、17-50mm F2.8 の対決は分が悪かったかな。