バクマン。 #137-4 「巻頭カラーとセンターカラー」 黄色と仕掛け

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『バクマン。』 137 ページ 「巻頭カラーとセンターカラー」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 29 号)

Cielos y campos de la pampa Argentina 11 / Skies and fields from Argentina's pampa 11
(黄色い空は──それほど珍しくない?)

カラー扉のアイデアを提案するシュージンの姿が、課題を提出する学生みたいで面白かった。あるいは、営業職のサラリーマン──という感じです。

マンガ家という職業は、接する人間が ほとんど編集者しかいません。「読者にウケるマンガを描くこと」は、いつの間にか「編集者が受け入れやすいネームを出すこと」に なっていく。「編集者へのプレゼン」みたいになるのも、当然のことですね。

ただし、亜城木夢叶は、あくまでもアニメ化と順位に こだわっている。担当の編集者を喜ばせるだけの原稿なんて、いつまでも描いていられません。

『走れ! 大発タント』を連載する直前の、亜城木コンビと港浦とのやり取りは すさまじかった……! 担当者をだましてまで、自分たちの描きたい作品を描く。それが、サイコーとシュージンです。

そのクセは今でも変わらなくて、今回も服部を引っ掛けている。本当に油断なりませんね、亜城木の 2 人は──。

もう 時間がない

このページのシュージンには、「またスランプか?」と思いました。ここまで「面白くなさそうなトリック」を思いつくのも、ある意味では すごい。

大場つぐみさんのネームが、『バクマン。』のコミックスには毎回 載っています。そのネームには、シリアスな場面でもギャグが書いてあったりする。本編はこんなにも面白いのに、ギャグは──思いっきり「外して」いるのです。──今回のシュージンのアイデアのように。

この絵のタッチと構図からすると、映画『バトル・ロワイアル』に出てきた「あの絵」を思い出しました。もちろん、絵の内容は まったく違うけれど──。


服部のセリフは、そのままネタになる:

服部:
空が黄色? おかしいだろ
荒木飛呂彦 先生:
「……」
扉絵なんだから

服部が珍しく全力で、シュージンにダメ出ししています。小学生が主人公のマンガとは言え、本当に小学生レベルのトリックで、ひどすぎるよなぁ……。

「最高→サイコー」・「秋人→(シュート→)シュージン」とシャレのような あだ名の 2 人だから、「名前で遊ぶ」ことに抵抗がないのかも しれません。

全国の青井くんみどりちゃんは、マンガやクイズで自分の名前を よく見かけて、苦笑するでしょうね。方向性が違うけれど、「御手洗さん」も……(『さよなら絶望先生』ネタ)。


カラーは あくまでも 読者サービスということであれば! ──そろそろ暑くなってきたから、安之城舞がプールへ行く話を描いては どうでしょうか!(サービス サービスゥ!) という冗談は さておき──。

「カラーよりも内容で勝負」だと本当に思います。

たとえば、『家庭教師ヒットマン REBORN!』(長っ)のカラー・イラストは、色使いが素晴らしい! エフェクトも色も派手なのに、まとめ方が上手です。カラーの部分だけ切り取って、スクラップしている。

ところが、『リボーン』のバトル展開は、どうにも好きになれません。『BLEACH』も同じような印象です。この 2 作品は、カラーの格好良さが本編に生かされていれば──と思ってしまう。

今回の亜城木夢叶も、「カラー・ページに こだわりすぎて失敗」も あり得えました。もしもそれで新妻エイジの連載が終了したら、悔やんでも悔やみきれません。

渋くてカッコイイな!

さあ、「仕掛けのある絵」が来ました! しかし、そのことを知っているのは、亜城木と読者だけなので、服部は何も気がつかない。

「扉絵は読者へのサービス」というマンガの常識に縛られていると、一段と盲点が大きくなりますね。編集者であれば、なおさらです。ただ、普通に見れば、誰でも下の日付が気になると思うけれど……。

こだわって 正解だったな…

さて、この「カラー扉の仕掛け」とは、何でしょうか?

まず気になるのは、『十字の呪い』という本のタイトルです。「十字架」ではない。十字(クロス)を加える……? それとも、足りない部分が重要なのでしょうか。

あとは、「10 時 00 分」を指している時計も あやしい。本との関連(「じゅうじ」)を におわせます。秒針が「9」(45 秒)の位置にあるのも気になる。

下の「9 日」「00 分」からして、携帯電話の待ち受け画面に見えます。誰かがマコトを撮影したのでしょうか? マコト自身が(鏡の反射を利用して)撮影したかと最初は思ったけれど、角度的に不可能ですよね。

──と、目についた点は全部「形」だけれど、カラーだから「色」も重要でしょう。フタを開けたままの「スプレー缶」がカギなのか?

また、マコトの髪の毛に入ったハイライトが、やや不自然に見えます。よく見ると、床のカゲなどから「窓(の方向)から光が来ている」ことが分かる。それなのに、窓の外は真っ暗なのです。

本や時計よりも、この光にトリックの香りがする……。

いつものように「ヘタな鉄砲」を撃つだけ撃って、答えは出さずに、来週号を待つことにします。何の気なしに書いたことが答えだったら、面白くないし。

コメント

  1. kaminashi より:

    こんにちはです(* ^ー゜)ノ
    みんなが1位を狙うようになってからエイジは不機嫌そうな顔をしなくなりましたね(`ε´)
    最後のカラーは短針が9ではないでしょうか?
    分は全角なのに日は半角…
    もしかしたら(時)の左部分?

  2. asiamoth より:

    こんにちは!
    全員が「エイジ、やめないで! ><」状態なので、
    喜ぶのは当然と言えば当然ですよね。
    でも、彼の場合は「ライバルと競えてうれしい」という
    気持ちのほうが大きい。
    バトル・マンガの「戦闘マニア」みたいな感じです。
    だったら、『CROW』を やめなければ いいのに……。
    時計の短針・秒針は、たしかにどちらにも見えますね!
    それに、下の「日」の文字も、じつは気がついていました。
    ただ──、謎解きに興味がない人がこの記事を読んで、
    来週号でガッカリしないように、ぼかして書いたのです。
    あと、本も時計も、引っかけのような気がする……。