バクマン。 #142-2 「新人とベテラン」 同い年と泣き黒子

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『バクマン。』 142 ページ 「新人とベテラン」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 34 号)

Sagami Ningyo Shibai (Japanese Puppet Show)
(彼らにも──泣きたい時もある)

中井巧朗は絵が上手なのに、キャラが作れない。それが彼の弱点だ──といった場面が出てきました。彼と同じような人も多いでしょうね。このことについて、思ったことがあります。

マンガの登場人物を考えるのは、マンガ家の仕事と決まっている。これは当たり前のことです。同じレベルで当然のこととして、アニメにはキャラクタの原案が ついている。マンガにも、この分業を もっと取り入れて良いと思う。

アニメのコミカライズが近いでしょうね。それに、登場人物の原案を考えた人と、作画の担当者・原作者が別の作品も実際にあります。しかし、大ヒットした例が あまりにもすくない。最近では、コミック版の『魔法少女まどか☆マギカ』くらいでしょうか。

あと、デッサン力は あるのに人物が描けないのは、中井が本質的に人間嫌いだからだと思う。「人物は上手だが、背景は(嫌いだから)描けない」マンガ家のほうが多いはずです。

やられたって気分

『ぱんちらファイト』を読んで、シュージンが興奮している。奥さまの近くで「えっちなマンガ」を読む──という平和な日常です(?)。

当然のように、カヤは気分が悪そう。ただ、結婚相手へのヤキモチに似た怒り方ではなく、ちゃんとしたマンガの批判をしています。カヤの感想は、一般的な女性読者と同じでしょうね。彼女の意見は客観的なので、もっと聞き入れたほうが良いと思う。

カヤの反応からも分かるように、編集部でも大評判の『ぱんちら』は、女性の票が集まりにくい──はずなんですよね。女性の読者が多い(asiamoth 調べ)『初恋限定。』とは大違いです。


「中学生の修学旅行か!」みたいな話で盛り上がっている高木夫婦です。さりげなく、真城くんと言うシュージンがツボでした!

しかし──、そろそろ読者も「ミホ」のことを忘れていそう。それどころか、もしかしたら作者も……。

大場つぐみ:
「アズキミホ……? ちょっとビミョーなキャラになってきたぞ」
小畑健:
「エ~!? 亜豆美保なんて、めちゃくちゃメジャーなキャラじゃないんですかぁ」
大場つぐみ:
「おさげのヤツ?」
小畑健:
「いや、それ加藤」

参考: 鳥山明とは (トリヤマアキラとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

冗談抜きで、大場さんはストーリィ優先でキャラを動かしていると思います。そのため、忘れているというか、「出さないと決めた人物」が大半になると思う。

おじさんが 生きてたら

前のページからサイコーがヘンです。いつもの「顔芸」というレベルを上回っている。亜豆と会えなさすぎて、とうとう「恋愛廃人」になってしまったか……。

サイコーも服部も、読んで状態異常を起こすマンガというのも すごいですね! 明らかに「黒幕」のおかげだけれど──、東の画力があったから成功したとも言える。

七峰透の話でも思ったけれど、「マンガ家とは話を考える人」という視点に立ちすぎている気がします。そうなると、作画の担当者──サイコーや東だけではなく、小畑健さんにも失礼に感じてしまう。

今回のシリーズの落としどころは まだ見えてきませんが、「原作が面白ければ、作画は誰でも構わない」という結論へ向かわないかが心配です。デビュー前の作画志望者が、そう思いこんでしまうのでは?

でも、それが悲しい真実なのかもしれない──。


昔の東が描いた『LOVE ME どう?』というタイトルを聞いて、『魔法少女まどか☆マギカ』のファンとしては「さやかーーーーーっ!」と叫びたくなりました。でもこのネタは、『まど☆マギ』好きでも知っている人は少数だろうな……。

続・pixiv の投稿から『魔法少女まどか☆マギカ』のイラストを紹介 : 亜細亜ノ蛾

ただの エロマンガでも、実用的──もとい、面白い作品は いくらでもあります。シュージンの感想からして、「非実在青少年艶本」として純粋に読んでも、よっぽど つまらなかったのでしょうね。検証のために熟読してみたい。

どうしたら 「ジャンプ」で ウケるか

おそらく『ぱんちら』の話は、東と電話で話していた人物(と協力者?)が考えたのでしょう。

不思議なことに、「東美紀彦に原作者がついた」とは誰も考えていません。サイコーが言うように そうとう研究したという結論になるのは、かなり不自然です。しかも、原作者であるシュージンに向かって その話を言うのはシュールすぎる。

もしも川口たろう が生きていて、「黒幕」のおかげで連載を持ったら、サイコーは どう思っただろう? 自分と同じように、原作者つきで戦っている──と納得できるでしょうか……。


ドラマの開始直前であるため、高浜昇陽の『正義の三肩』が表紙を飾っています。かなり絵が うまくなっていて、師匠の亜城木に近づいている。ちょっと あか抜けていない絵柄なのは、高浜の持ち味ですね。

高浜たちのことをメディア化組とシュージンは呼んでいる。しかし、『PCP』もドラマ CD になっています。『PCP』の熱心なファンは、CD の続編も出ず・アニメ化もないことに、かなり不満を感じているでしょうね。

アニメになってガッカリするよりは、数倍はマシだと思うけれど……(特定の作品を指しているわけではありま、すん)。

ノリノリ ですね

「ペンが入っている」感じの高浜です。ドラマ化の効果でも良いから、1 位を獲って欲しい!

アシスタントとも良好な関係のようで、この「高浜昇陽を応援するブログ」管理人としては、この上なく うれしい状況です(そんなブログだったっけ?)。

そう言えば、もう高浜は二度と、女性のアシスタントを雇わないだろうなぁ……。すくなくとも、男女を同時には働かせないはず。

「『To LOVEる』とは縁遠いトラブル・メーカ」中井巧朗と、「不幸をまき散らす魔性の女」加藤奈津実を同時に雇っていたなんて、それだけで ひとつの伝説です。やっぱり、高浜は すごい!


その中井は、何食わぬ顔で──いや、ピザを食いながら平丸の所で働いている。高浜が知ったら、どう思うだろう。──どうも思わないだろうな。

中井にはピザが必要だけれど、平丸はエサもなくマジメに働いている。かなり成長しましたね! しかも、これだけイヤイヤ描いていて、軽~く 4 位を獲るとは……。このページを やぶりそうになった作家も多いはずです。

平丸一也は、女性向けの絵柄も習得している。『僕には通じない』は、完全に「フ」向けのマンガになっています。たとえば、蒼樹紅が「そっち」の趣味もあって、『僕通』の熱心な読者になったら面白い。

映えるキャラ作り

蒼樹紅の姉・「恵梨子」の存在が急に語られました。吉田の言うことだから、どう聞いても あやしい。本当に実在するのでしょうか?

このページを読んだ時点では、「蒼樹に頼んで変装(ほくろのメイク)してもらう」のかと思いましたが──、そんなことを彼女が引き受けるわけがない。『銀魂』だったら、すでに蒼樹も吉田の手で調教済み(ごくり……)という展開も あり得るけれど。

ということで、何から何まで吉田のウソなのかも。

コメント

  1. salica より:

    「原作がおもしろければ作画は誰でもかまわない」この方向に落とす可能性はないと思います。
    なぜならこれでもか!ぐらいにサイコーの絵にはシュージンの話、シュージンの話にはサイコーの絵!と描いてきたのにそれを崩すようなことはないと信じているからです。
    大場先生もそこは譲れないのでは。
    それに東は全く新しいジャンルではなく自分が得意とするかわいい女の子とパンチラが活かされた作品を書いてます。
    これは「誰でも」といえるわけではないでしょう。
    東に原作者が付いたと誰も考えないのはそのせいかもしれませんね。それも黒幕の狙いかも。
    PCPはドラマCD2作とノペライズ版がでていますがアニメ・ドラマ化と大きな違いがありますね。
    前者は原作ファンしか買わないでしょうが、後者は雑誌やTVで原作を紹介される機会も増えて新しい読者を多数獲得できる。
    蒼樹の姉・恵梨子。個人的には実在はしてるものの実は既婚者か、蒼樹にそっくりだけどあとX0キロ痩せればもっと似てる…オチがあると思ってます。

  2. asiamoth より:

    わざと心に引っかかるように
    「誰でも」の部分強調して書きました。
    反応してくださる方がいて うれしいです!
    東と新井は得意な分野を描きましたが、
    ほかの中年作家も同じかどうか分かりません。
    「不得意なジャンルで描かされる作家」が
    今後は出るかもしれませんね。
    もしも、それでも成功したら──?
    そのような展開を大場さんが描かなくても、
    「話がすべて」だと考えている
    原作者や編集者・読者は多いと思います。
    自分としては、上のような考えの人たちに、
    サイコーが絵の力を見せつけるような
    展開が見てみたいです。
    サイコーとシュージンの相性がピッタリでも、
    平丸にアッサリと抜かれているし……。