『バクマン。』 145 ページ 「提供と停止」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 38 号)
(かつての?)「ジャンプ」マンガの三本柱である、「友情・努力・勝利」への皮肉が出ましたね!(「友情」と「感動」だったけれど)
「皮肉グルメ」の自分は、今週号の『HUNTER×HUNTER』と一緒に、おいしく いただきました(?)。
バトルマンガの多い「ジャンプ」では多くの場合、この三本柱が語られるのは、命懸けの場面です。ところが──、戦いも友情も「ごっこ」に見えることが多い。
自分は何度も何度も書いてきましたが、一対一で命懸けの戦闘をしている最中、「敵に背後に回り込まれる」なんて あり得ないから! そこから「九死に一生を得た」としても、何回も描かれると萎える……。
こんな調子では、『めだかボックス』で一番好きなキャラ・球磨川禊のように、「ジャンプ」を批判する登場人物が増えてきそうです。
同じような「メタ批評キャラクタ」は、ほかのマンガ雑誌にも いるのでしょうか?
──自分が知る限りでは、『さよなら絶望先生』くらいです。あのマンガは、「マガジン」どころか「ジャンプ」や「サンデー」にもガンガン食い込んでくるけれど。
負けたことに気付けない
七峰透の主張からすると、亜城木夢叶の 2 人に会社を見せるのは、完全に成功したあとでも良かったはずです。
でも、その「ガマンができずに先走る」ところが、いかにも七峰らしい! 自分の(にごった)目には、犬の耳とシッポの付いた七峰が見える……!
このページの構図も見事です。七峰のほうがエスカレータの下側にいるのに、発言は挑発的になっている。「下から見上げる上から目線」ですね。ややこしい!
七峰透作品 なんです
七峰は、まるで映画監督のようだ──という話は以前に書きました。本人も、十分に意識していたようです。
バクマン。 #119-1 「過信と宣伝」 革新的と言いなり : 亜細亜ノ蛾
サイコーの反論は「マンガは編集者と作っていくモノ」という一方的な決めつけであることに対して、七峰は「そのやり方だけではない」という提案です。客観的に見て、どちらが公平なのかは言うまでもありません。
肌の合わない編集者と組まされて、散っていったマンガ家たちも多かったでしょうね。亜城木の 2 人は この問題について、何一つ言い返せません。
七峰ほど明確な答えを示した人物は、誰もいなかった。
否定できない はずだ
現時点では、七峰の会社の方針について、サイコーとシュージンは文句を言える筋合いでは ありません。たとえば、七峰が亜城木に直接的な嫌がらせをしているとか、亜城木を引き抜きに来た──という話でもないし。
それにも かかわらず──、揚げ足を取るような文句を言い続けるのは、じつに亜城木らしい。この 2 人は、こうじゃないとダメですね! さすがは、「ジャンプ」編集部に何度もケンカを売っていたコンビです。
亜城木夢叶の 2 人から、七峰透のような「子どもが生まれた」のは、必然ですね!
ただ、亜城木は編集部に不満あるわけではなく、自分自身の作品に納得ができないだけでした(そのせいで編集部と読者を困らせるほうが問題だけれど)。基本的には編集部の方針に従っている。「ルールの盲点を突く」感じです。
それに対して、七峰は「週刊少年ジャンプ」というシステムに不服があり、壊して作り直そうとしている。じつにスケールが大きい。大きすぎて──七峰の器には入りきらない気がします。
七峰は、優秀な右腕を早急に確保したほうが良いと思う。このままでは、彼はパンクしてしまいます。彼の父親は、お金だけではなく、人材も貸すべきでしたね。絶対に社員は嫌がると思うけれど。
引っ張りだこですよ
このページから、ほかの出版社へも会社を宣伝する話が出て、なんだか雲行きが怪しくなってきました。たしかに、これだけの規模の会社を支えていくためには、「ジャンプ」一誌だけを相手にしていられません。
そうか、金もうけのことも考えていたのか……。
前回の七峰が言っていた、ボランティア
という言葉を真に受けてしまいました。考えてみれば、息子の趣味のために大金を投じて会社を立ち上げるような お金持ちは、そうそう いませんよね。
富豪ほど、無駄金を惜しむものです。
担当とはやっていけない
正直 超悔しかった ですからね
──と七峰が叫んでいて、個人的に大満足でした! まさに、「その言葉が聞きたかった」です。
「その言葉が聞きたかった」 ブラック・ジャックの名セリフを語るスレ:アルファルファモザイクだった
サイコーとシュージンへ この一言をぶつけるために──、ただそれだけのために、バカバカしいほど巨大な空間を七峰は作り上げました。
だから、どんだけ亜城木好きなんだよッ!!!!
七峰なら、ガラス貼りの女子寮(ごくり……)や、24 時間さわがしい娯楽施設などを、亜城木夢叶の仕事場のすぐとなりに建てて、嫌がらせしそうです。とくに前者は、ぜひとも作るべきだと強く強く思う。