HUNTER×HUNTER #321 「怪者」 けもの×ケモノ×のけもの

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HUNTER×HUNTER No.321 「怪者」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 46 号)

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(けだものの目は──何を見ている?)

毎週毎週『ハンター×ハンター』が読めるだけで ありがたいです! 連続掲載も奇跡的な大記録を達成しているし(オーバーな表現)、そろそろ「下書きのまま」や「ネームの段階」でも良い──と思ってしまう。

ところが、今回は驚くほど精密に描かれている!

本編に初めて出てきた「ある人物」の部屋には、心の底からビックリしました。なんとも美しく、まがまがしい……!

守られないルール

前回でジンが決めたルール その 2 は、次の条件でした。

始めの選挙で 最高得票数が 全ハンター協会員の 過半数を得なかった場合

上位 16 名で 再度選挙を行ない それでも決まらない場合 順次人数を半分とする

『HUNTER×HUNTER』 No.320 「投票」

ところが、前回 19 位だったルーペに票が入っています。第 1 回の選挙で 上位の 16 名 に入れなかったハンターに投票する行為は、無効投票として扱うべきなのでは?

さらには、「上位 16 位」ではなく上位 16 名なんですよね。リンネ・ツェズゲラ・ビスケットの 3 人が 16 位に 並んでいたけれど、第 2 回の選挙で投票しても良いのでしょうか?

2011-10-30T13:45:08+09:00 追記

コメント欄で ご指摘いただきました! No.320 「投票」 で示されたルールは何度も何度も読んだのですが、自分の解釈が間違っていたようです。ルール 2 とルール 3 の関係が分かりにくい……。

ルール 3 とルール 2 の順番を逆にして考えたほうが、分かりやすくなります──。

  1. 投票率 95% を満たさない限りは、現在の人数で やり直し
  2. 最高得票率が過半数を獲得していなければ、上位 16 名で再選挙
  3. 再選挙で得票率 95% を満たしても、過半数の票を得られなければ人数を半分に

──ちっとも分かりやすくねェ!

まさか新キャラ?

16 名から あふれたカイトやノブに投票した人は、おそらく彼らを尊敬するスピン(スピーナ・クロウ)やパームなのでしょうね。

──ん? ノって誰だーーーッ!

ノヴ:
「あたちの 名前は ノヴ です !! 」
モラウ:
「ヴとブの差は 髪の毛じゃねぇか?」
ノヴ:
「……」

(たぶん修正されているはずの)コミックスで読んだあとに このページを開いたら、意味不明な冗談になる──。でも、編集さん しっかりしてよ! と思った。たとえば、あたちの 名前は カイト です !! の場面で名前を誤植していたら、台なしにもほどがある。

誰が正しいのか

自分だけゴージャスなイスを持ち込んでいるパリストンが笑えます。ハンター協会の本部には副会長派の人間が多いから、彼らが用意したのかもしれませんね。

「十二支ん」たちをイライラさせて、誤った判断を誘う作戦だと見ました。それに引っかかるのは、単細胞のカンザイくらいだけれど。

パリストンの言っていることは全体的に正論だし、発言自体からは悪意が見えない。事情を知らない第三者から見れば、「学級委員の進行を妨げる やんちゃなクラス」みたいに思える。

ただ、チードルやビーンズの内心が語られることによって、「パリストンだけは会長にしては いけない」という図式は揺るぎないですね。

これで「じつはチードルが すべての黒幕だった」ら神だ! でも、『某ーチ』みたいな後付けに思うかな。

プロ失格のハンター

闇金ウシジマくん──もといミザイストムは、ハンター・ライセンスを紛失した人間に言及しています。

おいおい、くじら島にカードを落としてきたジンさんを DIS ってんのか! ああん!?

──って読み直したら、二ツ星(ダブル)ハンターの 認定カードでした(『HUNTER×HUNTER (5)』)。このカードは、ただの記念品なのかな?

外側だけを見ていると、ジンは、ハンター証も なくしていそうな人間に思える。しかし、前回では彼の するどさが描かれました。「グリードアイランド編」の終盤で、すでにジンの先読み能力は分かっていましたけどね。

そんな抜け目のないジンだから、この「パンダのぬいぐるみ」にも、あらかじめカメラとマイクが仕掛けて あったりして。前回でも、ピヨンのセリフとは違って、再選挙の前にひょっこり帰って来ていたし。

2011-10-25T11:16:51+09:00 追記

「このパンダは何?」と思った人へ:

文庫版『幽遊白書』、最終巻の後書きがカオスすぎると話題に : はちま起稿

ビーンズの苦悩

ネテロ会長の言葉を思い出しているビーンズは、謎の場面でした。投票用紙の山を見ながら、彼(?)は何を考えているのだろう──。

もしかして、ビーンズは投票数を操作しているのでは?

前回の感想で最後に書いた「ビーンズが操られている説」が、どうしても捨てきれません。操作系の念能力ではなくても、パリストンや副会長派の人間に弱みを握られて、彼らの言いなりになっている可能性も考えられます。

HUNTER×HUNTER #320 「投票」 ネテロに花束を・ビーンズにおまかせ | 亜細亜ノ蛾

そもそも、パリストンが新しく決めた 1 のルールが あやしい。選挙の責任者であるビーンズが投票直前の用紙を確認することは当然だけれど、わざわざ強調しているところに、何らかの意図を感じます。

投票箱から出された投票用紙は、大半が折りたたまれたままになっている。いまから票数を数えるのか、数えたあとなのかは不明ですが、こんなに無造作に貴重な用紙を扱うでしょうか?

「用紙は記名されているのだから、数の操作はできない」という意見もあるでしょう。

しかし、副会長派が書いた用紙だけ数を合わせればいいのです。確実に 37.9% は彼を支持しているし、無効・欠席者に含まれているかもしれない。リンネ・ノヴに入れる「事実上の無効票」作戦も考えられる。

そうやって何度も選挙をやり直すうちに、「もう分かったからパリストンの好きにやらせろ!」という空気を作っているのだと思いました。

あるいは、ただたんに「十二支ん」を不愉快にさせて、副会長が楽しんでいるのかも。


半透明で描かれているビーンズは、彼の影ではなく、「テーブルに手をついている姿のシルエット」に違いないけれど──、

キユーピー人形そっくりのポーズでワロタ。

なにか☆アルカ

とうとうアルカが登場しましたね! 『なるたる』の作者・鬼頭莫宏氏が好きそうな人物です。冬の薄い本が厚くなるな……。

『なるたる』 1~4 巻 鬼頭莫宏 – 海に沈むホシと出会う少女 | 亜細亜ノ蛾

一部の人(大多数?)には残念なことに、「彼」は「弟」で確定なんですよね。そこはカルトのように、うやむやにして欲しかったなぁ……。

そろそろ日本語にも、「性別抜きで兄弟姉妹を表わす言葉」が必要だと思う。自分は、「きょうだい」と平仮名で書くことが多いです。

アルカという名前は、「アルカイク・スマイル」から来ている(というか後付けで設定した)のでしょう。ほほえんでいるような・無表情のような顔は、どこか彫像っぽい。

Wikipedia を開いてみると、参考の画像がアルカに似ていてビックリ! 冨樫義博! きさま! 見ているなッ!

アルカイク・スマイル - Wikipedia
アルカイク・スマイル – Wikipedia


前回・No.320 「投票」 の感想で書いたアルカの予想は、ほぼ当たっていたようです。そりゃ、あいまいなことを当てずっぽうで書いておけば、どれかは当たる。

ただ、あの(インテリアが悪趣味な)シルバですら制御できないとは、思いも寄らなかった。そんなにも危険な闇(なにか)とは、いったい どんな人物なのだろう……。

食いたい放題のミルキや家出少年のキルアもいるし、ゾルディックの人間は教育がヘタなのでは?

アルカの部屋(?)は ぬいぐるみだらけで、ミルキの部屋と似ています。あるいは、コルトとカイトの家みたい。美少女フィギュアよりは世間のウケが良さそうだけれど、「男のこ」が持つにはファンシィすぎる。

しかし──、彼の説明を聞くと、この人形たちが いまわしい存在に見えます。もしや、もともとは人間だったとか? 今週号の『BLEACH』とカブっていて、二重に危険だ!

これだけ不気味にアルカを描いておいて、「女の子みたいな格好をやめてくれない」という理由でシルバがすねているだけだったら、腹筋が爆発します。シルバとアルカが仲直りして、次回は家族水入らずの陽気な回だったりして。

おわりに

この記事の題名に付けた「ケモノ」と「けもの」は、「怪者」や「獣」に対応しています。怪者 – Google 検索を見れば分かるように、シレッと造語を出してくるので油断できませんね!

「獣」とはケモナー待望のチードル(ごくり……)──ではなく、「十二支ん」全体を示しています。そもそも、ハンターは「獣を狩る者であり、自身も獣」だと思う。

また、シルバの部屋にいた「かわいい室内犬(?)」も、獣の一種ですね。魔獣か、あるいは改造された合成獣でしょうか(侵入者を始末していた「ミケ」かと思い、コミックスの 5 巻を読み返したら、まったく似ていなかった)。

ゾルディック家で「のけ者」にされているアルカもまた、人には制御できない獣・化け物でしょう。

こうやって こじつけてみると、妙に「けもの」が多い。意図的に仕込んである気がしました。毎回、こうやって遊びが埋め込んであったりして。


チードルをネットリとした視線で見つめる「怪者」の場面は、「シリアスな笑い」みたいで大いに楽しめました。

じつは副会長は、生粋のケモナー(獣人好き)だったりして。あるいは、『宇宙船サジタリウス』や『名探偵ホームズ』の大ファンで、あの世界のヒロインと結ばれることを、ずっと夢見ていたとか。

そう、パリストンが会長になりたい理由は、チードルを振り向かせるためだったのだ……!!

コメント

  1. 神崎 より:

    こんにちは、はじめまして。
    週一くらいのペースで通ってます。
    ここの感想・考察などは自分では気づけなかったことが書いてあったりして読んでいてとても面白いです。
    さて、今回コメントをさせていただいたのは少々伝えたいことがありまして…
    先週の感想のときも「あれ?」と思ったのですが、今週の感想に「ルール②が守られていない」とありますね。
    しかし、第一回のせんきょはそもそも投票率が95%未満なのでルール③よりこの選挙は成立していないはずです。
    ルール②は選挙が成立した上でのルールだと思ったのですが、私の勘違いでしょうか?

  2. asiamoth より:

    神崎さん、はじめまして!
    おそらく、ご指摘のとおりかと思います。
    No.320 「投票」 の冒頭に出てくるルールは、
    シンプルなようでいて、
    「いくらでも別の解釈が可能」なんですよね。
    ややこしいのは、じつはルール 3 です。
    「投票率が 95% 未満の場合
    その選挙のみ やり直すこと」
    今回の本文に書いたルール 2 と
    このルール 3 との関係が あいまいすぎる!
    神崎さんが考えられているように、
    「投票率 95% を満たした」場合に選挙が成立し、
    その上で「過半数を獲得できなかった」場合は、
    人数を減らして再選挙──でしょう。
    おお、ずっとモヤモヤしていた霧が晴れました!
    ありがとうございます!
    本文に追記しておきますね!