HUNTER×HUNTER #327 「謎々」 こびりつく愛がネック

シェアする

HUNTER×HUNTER No.327 「謎々」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 01 号)

2008.11.26 - 1967
(きっちり 22 枚──首をそろえて お返しする)

みなさま、新年明けまして おめでとうございます!

──という小ボケは置いておいて、新年 01 号も「ジャンプ」は面白い! そして『H×H』も すごかった! 久しぶりの戦闘シーンが描かれ、緊張感が誌面から伝わってきます。

バトル・シーンが描かれたのは、ネテロと王・ゴンとピトーとの戦い以来でした。どの戦いも、悲しい終わり方をしている。今回も同様に……。

少年誌におけるバトル・マンガの常識・「最後に主役がスカッと勝つ!」は、『H×H』には通用しない。

執事たちの思惑

ゴトーと はぐれている時点でキルアは「違反者」であるため、禁止事項に触れない 限り指示に従えという命令は甘いのでは?

──と思ったけれど、執事だけではなく家族の命も危険に さらしているイルミのほうが、よっぽど人の道を外れている。この状況で「家庭内のルール」を厳守するほうが、よっぽど異常ですね。元から正常な家庭ではないけれど。

予めこちらが 知らなければ 打つ手無しの 速技──というツボネのセリフが気になりました。

ツボネは何を知っているのか?

「神速」(カンムル)のことを知っているのは、キメラアント討伐隊のメンバだけのはず。たとえば、ツボネと つながりのある人物が討伐隊のなかに いたとする。それでも、「仲間」を売る者は いない。そう信じています。

そうなると、「電光石火」を使われると「普通なら」打つ手がないけれど、ツボネなら追いつける──という単純な意味なのかな。

もしもイルミとツボネが出くわしたとしたら、いくら好きになれないとしても、主人の家族に執事が手を上げられるでしょうか? 無理ですよね。

ツボネは逃げるしかないけれど、「逃げるな」とイルミに命令されたら──受け入れるしかない。いや、直属の主人であるシルバの命令が優先されるのかな。

かわいすぎる兄妹

笑いが 止まんない くらい嬉しいアルカとお兄ちゃんの場面は、ここだけ抜き出されたら 98 割は二次創作に見えます。というか──、どなたか ご家族の方に描いてもらったのでは?

そう思うくらい、2 人とも かわいかった!

かわいらしいだけに──、過酷な状況で生きている現実が悲しすぎる。キルアはすでに戦いのなかで生きていく決意が固まっているけれど、アルカが「普通の生活」を望んだら、どうするんだろう……。

デフォルメ絵の直後、すぐに張り詰めた空気を描いています。緊張と緩和の描きわけ・緩急の付け方が、「ジャンプ」マンガの中でも飛び抜けて上手ですね!

キルアの髪の毛を通常よりも こまかく描くことによって、張り詰めた神経を表現している。──のですが、「栗が美味しい季節だよなぁ」と思ったりして(ファンに■されるでェ)。

気配を感じ取ることに幼いころから慣れているキルアですら、森に潜んでいるのがツボネかイルミか、分からなかった。どちらも「絶」の達人だからです。おそらく 2 人とも、すぐ近くまで迫っている──。

ヒソカの戦歴

グリードアイランドの実質的なラスボスだったレイザーと・ゴトーとでは、どちらが強いのだろう?

レイザーのボールは指を折りながら止めたけれど、ゴトーのコインをヒソカは楽勝で受けている。そのあとの「回転」でも、骨折までは行かなかったようです。ゴトーの攻撃は、それほど威力は なさそう。

しかし、レイザーの場合は避ければ終わりです。

ゴトーのコインは「受け止めたあと」にも攻撃が続くし、何よりも連弾が すさまじい。攻撃のツボにハマると強いタイプですね。

とはいえ、「14 人の悪魔」たちを自在に操ることで、レイザーは波状攻撃も可能になる。その上、オーラを集めれば集中攻撃もできるため、やはり強敵です。

真剣勝負となった場合、どちらかというとゴトーの能力は「戦闘不能状態」を狙っていると思う。それに対してレイザーの念弾は、直撃したら即死・重傷になる。

自分は、レイザーのほうが上だと感じました。

戦いの相性

ずっと以前からヒソカが好きです。イカレた人物がに心を引かれるんですよね──創作の世界では。今回のスタイリッシュに戦うヒソカは格好良かった。結末は、すこし切ないけれど──。

カストロ戦でもゴトー戦でも、ヒソカの戦い方は「ワナの設置」が基本でした。レイザー戦の最後も、「伸縮自在の愛」(バンジーガム)を上手に設置していましたね。同じ状況で戦い続けると、ヒソカのワナが次々に完成してしまう。

つまりは──、真面目に 応対していたことがゴトーの敗因です。キルアを追いつつ戦っていれば、もうすこし結果は変わっていたかもしれません。いつもながら、皮肉の描き方が素晴らしい!

戦う場所を次々に変えるキルアの戦法は、ヒソカとの戦闘に向いています。ヒソカの性格からして、戦う前にワナを設置しておくことは ないでしょう。新しい場所で戦えば、うっかりとガムやゴムの攻撃を食らわない。

ところがゴン戦のように、ヒソカは直接ガムを貼り付けられます。永久に逃げ続けなければ、いつかは「愛」に捕まってしまう──。

バンジーガムでヒソカに捕まっても、物ともせずに戦えそうなのは、パーム・シベリアです。彼女の「暗黒の鬼婦神」(ブラックウィドウ)で致命傷を受ける部位を防ぎながら戦われると、ヒソカには打つ手がないのでは?

ヒソカもパームも大好きな人物なので、できれば この 2 人の戦いは描いて欲しくないですけどね……。

ゴトーの最期

ゴトーは、本当に退場したのでしょうか? ──いや、われわれは すでに、伏線を見ているではありませんかッ!

ヒソカ:
「お兄貴(にい)ちゃん !! おーきーてーっ」
ゴトー:
「ばあ」

──ということで、血まみれでマミったと思われたゴトーは、無事だったのですッ! まぁ、ないと思うけれど(2 秒で撤回)。

今年の創作の世界では、首をマミられた人数が例年よりも多かったでしょうね。そして、震災に関する話は(自粛して)すくなかったに違いない。

マミるとは (マミルとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

ところで、今年・2011 年の 4 月 4 日の時点で、下のような二次創作のイラストが公開されていました。こっ、これは──! もしかして冨樫先生は、このページを見たのでは?

「さすが魔法少女だ!」/「伊与田まと」のイラスト [pixiv]

おわりに

「久しぶりに登場した人物がいたら要注意」ということは、「キメラアント編」で分かっていた──つもりでした。それなのに、ゴトーの最期は衝撃的だったなぁ……。ここからの復活は、ないでしょうね。

こうなると、物語の進行に関係のなさそうなカナリアとアマネも、先が心配です。「女性や子どもは大丈夫」などという暗黙の了解は、かつて王が食い散らかした。

次回の冒頭で、「遅かったじゃないか」と澄まし顔をしたイルミの足もとに、針だらけの女性 2 人が転がっていそうで不安になる……。

まったく逆に、余裕でイルミがボコボコにされていたら、それはそれで先行き不安だけれど。


いろいろな表情をしたカナリアとアマネが見られて良かった。とくに、冒頭で『銃夢』のガリィみたいに「タコの口」なカナリアと、あせり顔のアマネが好きです。

ほとんど「緊張した表情」であることには変わりがないけれど、描き分けが見事だから、微妙な変化が楽しめる。2 人とも まったくの無言で、これが本当の、

執事たちの沈黙──。