HUNTER×HUNTER #335 「決定」 シャイや謝意より誠意

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HUNTER×HUNTER No.335 「決定」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 11 号)

Shy
照れながらでも──ちゃんと謝ろう

巻末の作者コメントで冨樫義博先生は、前回・前々回と「週刊少年ジャンプ」のシステムを批判した──とも取れる発言を残しています。

今回は何に対してバッシングするんだろう──とワクテカしながら見てみると、なんと感謝の言葉が刻まれていました。

いつも応援有難うございます。大変な時、とても励みになります。(空白)〈義博〉

ほかの先生よりも文字数が すくない点(「そこまで考えてられっか!」)と、感謝する対象が不明瞭な点(「おまえらアンケートのハガキ送れよ!」)に、先生のパンク精神を感じる。──とか言う人はいませんか!?

今週号も載っていて ありがとうございます──という気持ちを込めて感想を書きました!

青年は少女に

ようやく再会した父と子──という感動の一場面です! となりで 2828 しているドゥーンとリストも、じつに良い味を出している(お前ら、グリードアイランドで ほとんど仕事してなかっただろ!)

ところが──第一声がソレかい!

いや、ゴンにとっては文字どおりに「死活問題」ではあるけれど、このタイミングで叫ばれると──ギャグにしか聞こえないよなぁ……。今回のゴンは妙に子どもっぽくて可愛らしかった!

ゴンは病室から会場へ まっ先に駆けつけたと思うけれど、道中でモラウたちから事情を聞いたのでしょうね。初めて話を聞いたゴンは、この場面でのジンのように「!?」だったに違いない

カイト本人や事情を知らない人が聞いたら、「──モロッコ?」とか「赤飯……」とか頭をよぎったと思う(「赤飯って なんのこと?」という人は、家族が全員そろった時に聞こうね!)。


前回の感想では「ジンは逃げるに 3,000 ガバス!」みたいに書きました。こうやって 98 割は外れる感想を書いておくと楽しいですねー(悔し涙をぬぐいながら)。

HUNTER×HUNTER #334 「完敗」 トラの意を狩るネズミ | 亜細亜ノ蛾

父の しつけ

ジンはキメラアントの繭(まゆ)について知っていたほどの情報通なのに、カイトは敵に捕まったという認識で止まっている。カイトを助けるために命を差しだした息子が目の前にいるから、表現を抑えたのでしょうか。

そもそも「カイ子ちゃん事件」(?)のことを知っているのは、ゴンのほかにはモラウとコルトだけだった可能性がある。死線をくぐり抜けてきた「討伐隊」のメンバといえども、この事実を受け止めるには荷が重すぎます。

HUNTER×HUNTER #316 「本名」 子どもの駄々には正面から向き合おう | 亜細亜ノ蛾

カイトの代わりに自分が──と泣きじゃくるゴンに対して、ジンが投げかける言葉は厳しすぎます。しかしジンは、カイトだけではなくゴンも 1 人の男として・ハンターとして認めている。だから真剣に語った。

ジンが教えた仲間に謝る時のルールは、社会に生きる人間として もっとも基本的で大事な約束事ですね。相手のことを尊重して、自分自身も裏切らない。多くの読者とゴンは、このルールを一生忘れないはずです。

カイトの本気

カイトがネフェルピトー戦(『HUNTER×HUNTER (19)』 No.198)で出していた あのファンシィな「マジカル☆ステッキ」こそが、「本気を出した時の番号」かもしれません。

そのわりには「3」という中途半端な数字だけれど、じつは こんな能力を呼び出せるのでは──。

気狂いピエロべぇ
「ボクと契約して 魔法少女になってよ!」

そう、だから彼は彼女に──魔法少女になったのです! 次回から『魔法少女カイト☆マギカ』が始まるよー!(絶対、第 3 話で「カイトる」な)

あるいはキメラアントの女王に「食われた」のではなく、われらがカイト先輩(♂時代)は女王と「交わった」のでは……。

カイト
「オレはノンヒューマンだって かまわないで食っちまう人間なんだぜ」
ゴレイヌ
「完敗だわ……」(ゴリラが限界)
ふたたび出発の日

ジンが言った「また」という言葉と、それを聞いたゴンの反応が興味深い。てっきり、くじら島での出来事(『HUNTER×HUNTER (1)』No.001)をジンは直接見ていたのか──と思いました。

HUNTER×HUNTER 1 巻 「出発の日」 1 – 少年よ、大海へ挑め | 亜細亜ノ蛾

たぶん そうではなくて、カイトがジンを見つけた時に話を聞いたのでしょう。その時の情景が目に浮かぶようです。「オレの息子に なにしてんだ(満面の笑みでヘッドロック)」とかジンは言いそう。

どちらにしてもゴンにとっては、「ジンが自分のことを気にかけていた」という事実が うれしかった。生まれて初めて父親の愛情を直接受けて、どう反応して良いのか分からない──といった顔が微笑ましい。

冨樫先生も、子どもから同じ顔をされたのかな……。

副会長の本心

とうとうパリストンが会長になって、会場の全員に「くたばるといいね」フラグがキター! ──とは なりませんでしたね。

パリストンは心の底から「会長のジャマが したかっただけ」だった。ゴンに会長を選ばせた時も、どっちに転んでも良いつもりで楽しんでいただけでしょう。

復帰の直後にゴンの伝家の宝刀──「全員が悩んでいる時にサラッと究極の解答を出す」が見られて気持ちが良かった!

会長の意志を継いでいるのはパリストンだけだ──とジンは言っていたけれど、その真意が初めて分かった気がします。なんでもハイハイと言うことを聞く「十二支ん」よりも、自分を困らせる副会長の存在こそ、ネテロは求めていた。

前任は善人

選挙が終わってみれば、「ワルモノは、じつは良い人だった」──という少年マンガの王道展開じゃないですか! 少年の清い心を育てるのにピッタリの作品ですね!(子どもの■ミソを■ってた王とか、アニメで どうするんだろ)

冷静かつ客観的に・そしてイジワルな目で見ると、ゴンを「選挙のために利用しようとした」人物はレオリオやチードルのほうだった──という皮肉が最高に面白い。冨樫先生ならではのシナリオです。

こうなると、パリストンがキメラアントのマユを捕獲した意味も変わってくる。放っておけば人間を襲ったり共食いが起こる危険性があるため、安全な場所で彼らを教育しているのかもしれません。

本当に お手々をつないで お遊戯するつもりだったのかよ! また予想が外れたわー(チラッ チラッ

HUNTER×HUNTER #332 「喝采」 当選よりも尊い友だち | 亜細亜ノ蛾

スクスクと育ったキメラアントたちは、立派な人材となって国を立て直す──という ほのぼの感動ストーリィが頭に浮かびました。彼らを利用しようとしたジャイロも逆に感化されて、善人の指導者に なっていそう。

また、失踪者の急増は たんなる偶然か、あるいは「副会長派」が勝手に動いたか、もしくは副会長に見せかけた別の人物の犯行──という可能性も考えられる。

みんなから「バカ寅」と思われていたカンザイは、「(ふー 愚か者のフリを続けるのは いささか骨が折れますね)」とか内心では思っていたりして……。

──などと書いてきたけれど、個人的には最悪な性格の人物が好きです。チードルに見せたパリストンの素顔や涙は全部ウソで、キメラアントを兵士に育て上げ、ハンター協会を襲ってくる展開が楽しみ!

きょうだい間の決着

物語上の役割は終えてしまった感があるため、アルカの退場も あり得えます。それが「アルカは幸せに暮らしましたとさ」という終わり方なら良いけれど、最悪の展開も予想できる……。

イルミとの和解ができれば理想的ですね。シルバやキキョウもナニカの力を狙っているようだけれど、イルミほど非人道的なことは考えていないでしょう。

次に良いことは、アルカとナニカが共存しつつも、ナニカが「お願い」を叶える力を失ってしまえばいい。2 人そろって「私たち、普通の女の子(?)に戻ります!」宣言です。

そこでキルアに残された最後の手段として、「命令」が出てくるのでは? 「ナニカの能力を消してくれ!」→「あい」という流れです。ナニカが眠っている点は気になるけれど……。

なんらかの切り札がないと、キルアが のんきに病室で駅べn ──もといスクワット──もとい座っているなんて おかしいですからね(空中イスかとも思った)。