『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 23 巻 「オクルコトバ」
落ち着いた表紙の第 23 巻は、中身が最強にホットでした!まず、表紙をめくって先へ進むと、とある人物の体操服姿が描かれていてドキッとします。
──高校が舞台の作品だから、体操服が出てくるのは普通といえば普通だけれど、この作者が描くと──妙に色気を感じる。
そして、季節感をまるで無視した水着の集合絵が素晴らしい! 本編は けっこうシリアスな話が多いけれど、こうやって おまけ的な要素で楽しませてくれます。
Reviewer: あじもす @asiamoth,
今回も長すぎる感想をどうぞ!
第 199 話 「妹の悩みに悩む兄に悩む妹とその仲間たち 中編」
榛葉道流(しんば みちる)の説明は要領が良くて、彼の優しさを感じました。そもそも、卒業前の大事な時期なのに世話を焼いている点が すごい。彼の入試は大丈夫なのか──と こちらが気になってしまう。
モテモテのキザ男なのに性格が良い──のではなく、人柄の良さで好かれるのでしょうね。残念ながら、スケット団の周辺にいる「ちょっと変わった仲間たち」には、ミチルの良さは伝わらないけれど。
ミチルの立てた作戦は穴だらけで、失敗しか頭に浮かばない。ところが彼の説明が上手で、しかも絵が上手に描けているから、なんとなく成功しそうだと──だまされる。
将来は弁護士か──あるいは詐欺師で大成功しそうです。まぁ、どちらも似(自粛)
安形紗綾(あがた さあや)の態度は素直すぎる! 最近は あまり見かけなくなったけれど、そう言えば彼女はツンデレでしたね。男子の注目を引く術(すべ)を生まれたころから本能で身につけている。
でも、女子からは嫌われていそうだよなぁ……。
サーヤの演技が絶妙にヘタなところは、この作品では おなじみです。ボッスン・ヒメコ・サーヤの 3 人組で お芝居をやったら、見ているほうは ずっとヘンな汗をかき続けそう。
「お兄ちゃん待ち」をしている時の、恥ずかしそうなサーヤの表情が最高でした! こういう状況でもなければ(少年誌では)見られない悩ましさです。
安形が勉強している(?)姿を見て、感動して泣いているサーヤも良かった。色っぽさを感じます。
ゲス界のプリンス・佐倉実(さくら みのる)も出てきたことだし、もう一度ガッツリと「お色気回」を描いて欲しいです! あの「修学旅行編」を超えて──伝説を更新してください!
『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 15 巻 感想・2 | 亜細亜ノ蛾
ミチルとサーヤの演技を軌道修正するスイッチは見事でした。台本にないセリフをミチルに言った時も、「ミチルなら返せるはず」と計算したに違いない。知将と呼ぶに ふさわしい男です。
一番の問題になりそうだった椿佐介(つばき さすけ)の件も、あっさりとクリアしました。この入れ替えトリックは何度も出てくるけれど、そのたびに笑ったり感心したりする。
ところが、これだけ大勢で彼のために動いたのに、安形惣司郎(あがた そうじろう)の状態は まったく改善していない。今回も ずっと「かわいそうな兄」役──というか、やっかい者になっている……。
第 200 話 「妹の悩みに悩む兄に悩む妹とその仲間たち 後編」
とうとう 200 回記念です! ──それなのに目の座った兄ちゃん(こんな時でも けっこうオシャレ)でカラーを飾るなんて……。そう思ったから、ページをめくった後の楽園(パラダイス)に目が くらみました!
早乙女浪漫(さおとめ ろまん)が「普通に美少女」として描かれていて うれしい。本編では「ギャグ・マンガ顔」ばかりでしたからね。「黙っていれば美少女」が多い作品です。
サーヤは名前のとおり紗綾さんっぽい。なんとなく慣れたポージングに見えます。
最近の少年マンガの常識どおり、「一部分が控えめな人」は希少価値が高い。そのニーズは、結城澪呼(ゆうき れいこ)が引き受けています。──吉備津百香(きびつ ももか)もアヤシイな。
しかし、澪呼はメイクアップで「化ける」(幽霊的な意味ではなく)のだから、今回もフルメイクして欲しかった。もうスイッチのためにしか化けないのでしょうかね。
クエッチョンはポーズを取ってサービスしている。これは非常に珍しいですね。なにか楽しいことでも あったのでしょうか。──あと、最初は椿が女装した「サス子」かと思った。
高橋千秋(たかはし ちあき)はナディアと化している。キャプテンの所属しているソフトボール部では ここまで日焼けするはずがないため、このカラーのために砂浜で焼いたのでしょう。プロ根性だなー。
森下小麻(もりした こま)は反則です! しかし、コマは もうちょっと おなか周りが「ふくよか」な感じかと思っていた。そのほうが喜ぶファンも多いと思う。
丹生美森(うにゅう みもり)は、コマの次くらいに「大きい」はずです。「希少組」である浅雛菊乃(あさひな きくの)と澪呼が隣にいるから、余計にミモリンが「ごくり……」ですね(?)。
宇佐見羽仁(うさみ はに)は「バニー」化していなくても体形が良いけれど、いつものように表情が沈んでいて残念でした。よく見ると、「営業スマイル」と素顔が混在していますね。
水着なのにヒメコはチョーカ(首のリボン)を身につけています。とても大切な物というよりは、首に傷でもあるのかな──と思ってしまいますよね。あるいは、とてもじゃないけど少年誌では描けない形のホクロがあるとか。
じつは第 1 話から「音声合成機」で話していた! というオチが最終回で明かされたりしそうですが、「修学旅行編」でアッサリとチョーカが外れています。じっくりと読み直しましょうね!
ボッスンは、いつものパーカの上に制服のジャケットを着ているだけで、なんだか かしこまって見えます。彼なりに「ちゃんとした格好」で安形に忠告しに来たのでしょう。
安形とボッスンは良いライバル同士です。サーヤ絡みでのボッスンに対する憎悪も、現在の安形にはないはず。それなのに、異常なくらい安形は藤崎を敵対視しています。そこまでボッスンを嫌う理由があったかな……。
安形の誤解が解けた後も、妹かわいさに腹が立つのは分かるけれど──、「お前だったのか
」の場面は恐かった! 異常に殺気立っている。これが違うマンガだったら、変身してボッスンを瞬殺しそうな勢いです。
「恋は盲目」と よく言うように、自分が好きな対象については目も頭も曇る。
ボッスンはサーヤと ほとんど連絡を取っていないのでは──と前巻の感想で書きました。おそらく その推測は当たっていると思う。
『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 22 巻 感想・2 | 亜細亜ノ蛾
今回の「お兄ちゃん騒動」をきっかけとして、もっと 2 人の距離が縮まって欲しかった。でも、まだまだ先になりそうだなぁ……。
安形は、もしもサーヤの相手が椿だったら「弟みたいだから」許したと言う。では、ボッスンは? 弟よりは自分に近い実力を持った存在として──ひとりの男としてボッスンのことを認めたようです。
客観的に見れば「面白おかしい勘違い話」なのに、一歩間違えば大げんかに発展しそうな緊張感のある描き方でした。藤崎を(将来の)家族として迎え入れる準備が安形にできた──という重要な回だったからでしょう。
ようやく兄の妹離れができるそうです。
第 201 話 「ツッコミ禁止デスマッチ」
『スケダン』の世界でも「ジャンプ」が出版されているようです。『トリコ』の名前が普通に出てきました。
『バクマン。』の世界の「ジャンプ」には、かつて『バターマン』という架空の作品が載っていました。作中に同じ作品名を出したらヘンだからですね。
バクマン。 #69-1 「特別な仲と田舎」 連載会議と婚姻届 | 亜細亜ノ蛾
『スケダン』では代わりに何を連載しているのだろう? 『助さん』(すけさん)とか?
「フライングあるき鯛
」の捕獲レベルについて「リーガルマンモスより 高いやないかい!
」というヒメコのツッコミは、本家のマンガにも通じるよなぁ……。
バトル・マンガでは、連載を重ねるごとに登場人物の強さが上がっていく(インフレ化)。それで つまらなくなる作品も多い。それに対して『スケット・ダンス』は、ずっと平常運転という感じです。
ツッコミを禁止するネタは定番です。基本的にはボッスンもツッコミ・キャラであるところが面白い。ものすごく久しぶりに登場した武光振蔵(たけみつ しんぞう)のように、ずっとボケ倒す人物ばかりが出てくるからです。
決める時にはビシッと決める──という点では振蔵とボッスンは似ている。しかし、振蔵が活躍する機会なんて、今後は出てくるのかな……。
もしもスケット団が部活動として認められなかったら、ボッスンも振蔵なみに目立たなかったのでは? いや、その時には何かの裏方で活躍していたでしょう。それではマンガにならないけれど。
ロマンとチェリーの共演が楽しかった!
初対面の時から この 2 人は息が合っていましたね。チェリーのゲス攻撃も、ロマンは軽々と受け止めている。──というか、彼女は「その手の話」が好きそうだし、相性はバッチリです!
ロマンは、ボッスンへの淡い恋心を引きずるよりも、チェリーと くっついて欲しいな。
そう言えば、チェリーが自分から女子と接触している場面は、回想シーンのハイタッチが最初で最後です(たぶん)。やはりチェリーにとっても、ロマンは特別な存在なのかもしれない。
第 202 話 「3 年生を送る会奮戦記 前編」
篠原健太先生のカラー・イラストは、目と心に いつまでも残ります。ここで描かれている『不思議の国のアリス』みたいなヒメコも印象的でした。かわいい外見ですが、映画版のアリスのように彼女は勇ましい。
アリス・イン・ワンダーランド – いつまでも夢見る乙女は霧に消え | 亜細亜ノ蛾
1 ページ目から違和感を全開にして突っ走っている! 分かりやすく表現するのであれば、スケット団への相談と冒頭の順番を逆にして、回想シーンで宇佐見のことを描くはずです。
そこを「ティッシュ だらけで きったなーい
」から始めるところが笑えます。以前からのファンであれば、即座に理解してニヤリとする演出ですね。──というか、本当にあの校歌が そのまま採用されたのかよ!
『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 17 巻 感想・2 | 亜細亜ノ蛾
宇佐見は男性と会話をしないはずなのに、なぜか北大路正也(きたおおじ まさや)の言うことを素直に聞いている。男からの「お願い」には制約がつくけれど、「命令」なら聞くのかもしれませんね(多重人格なところも何か似ているなー)。
宇佐見が中心の話なので目立たないけれど、デージー・ミモリン・キリの配役も、サラッと済ませるには惜しい!
意表を突きすぎた加藤のヤンバルクイナ
よりも、まったく素のままの丹生をモンゴルからの留学生
と呼んでいるところが笑えました。
カッパの福永をごく普通に演じている椿も楽しいですね。ヒメコが椿をイジるのはいつものことだけれど、今回は北大路までノっている。ボッスンも椿も、兄弟そろって すっかりイジられ役が定着してきました。
浅雛はツンツンしている描写が多いけれど、本当は思いやりがある。この場面でも宇佐見のことを気にかけています(お気に入りだから?)。その逆に優しそうな丹生のほうが、意外と気が利かない。
宇佐見が水に濡れるという『To LOVEる』な展開は、「考えたら分かるやろ!」な点でも あの作品に似ています。なんで普通にプールへ入ったんだろう……(「日本語訳: いいぞ もっとやれ!」)。
下に水着を着せるアイデアを出した北大路は、じつに よく「分かってる」男ですね。彼の想像に出てきた宇佐見の姿(水着 + スカート)が素晴らしい! ぜひとも開盟学園の夏服にするべきです!
普段はヒメコやサーヤのオシャレに目が行かないボッスンは、すぐに宇佐見のストッキングに気がついている。それだけ彼女のことを心配していた──という場面ですが、自分も「告白 ですか?
」と思ってしまいました。
純粋なラブコメ作品なら、たまたまサーヤが 2 人の会話を聞いていて──という展開になりそうです。今回は「バニーの回」だから余計な要素を入れなかったけれど、この「勘違い三角関係」は いつか描いて欲しい!
本当の自分を自分自身で認めようとしない──という宇佐見の苦労は、ボッスンには何度も見てきた光景です。しかし、そのことを宇佐見は知らない。この すれ違いも、ラブコメ風でモヤモヤしますね!
第 203 話 「3 年生を送る会奮戦記 後編」
「スピードワゴンの 小沢みてーな声して !!
」と急に実名が出てきて驚きました。てっきりアニメか何かで関係が深いのかと調べたけれど、そのような事実はない(よね?)。作者が好きな芸能人なのでしょうか。
ヒメコに舞台度胸がないことは、テレビ CM の話で証明済みです。もしも彼女が照子のままだったら、グッダグダに終わったかもしれません。結果的にナイスな風邪でしたね。
『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 14 巻 感想・2 | 亜細亜ノ蛾
宇佐見の格好──黒タイツと「上履き」とのコントラストが美しい。やや反則ぎみながら、男性との会話も自分からクリアしているところも良かった。
『SKET DANCE』では、他人から見れば欠点としか言えない部分も そのまま描いています。そして欠点も自分の一部として、意図的に解決しないことが多い。
ほかのマンガであれば、もう そろそろスイッチが片言ながら話し始めているはずです。ヒメコが暴力を振るう場面も完全になくすでしょう。
ところが、宇佐見の男性嫌いと「バニー」の否定については、なんとか折り合いを付けようとしている。作者も新しいことに挑戦しているようです。スイッチやヒメコについても、なんらかの解決策を見せるのかな……。
困った時にチラッとボッスンを見る宇佐見が かわいらしかった。演出的に微妙なところだけれど、ボッスンが声を掛ける前に振り向いていますよね(ボッスンがテレパシィ使いではない場合)。
宇佐見にとって頼りになる男性は、いまのところボッスンだけなのかも。すぐ横にいる椿のことなんて 1 度も見ていないし……。
今回はボッスンの出番を抑えたところも効果的でした。劇の失敗を救ったのはボッスンの ひと言ではあるけれど、あくまでも宇佐見とバニー自身に解決させている。裏方に回したら最強の主人公です!
水着をバニーガールの衣装に見せるという機転が見事です! いつも以上にパタパタと伏線が たたまれていく気持ちよさを味わえました。
元はと言えば水着の発案者は北大路で、彼の演出が あったからこそ宇佐見が生き生きと動けた。そのわりには、北大路は地味な印象で終わりましたね。ボッスン以上に報われない男です。
この「3 年生を送る会」を見て、宇佐見のファンが増えたに違いない。宇佐見自身もバニーを受け入れられたし、これからの彼女が楽しみです! どんなトラブルが待ち受けているんだろう(ごくり……)。