『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.11 「9 月 4 日」
第 11 巻の後半も、バトルと謎掛けが熱かった! とくに謎のほうは、いま見ると あざといくらいに全力で引っ掛けに来ています。
冨樫義博先生の「けけけ」と笑う姿が目に浮かぶ……。
そう言えば、この巻の内容が「ジャンプ」に載った西暦 2000 年で、クロロ・ルシルフルは 26 歳でした。なんと、自分と同い年ですよ!
ただ、不思議なくらい 作中の時間は遅いため、作者が現実世界と年代を合わせているか どうかは不明です(携帯電話やパソコンなどの技術はシンクロしているけれど)。
いずれにせよ、12 年も前の話なのか──。
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Reviewer: あじもす @asiamoth,
No.099 「9 月 3 日 15」
今回の扉絵は、まるでファッション誌の誌面みたいです。とくに「カメラのレンズを持っている」ゴンが良いですね!
不敵な笑みを浮かべた表情のクラピカは珍しい。ずっと作中では しかめっ面をしているから、早く心に余裕ができると良いですね。
「盗賊の極意
」(スキルハンター)によって、クロロは梟(ふくろう)の念能力を繰り出しました。「奴は他人の 能力を盗む
」とシルバに言われていたとおり、他人の能力を使えるようです。
戦闘を有利に終わらせるため、クロロは風呂敷を出しました。ところが逆に、破られないような苦労が必要に なっている。
生け捕りにするつもりならば、クロロは直前まで風呂敷を出さないほうが良かったけれど、本を開いてから能力を扱えるまでに時間が かかります。その一瞬が致命的だ。
万能で最強に思える「スキルハンター」も、相手と状況を選ぶ。
「オーラを一点に集中させる技術」は、現時点では「凝」としか説明できません。ゼノの場合は「すっごい凝」とでも呼ぶべきでしょうか(呼ばないほうが良いと思う)。
ゼノが駆使する「龍頭戯画
」(ドラゴンヘッド)は、一見すると「放出系」の能力に思える。
でも よく見ると、ゼノの手元から龍は離れていない。派生技である「牙突
」(ドラゴンランス)も含めて、典型的な「変化系」能力ですね。
多人数で 1 人と戦う状況では、「時代劇風」や「戦隊モノ風」に なりがちです。ようするに、けっきょく「一対一を複数回」のバトルになる。「斬られるための順番待ち」ですね。
ところが この場面では、シルバの威嚇までもが有効に働くように描いている。シルバのオーラに気を取られて、一瞬だけ目をそらしたクロロをすかさず捕らえるゼノなんて、格好良くて涙が出ます!
「能力バトル」は こう描く──というお手本ですね。
No.100 「9 月 3 日 16」
記念すべき第 100 回です! でも、(エイプリル・フールでも平常運行の当サイトのように)ごく普通の始まり方でしたね。──いや、いつもより男くさいか。
名前だけの存在だった「十老頭」が初お目見えです。「老いて なお盛ん」を絵に描いたようなゴツい老人たちは、一瞬で消えていったけれど……。
彼らを始末した人物は、イルミとカルト──そしてゾルディック家の家長でしょう。本編では まだ名前が明かされていないから、「老け顔の子ども」──きょうだいの 1 人という可能性も ありました。
これで ほぼゾルディック家の一家総出だけれど、ここまで人数を投じるほど、「十老頭」の護衛は厳しかったのかな?
前回の能力からして、シルバは「放出系」でしょう。まさか本当に父親ごと撃つとは思わなかった!
「タダ働きもタダ死にも まっぴら
」とゼノは言っているけれど、シルバが力の加減を間違えたり、思ったよりもビルの材質が硬かったら、ちょっと危なかったのでは?
また、今回の仕事は絶対に損をするはずです。
まず、ゾルディックの人間にとって最悪なシナリオは、「暗殺に出動した全員が返り討ちに合って命を落とす」でしょう。それ以外でも、旅団か十老頭か、どちらかの報酬は手に入らない。よく引き受けましたね。
そもそも、「幻影旅団の討伐」と「十老頭の始末」とでは、どちらの依頼料が高額だったのだろう?
ミルキが暗殺の前借りをした金額から考えると、「暗殺 1 人: 10 億ジェニー」あたりが相場だと思われる。世界に名をとどろかせる旅団やマフィアの頭たちは、その何十倍も値が張りそうです。ちょっと予測が付きません。
不満そうな顔をしてシルバは去っていく──。
むしろ、団員の 1 人を狩られたクロロのほうが怒りそうなのに、なぜかシルバに恨みはないようです。ヒソカの前にいた 4 番は、あきらかにウボォーギンとは命の重さが違う。
今回のクレイジィな「依頼合戦」から発想して、もしかして旧 4 番の抹殺を依頼した人物は──クロロだったりして……。
ここまで意外と目立っていたビーン先輩は、まさかの「必殺仕事人エンド」ですよ!
──ヒソカにタバコの火を付けてもらって、なおかつマチに釣られるなんて、ウチらの業界では極上の ごほうびですケド。
さすがゼンジさん! ここまでクラピカを怒らせた人物は、旅団の ほかには彼だけです。
でも、どちらかと言えば、クラピカは怒りやすい性格ですよね。なんだか いつも怒鳴っている。それでも手を出す機会は すくなかったから、ストレスが発散できて良かったかも。
冨樫先生の手書き文字で「あー スッキリ」と書いてあっても おかしくない。
No.101 「9 月 3 日 17」
前回でゼノ・シルバとの戦いは終わっていたはずなのに、なぜかクロロたちが倒されている! 初めて見た時には、まったく意味が分からずに脳が固まりました。クラピカも同じ心境だったでしょう。
ただ──、クラピカは幻影旅団の団長を見たことがないはず。クロロの「屍体」を見て、ここまで驚いているのは不自然な気もします。
──ヒソカから「秘蔵の団長ブロマイド(はぁと)」を見せてもらったのかな。
- クラピカ
- 「それくらい ググれば分かるだろうに」
この「なぜか やられている幻影旅団」のトリックは、いちおう前回のコルトピの行動から推測が可能です。週刊連載で見抜いた人は何人くらい居るのかな……。そんな考察力が欲しい!
故郷の仲間たちが「一部分だけ」競売に かけられているなんて、なにかと比較することも想像することも できません。
目の前にある「緋の眼」をほかの人間に渡すなんて、クラピカには もってのほかでしょう。なんとしても競り落としたかった彼の気持ちを思うと、ただただ気の毒です……。
ところで、クラピカが殴った男のことを、ライトは「サンジ
」と呼んでいます。──ゼンジなのかサンジなのか、どっちなんだよ!
答え: 本名「ゼンジ・サンジ」
(※: いま調べたら上のネタは既出しまくりだし、そもそも単行本によっては「ゼンジ」で統一されているようです。ちぇっ!)
クラピカが「緋の眼」を受け取る時に、彼に向かって「はぁと」マークを出している人物は誰なんだ!!!? ──と連載時に大盛り上がり大会だった記憶があります。
ぱっと見はシャルナークにも見えますよね。ただし、操っている人物の すぐ横にいるなんて、どこの『名探偵コナン』くんだよ! 状態だから考えにくい。
また、「名もなきマフィアの 1 人説」も、可能性は皆無です。なぜならオークションの運営は、すべて幻影旅団が行なっている。
さらに、マフィア側に顔がバレている団員も除外されるはずです。受け渡しの際に顔を見られたら やっかいだ。
──消去法で考えていくと、「いつの間にか着替えたヒソカ」しか残りません。彼ならハートのマークも通常のセリフですね。
──と普通のブログ書きなら思うじゃろうが、ここで新説を挙げます!
われわれには、コルトピ先生という「人体をコピーできる能力者」が居るではありませんか! 彼の能力を使えば、『羊たちの沈黙』のバファローベル──もといバッファロー・ビル以上に「変身」できる。
つまりは、この場にいるフィンクスとパクノダをも含めた旅団全員のうち誰かが変装している可能性が あります。可能性と想像力を追い求めれば、そこには自由な地平が広がっている。
そして作中では(少年誌だから)描かれていないだけで、旅団員とクラピカとの「禁断の恋」が あったのかもしれない──いや、あった(断言)。
ということで、クラピカは下のセリフを、このあと もう一度つぶやくのです──。
- クラピカ
- 「
誰でも いい気分 なんだ 別に お前でも
(欲情」
レオリオとゼパイルは、絶対に気が合うと思いましたよね! ストイックなゴンとキルアとは逆に、人生の楽しみ方を熟知している 2 人です。
だからといって、11 歳コンビに酒を勧めるのは、たとえネタでもアブナい! 『バクマン。』でも未成年の飲酒──っぽい場面が出てきたけれど、こんなことで回収になったら楽しくないから、なるべく控えて欲しいですね。
バクマン。 #37-2 「取締役とトリ」 ラッコ人間と岩石の両手 | 亜細亜ノ蛾
世の中には、現実と虚構の見分けが付かない愚かなオトナも居るのですよ……(障子を突き破りながら)。
クルタ族の眼球を手に入れて喜ぶネオンを見ると、やっぱり「人体収集家」なんだと再認識しました。なんというか「黙っていれば かわいいコ」と同じ分類に入れたくなります。
ネオンのワンピースには、絶妙な位置に十字が付いている。うまい具合に「緋の眼」と場所を交換(コラージュ)すれば──とか考えたら、クラピカがミンチ製造マシンに なっちゃう!
仲間たちの目はネオンの私物になったし、報復する相手は消された──、クラピカの人生の大半を懸けたモノが両方とも奪われました。よくも まぁ、ここまで意地の悪い状況を作り出せるな──と感心してしまいます。
仕事が大成功して乾杯する旅団と、落ち込むクラピカとの差が激しい。やはり冨樫作品が他を圧倒している点は、この緩急の付け方ですね!
自分の感想も、毎回「かんきゅうの つけかたが すごい!」とだけ書いていれば済む気がしてきました。
No.102 「9 月 4 日 1」
少年誌で「殺人ビデオ
」(スナッフ)ネタはヤバすぎる! ──けれど、すでに冨樫先生は『幽☆遊☆白書』の「黒の章」でヤっちゃいましたね。
幽遊白書のアイテムの「黒の章」というビデオの内容を教えてください。 – Yahoo!知恵袋
(なぜ知恵袋の人たちは、「たしか──」などと ボンクラな脳みそのあいまいな記憶で答えるのだろう……)
「始めは ただ欲しかった
」という謎めいた言葉と一緒に、今回の話でも「ビデオテープ」が描かれています。なかには何が写っているんだろう……? これも また、「いつかは解かれる謎」なのでしょうかね。
シャルナークの能力が扉絵で明かされました。アンテナを刺す必要があるなんて、やはり使い勝手が悪いとしか思えません。
旅団には「念能力の達人集団」という印象が強いから、たとえば、「目を見ただけで人間を操れる」みたいな能力に すれば良かったのに。
しかし、そんなに便利な忍術──もとい念能力にしたら、「戦闘中に何度も目ェ見てんじゃねーかってばよ!」とかツッコむ読者(オレ)も居るでしょうね。
幻影旅団の特殊性を強調する話が描かれました。「流星街
」(りゅうせいがい)の住人たちには、さらに異様な信条を感じます。
我々は 何ものも 拒まない
だから 我々から 何も奪うな
このメッセージは、外界との つながりを深く感じさせつつも、完全に拒絶しているようにも思える。物質は受け入れても、心は閉ざしたまま──。それは多くの国や人と同じかもしれませんね。
流星街に住む者は、内部では深い絆で結び付いている。旅団員たちは その街の出身で、とくにウボォーギンは団員たちから厚い信頼を得ていたから、ノブナガの怒りも うなずけます。仲間を奪われたのに、このまま去るのでは筋が通らない。
──でも、シルバが倒した旧 4 番に対する報復は、なぜか まったく考えていないようです。やはり「ドーデモイー存在」だったのかな……。
まっすぐなゴンの心は、クラピカを笑顔にさせました。
ただ、旅団が死んだことを「よかったね !!
」と言い切るのは、無邪気にも ほどがあります。おそらく 100% ゴンの本心ではないでしょうね。クラピカのために言葉を選んだのだと思う。
その思いやりの心を察して、クラピカは笑ったのかな。
No.103 「9 月 4 日 2」
コルトピの能力名・「神の左手悪魔の右手
」(ギャラリーフェイク)は、『神の左手悪魔の右手』も『ギャラリーフェイク』も作品名です。彼はマンガ好きに違いない!
コピーした物は 24 時間限定とのことです。まるで、競売品を盗んで だますためだけに生まれた──かのような念能力ですね!
いま、仕事と使命と どちらを優先するか──、クラピカは死ぬほど悩んでいるでしょう。このタイミングでコピー能力の性能を公開するところも意地が悪い!
一歩間違えれば、ネオンから「緋の眼」を奪ってクラピカが逃走することも あり得たはずです。不本意ながらもバショウたちが追っ手に回る可能性が高い。そんな時に眼球が偽物だと分かったら──。
せっかく木造蔵で稼いだお金も、「グリードアイランド」を手に入れるには遠すぎる──。この段階でゴンに深い考えがあったか どうかも不思議です。おぼろげに秘中の策を思いついていたのかな。
ゴンたちには足りない金額も、ゼパイルやレオリオには大金です。無欲に見えるゼパイルが欲しかった「決して 金では買えない 経験
」は、このあとで手に入るのでしょうかね……。
小切手の確認に行ったまま逃げられば良かったかも。
幻影旅団ひとりひとりの強さを思えば、クラピカが「制約と誓約
」を込めるだけの価値は十分に あります。命がけで何年も修行を続けて、それで対等に戦えるかどうか──という相手ですからね。
それに「旅団員の遺体」が発見されたとはいえ、まだ半数以上は生き残っている。彼らを止めたいクラピカもゴンも、「めでたし めでたし」とは いかない。
ただし、旅団狩りに一番熱心な人物はキルアだった。
キルアが心配している(と見せかけている)ことは、熱心な訴えである上に正論だから、クラピカも真剣に考えてしまう。
ところが、旅団を捕らえた賞金のために、キルアはクラピカを利用するつもりだった! なんという込み入った感情を描き出すのか……!
また、「そんな 大事なこと
をクラピカがベラベラ語るのは なぜだ問題」をキルアが指摘していて注目しました。自分が ずっとツッコんで来たように、ほかの人物も気にしているのでしょうね!
張り詰めた空気の中で団長が本を取り出した理由は、自分には次回まで分からなかった。いままで怒ったことを総合して考えれば、この謎も答えを導き出せましたね。
『HUNTER×HUNTER』には、意味深な場面だけ出しておいて「──で あれは何だったの?」という場面は ほとんどない。この巻で言えば、上で書いたビデオテープくらいでしょうか。
だから「クラピカの性別は?」という問題も、いつかは──明かされないほうが良いかなぁ……。