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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 – やり直せる彼(女)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 EVANGELION:3.0 YOU CAN (NOT) REDO.

何度も繰り返す──つながりを信じて

今日を 15 年間待ちましたよ! おもしろかった!

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の公開が 1997 年で、それ以前もそれ以降も、自分は ずっと『エヴァ』が好きです。庵野秀明総監督もスタッフも声優のみなさんも、劇場公開の日を待ち望んでいたでしょう。

そして、十数年待った人たちは ほかにもいた──。


同時上映の『巨神兵東京に現わる 劇場版』は、劇場の半数以上が完全に置いてけぼり状態です。初めて『エヴァ』に触れた人は もちろん、『』・『』と予習・復習を欠かさなかった人でも、前知識がなかったら面食らうはず。

しかし、まさか──本編は その 256 倍も置き去りにされるとは思わなかった──。あれほど意味不明な状態のまま「おもしろい!」と感じたことは、『エヴァ』を初めて観た時以来ですね。

ぜひ、何も知らないままに観てください

パンフレットに関してだけ完全にネタバレすると、「豪華版」と「通常版」の違いは以下の通りです。「通常版」は、「豪華版」のダイジェストに『巨神兵』を足した感じでした。

  • 劇中映像の静止画: 豪華版が 10P、通常版は 3P
  • 声優へのインタビュー: 豪華版 33P、通常版 12P
  • 設定画集: 豪華版 26P、通常版 4P
  • 巨神兵東京に現わる』用ページ: 豪華版なし、通常版 7P
  • 表紙: 豪華版は「どこかに沈む初号機」、通常版は「シンジとカヲル」(※この絵は豪華版にも収録)

「ファンなら どちらを買えばいいんですか?」の質問には、もちろん「ファンなら聞かずに両方とも買えよ」です(にっこり)。


今回は、あまりネタバレしないような感想を書きました。下の記事でも「謎解き」は避けて、もっと物語そのものについて書いています。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を登場人物の心情から読み解く! | 亜細亜ノ蛾

パンフレットには文字情報が少ないから、ネタバレが知りたい人は Wikipedia(か 2ch)が一番でしょう。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q – Wikipedia

また、ネタバレありの考察と感想は こちらをどうぞ!

『破』の疑問

』の最後で、神に等しい存在になっ(てしまっ)た初号機と、取り込まれてしまった碇シンジ綾波レイは どうなったのだろう?

渚カヲルが すべてを救う天使となるのか、それとも世界を滅ぼす悪魔となるのか? (その前に、今度こそ二言三言で終わらないと良いなぁ……)

使徒による精神汚染を警戒され、隔離された式波・アスカ・ラングレーは復帰するのか? 真希波・マリ・イラストリアスは、まだニャーニャー鳴いている

『破』から『Q』へ

──と「前回の続き」を観られるとワクワクしながら幕が開くと、「──ん? ああ、そんなの とっくに終わっているよ」と庵野総監督から言われたように感じました。

「葛城サト」や「赤木リツ」とか「アス」みたいな人たちが、『エヴァ』とも『ヱヴァ』とも違う──『ヴァ』を熱演している感じの悪夢感が すごい!

マリだけは変わっていないから、彼女がスパイした結果「ネルフの関係者からクローンを造った」かと最初は思いました。冷静に考えれば、パイロットに予備はいても、ネルフには必要ないけれども。

あるいは、シンジが寝ている間に「世界が再構築」されてしまったのか──とか、ある意味では「夢オチ」を強く望みたくなる展開です。──このあたりの疎外感は、パンフレットで 緒方恵美さんが語っているので お読みください!

なにより、リツコ先輩に引っ付いていた(意味深)純情な伊吹マヤが男前になっているし! そうか、リッちゃんはネコ(意味深)だったのか。


いやいや、「行きなさい、シンジくん!!」と『』でミサトはシンジを後押ししていましたよね。それが今になって、シンジを「大量殺人犯」みたいに扱っていてヒドいなぁ。

──だから今回のミサトは、気まずさそうにシンジと顔を合わさなかったのか。

シンジとカヲル

「またヤろう(意味深)」とか「誘って(意味深)」とか「2 人で横たわると気持ちいい(意味深)」とか、「そうとしか思えない」セリフばかりでしたね!

カヲルからすれば、ずっとシンジのことだけを考えていた(意味深)から、シンジへのアプローチ(意味深)はそうとう慎重だったはずです。

そのわりにカヲルの押しが強くなかった(意味深)理由は、加持リョウジ「アッー!」事件(『』)を監視していたからでは? シンジには優しく接したほうが受け(意味深)も良いと判断したのでしょう。

渚カヲルの一生
シンジ
があれば、世界をやり直せるんだ!」
カヲル
「シ、シンジくん、それは……(初めての動揺」

サブ・タイトルの「YOU CAN (NOT) REDO.」は、直訳すれば「あなたは やり直す(ことが できない)」となるでしょう。これはシンジではなく、カヲルに向けた言葉だと受け取りました。

──いや、たぶん庵野総監督やスタッフの人たちは、当然のようにシンジへ向けていると思う。しかし、シンジやレイ・アスカ・マリたちには、まだ やり直せる(←この記事の題名の意味)。なぜなら、生きているのだから。

「仕組まれた子どもたち」のなかでも、カヲルの特別さは言うまでも ありません。彼だけは、何度 歴史が繰り返されても、「あの結末」からは逃れられない。

──うん、やっぱり最近になって劇場版になった名作あの先輩を思い出すよなぁ……(カップリングが流行しそう!?)。

前回までの感想

おわりに

さて、次回は来年 2013 年に公開予定では なくなったシン・エヴァンゲリオン劇場版:||』 (EVANGELION:FINAL) です!

──最後の記号は、正確には演奏記号の「反復記号(終わり)」だけど、ウェブ業界や出版業界で頭を抱えるデザイナやサイト管理者(オレ)が目に浮かぶなぁ……。『完』でエエやん!

エヴァ』は、鷺巣詩郎氏の音楽が素晴らしいけれど、劇中にまで音楽が色濃くなるのは なぜでしょうね? 歌や音楽こそ、リリンの生み出した文化の極みであり、究極の「反復」だからかな。


今日に限って体調が悪くて、そして あの内容だから、帰ってから「エヴァ熱」が出てダウンしました。でも寝たら元気になった──って、これ 15 年前の劇場版と同じだ! シンジくんと同じで、まるで成長していない

そう言えば、『エヴァ』は「シンジ君を成長させない物語」と以前に書きました。いろんな意味で当たっていましたね! そしてレイもアスカもマリも──。

貞本 義行 『新世紀エヴァンゲリオン』 1~4 巻 感想 | 亜細亜ノ蛾

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