劇場版 『HUNTER×HUNTER 緋色の幻影(ファントム・ルージュ)』
『H×H』ファン必見の劇場アニメですよ!
「ヨークシンのオークション編(幻影旅団編)」よりも後・「グリードアイランド編」の前を描いています。とくに物語の中心人物であるクラピカやキルア・幻影旅団のファンは大いに楽しめるはず!
「クラピカ追憶編」の場面もチラッと出てきました!
「クラピカの緋の眼が奪われた? どうやってだよ!」「ウボォーギンやパクノダも出演? はぁ!?」
──と「週刊少年ジャンプ」で情報を見るたびに幻滅してたし、アニメ版の『HUNTER×HUNTER』は初めてです。ところが納得できる展開で観て良かった!
少年の繊細な心を描く しんみりしたシーンや派手なバトルのメリハリが良く、「冨樫 義博作品らしさ」を感じます。
劇場版オリジナルのオモカゲ(声: 藤木直人)とレツ(平野綾)も良かった! とくにレツの演技が『H×H』世界に なじんでいましたね。
「劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影(ファントム・ルージュ)」公式サイト
人形師か人形か
人形師のレツは、もうひとりのキルアみたいでした。
「きょうだいに縛られている」点と「人形」のキーワードは、そのままキルア・ゾルディック(伊瀬茉莉也)を表わしています。
レツもキルアも、「本当を生きたい
」と強く望んでいる。これが本作品のテーマでした。
本編のキルアは このあと、ゴンと行動をともにして良い方向へ変わっていきます。一方のクラピカは、単独行動が多くて自分自身が鎖に縛られている。レオリオが一緒にいてあげる(意味深)べきですね!
後半のレツはロリータ・ファッションが かわいい!
しかし、ここでアリガチな「急に女の子口調」と ならなかった点を評価します! 最後のほうで「妹」としてのレツを見せる展開までは、「少年として旅を続けてきたレツ」に徹している。
- ビスケ
- 「この子 あたしとカブってるわさ」
- キルア
- 「……どこがだよ バb (吹き飛ばされ中)
彼女のオモカゲ
ウボォーギン大塚明夫やパクノダ(朴路美)・パイロ(川島海荷)・まさかの陰獣まで復活して、最初は違和感どころじゃなかった。
しかし、オモカゲの能力を知って一安心です。クロロとコルトピの能力を足した感じですね。 作り出された人形は本人の劣化版だけれど、同時に何体も操れる点は強い。オモカゲ自身が修業を積めば最強を目指せそう。でも、彼にとっては無意味だ。
「人形師でありながら人形でもある」構図は、レツだけではなくオモカゲにも当てはまります。妹を操っているようでいて、兄も彼女に縛り付けられていた。
この「スレイブとマスタの逆転劇」は自分の大好物なので、『H×H』本編でも味わいたい!
──けれども、イルミ・ゾルディック(松風雅也)は自我が確立されまくっているからムリだよなぁ……。ゾルディック家の人間がサラッと もう 1 人くらいは増えそうだけど。
いつもの面々
ゴン・フリークス(声: 潘めぐみ)は少ない出番ながらも、本編と同様に美味しいところを持っていきました! あいかわらずムチャをやっていて、しかも仲間に話さないからヒヤヒヤする。
クラピカ(沢城みゆき)は、友だちの ありがたみを「幻影旅団編」で身にしみて知りました。そして失う悲しさも──。
そのため、劇場版でもレオリオ(藤原啓治)たちを素直に頼っています。いつものナマイキな口調すら出なかったけれど、緋の眼を奪われて弱気になっていたのかな。
幻影旅団の面影
幻影旅団のなかでは、ノブナガ・ハザマ(内田直哉)が目立っていました。原作ではドジな面が強調されていたからか、映画では格好いい場面ばかりです。ノブナガ専用の BGM が流れるし。
ノブナガとウボォーとの対決(!)では、長年コンビを組んできた相手ならではのセリフが味わい深い!
「ウボォーは足手まといと組むと強くなる」なんてフランクリンとシズクが以前に話していました。でもじつは、ノブナガも「超破壊拳(ビッグバンインパクト)」の弱点を守っていたに違いない!
また、ノブナガの念能力は「タイマン専用」と思われていたけれど、マチ(前田玲奈)の念糸があれば解決です。この ふたりが組んでいた理由も分かりますね!
ヒソカ(浪川大輔)対クロロ・ルシルフル(宮野真守)はアッサリ終わってしまいました。人形だから仕方がない。
ただ、100 万人限定の『HUNTER×HUNTER No.0』によると、クロロが幻影旅団の団長になった経緯などは本編で描く(かもしれない)そうです! 期待して待っていよう!
おわりに
「原作ファン」とは なんでしょうか?
自分は「原作至上主義」・「原作厨」であるため、「どのメディアでも原作と同じ内容」を望みません。メディアが違えばコンテンツを変えて当然と思っています。
「劇場版アニメ」という限られた時間のなかで、本作品はアニメ作品として良くできていました。
それに、ちゃんと「冨樫している」。たとえばキルアだけは「足音を殺して歩いている」し、緩急の付け方も上手です。
『劇場版 『DEATH NOTE』 / 『the Last name』も原作の良さを生かして別の物語を作り上げていました。
やはり違う舞台では、違う世界が観たい。