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『ニセコイ』 11 巻 「ハナタバ」 1 – 何も思い出せない

『ニセコイ』 Vol 11 「ハナタバ」


まだ花開かぬ──優しい思い出

橘 万里花の表情が悩ましげな第 11 巻です!
本編を読むまでは「あれ? マリーって こんな感じだったっけ?」と思ったりする。しかし、いままでにも彼女の おしとやかさは描かれてきました。普段とのギャップが良いですよね!
──まぁ、カバーを外すといつもどおりですケド。

それにしても──ヒロインなのに表紙の扱いが小さい!
コミックスの中身でも今回の出番は少なめで、次の巻での巻き返しに期待したいです! (もちろん、鶫 清司郎のこと)

第 90 話 「アオイロ」

一条 楽は、まだまだ記憶を失っていた!
この「キレイな楽」は、コミックス派の人が久しぶりに読んだら違和感がスゴいのでは? でも、見慣れてみると「このままで良いような……」と(ヒロインたち同様に)思ってしまう。
家業が家業だけに、父親から「男らしく」育てられたせいで、普段の一条はガサツな言動が目立ちます。でも、彼の長所は その優しさにある。いまの状態のほうが楽に似合っていますね。


絵本によって核心に迫る……か!?
──と思わせてモヤモヤと終わるのは、これまた この作品らしい。ときどき出さないと忘れる「鍵と錠」の話は、いつまで引っ張るのか──。

いずれにせよ、桐崎 千棘だけが覚えていた「ザクシャイン ラブ」は、「お姫様候補」の決定的な事実──とは ならなかったわけです。小野寺 小咲が持っている絵本に書かれていたから。


「万里花は何を知っている(覚えている)のか」が気になる!
もしも「マリーこそが 10 年前の楽が好きだった女の子」という証拠を握っていたら、彼女の性格からして すぐに言ってしまうはずです。
逆に「橘は一条の思い出の子──では なかった」ことを知っているから、彼女は黙っている。──そう見えます。

第 91 話 「クヤシイ」

約束の女の子」に一条が出会えたら、どうするか?
記憶を失った現在の楽は、「どうも しないでしょう」と答えています。しかし、記憶が戻ったあとでも同じことを答えるだろうか?

──読者はその答えを知っています。
「一条 楽は、小野寺 小咲が好きだ」と。千棘(たち)は、まだ知らない。


桐崎は、「10 年前の思い出」にも「楽が好きな人(小咲)」にも勝ち目が無さそうです。
せっかく「ニセコイ」から「マジコイ」に変わったのに、このまま千棘には失恋するしかないのか? そうすると、高校を卒業するまで「ニセコイ」を続けなくては ならない事実が、あまりにも悲劇すぎる……。

ところが、楽の思い出した映像が気になります。
ぼんやりと鍵を手渡したことが頭に浮かんでいる。これは「約束の女の子」の手で、10 年前の桐崎なのかな? それとも、別の子なのか……。

客観的に見ると、「あなたは あの時の…」という言い方は、約束を交わした相手とは思えません。「あなたが 約束の女の子だったんですね!」みたいに言うと思う。
それに楽の表情も、うれしいよりは「悲しい・困った顔」に見える。
つまりは──。

第 92 話 「ハナタバ」

千棘の誕生日を記念する話です!
──それなのに、扉絵はカラーで描かれた小野寺でした。しっかりと鍵を手に持ち、いかにも「私こそが本命!(どやぁ」という感じがする(そんなコだっけ!?)。
このブログでは鶫や橘を「フビンちゃん」と呼んできたけれど、真にフビンなのは桐崎なのかも……。


一条が記憶をなくす話は以前にも ありました。
第 65 話 「ヘンボウ」の楽は、今回よりも大変うらやましい──もとい大変な目に遭っている。
じつは、今後も「一条は殴ったら記憶が飛ぶ」という体質(?)を利用した話が出てきます。そんなに頻繁に記憶喪失になったら、成人するまでに楽の精神が──。

『ニセコイ』 8 巻 「ギリギリ」 1 – 酔った勢いは続かない | 亜細亜ノ蛾


久しぶりにキレイな桐崎が見られました!
ドレス姿は美しかったし、「ハナタバ」のプレゼントを素直に喜ぶ笑顔が最高です! ギャグ顔が多い彼女だけに、たまに見えるステキな表情が素晴らしい。

千棘の「目の色」のトリック(?)も解かれました。
ただし、何度も繰り返すように、いまの楽は過去の思い出よりも現在の恋(小野寺)を追っている。それなのに桐崎が「お姫様(約束の女の子)の可能性」に賭けているのは、見ていて切ない……。
でも、頼りない賭けにでも一喜一憂することは、まさしく中高生くらいの恋愛です! ああ、青春しているな──と ほほえましかった。

第 93 話 「ヤセタイ」

冒頭の小野寺姉妹の じゃれあいがカワイイ!
そしてラブコメものでは定番の(もう すぐにオチが分かる)「体重計に乗って びっくり仰天」の図です。なるべく軽装になったり片足立ちになることも、平安時代から続く伝統芸ですね。
ところが、ここで うかつに下着まで脱──がない ところが小咲らしい! これぞヒロインの姿です! 千棘や春だったら、0.02 秒でスッポンポンでしょう!(期待に満ちた目で)


宮本るり師匠も さすがでした!
ちょっと小咲の下腹部周辺をなでまわした(ごくり……)程度で、「別段 変わったようには 思えないけど」と判断しています。いくら同性で仲が良い(意味深)からといって、すぐに相手の体形が分かるのでしょうか?
普段から触っていなければ──あっ・・・(察し)


お腹が鳴るなんて、恋する乙女には致命的です!
とくに好きな異性の前で空腹を知られるなんて、小野寺には耐えられなかったでしょうね。必至に ごまかす態度は もちろん、独りで早弁する姿すら かわいらしかった!
自分も中学生くらいには、よく授業中に内臓がギュルギュル鳴ってイヤでした(下痢ではない)。あれ、何だったんだろう? 元気が有り余って内臓が働きすぎていたのかな? (なんとなく乙女ちくな表現)


楽が作った「大学いも」は どうなったのか?
この最大のミステリィ(?)は、当単行本で ようやく解かれます。ちゃんと小咲に味わってもらえました。小野寺家で彼女が一番 味が分かるという伏線(?)も回収されている。
そして、ここまで「友だち」の度を超えた優しさを受けて、それでも恋心に気がつかないところも、いつもの小野寺で良かった良かった!

asiamoth: