HUNTER×HUNTER #345 「署名」 幸い×介在×解体

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HUNTER×HUNTER』 No.345 「署名」

クジラは田代や網地島を見てたのかな。 旅立ちの時まで──休息の日々

ようやくゴンが主人公らしく目立っていました!
彼の年代に合った「子どもらしい笑顔」を見せていたし、積極的に家事手伝いをする「良い子」の一面も見られました。
でも、そんなに喜ばしい復帰でもありません……。

カキンの 第四王子の動く姿も描かれています。
こちらは、第一印象から変わらない「やっぱりな」という好みの持ち主でした。やはり、クラピカの悲願達成は困難を極めそうです。

オーラの終わり

ゴンのオーラが 出ないのではなく「視えなくなった だけ」だとジンは言う。だいたいは前巻の感想で書いたとおり(というか設定どおり)でした。

HUNTER×HUNTER #344 「著者」 書き続ける意志力 | 亜細亜ノ蛾

オーラは、生きている人間・生物の体内を流れている。だから、なくなったりは しません。
また、オーラの使い方も「泳ぎ方や自転車の乗り方と同じく 一度覚えたら まず忘れませんよ」とウィングは言いました(『HUNTER×HUNTER (7)』p.32 ──「まず」が気になるところだけれど)。

しかし、「凝」すら使えないほどゴンのオーラの総量が激減している──とも思えない。
肉体的には「元に戻った」はずですが、精神的な問題でオーラが出せないのかな。だとすれば、また(ビスケット・クルーガーに鍛えられた時のような地獄の)特訓でオーラを使えるでしょう。

ところが、また別の問題がある。

目的と手段

ゴンにとって念能力は必要なのか

ジンを 見つけることが 目的で、そのためにゴンはハンターを目指しました。そして、正式なプロ・ハンターになるための条件が「念を覚えること」だった──というだけです。
途中の さまざまな冒険はゴンを鍛えたし楽しませたけれど、もう当初の目的は達成してしまっている。今のゴンには、念能力や戦いは「遊び飽きたオモチャ」なのかも。


それでも、ゴンにはクジラ島を飛び出して欲しい。
クジラ島には同年代の友だちもいないし、なによりゴンは子どもっぽくない。「育ての母親」と思っている人を「ミトさん」と呼び、実の父親を「ジン」と呼んでいる。
また、天空闘技場やグリード・アイランドで稼いだ お金にも執着がない(ミトさんの衣装代に消えた?)──。

ゴンは一体何を楽しみにして生きているのか

これだけ長い間 ゴン(「ゴンさん」含む)を見続けてきて、この主人公の姿が ぼやけて見えます……。それは多くのマンガの登場人物に言えることだし、現実世界で親しい人や自分自身にも当てはまる。

ゴンくらいの年齢(13? 14?)だったら、もっと遊んだり学んだりする欲求が あっても良いはずです。
ミトさんがゴンに押しつけた書類と教材の消化は ちょうど良い。「母親」であるミトさんも手伝ってくれるでしょう。そこから、ゴンのなかで ゆっくりと生きる目的をもう一度見つけて欲しいです。


さて、久しぶりにミトさんが再登場です!
あいかわらず、おばあちゃんとの 2 人暮らしのはずなのに、大量の洗濯物を干して畳んでいる。こんなに一度に洗濯する必要が あるのかな?(ちなみにオレは自分の下着を毎日 洗濯している)
ミトさん(あるいは ばーちゃん!?)が ものすごく衣装持ちで、一日に三回は着替えをしないと気が済まない性格だとか? それにしてはシーツ類が多いか。

父親として

全てを捨てる 覚悟で戦って 普通に戻れた
──ハンター協会でも有数の念能力者でもあり父でもあるジンに言われると、心強く感じる一方で、「親に見放された」ようにも感じます。どこか「知人・同僚への励まし」にも聞こえる。

ところが、ゴンとの通話では素っ気なかったジンですが、電話を切った後では不安そうな表情を浮かべました。
パリストンがゴンを狙う可能性を考えたのでしょうか。それ以前に、ゴンが落ち込むだろうと予想しているの かもしれません。だとしたら、父親らしい反応で 少しだけホッとしました。

──真実は こうだったりして。

ジン
「(ちっ なかなかレア・アイテムが出ねェな……)」
資産の生かし方

ジンが大金をつぎ込む理由は何だろう?
「和服の おかみさん」との会話からすると、ジンは何十人に対して億単位の金を渡す気でいます。しかも「それぞれの足し」程度に見ている。
そこまで(ひょっとしたらムダ銭を)払ってでも No.2 に こだわるには、なんらかの読者の予想を上回るような目的が隠されているに違いない!

たとえば、「片方の目を髪で隠した男」のように「寝返る人物」をジンは探している──わけでは ないでしょう。そんな分かりやすい手は、パリストンに見破られる以前の悪手です。
それに、どれだけ金を積まれても信条を変えない人のほうが多いはず。たとえば前髪だって、パリストンかジンか どちらかを選ぶ究極の選択が あったら、悩んだ末にパリストンに ついていきそう。

ただし、ジンの性格に惚れ込んで同士になる者は出てきそうです。現時点で「ぐるぐるメガネ」と「道化師シェフ」・ぽっちゃり・ウィンクあたりはジンの仲間になりそう。

No.3 は誰?

今回も「パッツン・ファット」が仕切っています。
協専の メンバーのなかでもパッツンはリーダー格なのでしょうか。「後ろに手を組むポーズ・口だけ達者・服装」からして、「ツェズゲラ感」が消えないけれど。
それとも、「真のリーダー」をジンに気づかれないための影武者役なのかも? アメをなめている人物(人?)なんかは怪しさ満点です! 絶対、そのうち顔が変わったり変身する。


パリストン・ヒルは今回も静かです。
しかし、「人に 憎まれると 幸せを感じ 愛しいものは 無性に傷つけたく なる」性格のパリストンが、いまは「嫌いになった人間を どうしたくなるか」──と静かに燃え上がっている。
上で書いたように、ゴンを標的にしないと良いけれども……。それとも、初めての同族嫌悪から、いきなり「少年マンガ的なライバル・キャラ」に目覚めたりして(しない)。

HUNTER×HUNTER #343 「勧誘」 招待×正体×照対 | 亜細亜ノ蛾

王子の皮を被った獣

ツェリードニヒ・ホイコーロ王子は念能力者でしょう。
人の皮をはぐ残虐性──の前に、その大変さは『ねじまき鳥クロニクル』を読んでいただくとして──。
単純に考えて、同時に 2 人を相手した上に 2 人(「女 2 コ」)を追加するなんて、一晩では通常は無理な話です。「排水溝に流れているモノ」からして、「一部分」だけで満足しているはずがない。

人殺しが趣味の能力者と言えば、今ごろはグリード・アイランドの王となっているはず(棒)のビノールトを思い出しました。彼の能力は「実戦・実践向き」じゃなかったけれど、王子は「それ専用」の能力なのでは?


「次に来た女性が血まみれの風呂場を見たら どうするんだ」という疑問に対して いちおう書いておくと、「ホテル全部王子の 所有物」で解決です。隣の部屋へ呼べば良い。
──あるいは、総合芸術を求める王子だから、スパイスとしてスリルをくわえるために、わざと同じ部屋へ連れ込む可能性も あるけれど。

被害に遭った女性 2 人は ES 細胞やiPS細胞を知らなかったけれど、「「STAP 細胞は ありまぁす!」」と言いながら力尽きたのかも(不謹慎!)。

貧富の生み出すモノ

富める者が貧しい者を食い物にする。
──そういった描写は、前述のビノールト登場あたりから描かれてきました。「キメラアント編」の後半でもイメージ映像的に挿入されましたね。
億万長者となって久しい冨樫 義博先生(と奥さまの武内直子先生)の自分自身に対する戒めなのかも?

ところで、「イカレた性格の王子・気さくな態度・髪型・博識」という共通点から、『レベルE』のバカ王子を思わせます。
あっちの王子も宇宙一の頭脳(と財力)を駆使して小学生に命懸けの冒険を強制していたし、ある意味では どっちもどっちかな……。

抵抗と拘束

クラピカにはミザイが護衛に付くと見ました。
ミザイストム・ナナが ほのめかしたように、王子は一筋縄ではいかない相手です。「密室裁判(クロスゲーム)」が あれば、一度「拘束」するだけで あとは「警告」だけで穏便に済ませられる。

しかし、そんな生っちょろい展開を描くはずも ない。
ネオン・ノストラードのように「趣味」で人体を収集していたような甘ちゃんと、ホイコーロの第四王子とでは、まったく異なる人種です。「クラピカ・ミザイ vs. 王子の激しいバトル」が見られるのでは?

とらわれの獣

ビヨンド・ネテロは、監視つきの状態で大陸入りです。
ハンター協会でもトップ・クラスである十二支んに同行された状態で、しかも追跡装置付き 足輪で居場所を把握される。こんな状況でビヨンドは好き勝手に暴れられるのか?

十二支んのなかにビヨンドの腹心が いる(ピヨンがアヤシイ)か、それとも大陸へ上陸後に寝返るか──、と読みました。
こういう場合は「一番あり得なそうな予想」が当たったりする。普通に考えれば「チードル・ヨークシャーの裏切り」という可能性が低そうだけれど、冨樫マンガだけに もっとも起こりそうな展開かも。

上陸の条件

暗黒大陸へ行くため条件が また語られました。
V5」(カキン王国を加えた「V6」)の支援(という名の搾取)のある状態が、「許可」を得たと言うとは意外です。
残りの「資格」「手段」「契約」も含めて、4 つの条件とも「暗黒大陸の門番から得るモノ」と考えていました。すべて人間界で手に入るモノなのか?

おわりに

パリストンの「鬱陶しいな…」は初めての感情です。
最初は、うろたえた表情をした「梅さん」への評価かと思った。江戸っ子は「うろたえ役」が板に付いてきましたね。板前だけに(どっ)。
暗黒大陸でも、おそらく太っちょが「解説役」・江戸が「叫び役」をつとめるでしょう。──これが彼らの専門家スペシャリスト)としての仕事だ!(?)