『ニセコイ』 Vol. 21 「マリーヘ」
まるごと一冊、マリー特集号です!
表紙から扉絵・本編と万里花が中心に なっている。いままで一度も見たことがないような橘の表情も見られました!
──良い意味でも悪い意味でも……。
Reviewer: あじもす @asiamoth,
第180話 「ミテキタ」
扉絵のマリーが美しい!
まさしく「天界から下りてきた女神」です! 清純な乙女である(と思われる)マリーらしい絵ですね!(ナニを疑っているの?)
ただし、人間界で暮らす女神の伝説は、決まって悲劇で終わる。描き下ろしでサラッと示された蓮の花(?)が、なんとも はかなげで不安にさせます──。
冒頭からハラハラするシーンがスタートしました!
大量に薬を飲んで息を乱す万里花が痛々しい……。「午後には良くなりました
」なんて橘は言っているけれど、ムリをしていることが一目で分かる。
この作品は、いちおうは「学園ラブコメ」という軽~い明る~いノリが要求されるジャンルとして始まりました。しかし今では、いろいろな重みが加わって歪みが見え隠れする。──人生と同じで。
今年もチョコは つぐみんが一番乗りでした!
楽がチョコレートを確認した順番は後でしたが、誰よりも先に一条へ届けています。そして、ほんの一瞬で楽の視線に気がつく鶫が かわいらしい! ごく普通に楽が喜んでいるのも良かった。
おそらく つぐみんは、早朝5時にはセッティングが完了して、心臓をバクバク鳴らしながら待っていたに違いない!
- 一条のチョコ童貞を奪った回: 『ニセコイ』 8 巻 「ギリギリ」 2 – ただの義理じゃない | 亜細亜ノ蛾
何より、つぐみが渡したチョコレートが意味深です!
チロルっぽいチョコの種類が「おやこどん
」(親子丼)ですよ! 「親子丼の隠語」は言うまでもないでしょう!
──千棘を「親」・鶫を「子」と呼ぶのも妙ではある。だが、一般的には「百合ドンブリ」が存在しないから仕方が無い!(?)
ところで、この場面の鶫の背景にも注目です!
男子生徒が急に現われた上に、彼の足元が消えている! 彼は、つぐみんのスタンドなのかも? あるいは、チョコをもらうまでは成仏しない幽霊なのか……(将来のオレ?)。
万里花の お母さん・橘 千花の名前が出ました。
千棘の母・桐崎 華や小咲の母・小野寺 菜々子を見るかりり、やはりトンデモ母さんなのでしょう。過去のマリーの言動を振り返り、今回の万里花の顔を見る限り、イヤな予感しかしません……。
マリーは すべてを気付いていた!
一条が本当は小野寺
の事が好き
なことも、桐崎
とのニセモノの関係
も、万里花は見抜いています。いままで、どんな気持ちで楽を見てきたのだろう……。
──まぁ、ごく普通に一条と接していれば誰でも分かるけれども。その方面にだけ知能回路が働かない人々が たまたま3人(桐崎・小野寺・鶫)もいた、というだけの話ですね。
ただし、「それだけの話」を200話以上も天下の「ジャンプ」で描き続けることは、並の才能や努力では達成が不可能です!
ところで、気になる点が一つ ありました。
万里花が こっそりとサイズを測ったのは左手薬指
だけなのか!? なんか違うモノの大きさ・長さも計測済みとか!? 自分が一条に ふさわしいか どうかを調べるために──!
第181話 「ゲンカイ」
「やっぱり私ではダメですか?
」
──なんとも切ない告白です。もう どれくらい楽に告白しただろう? 軽いノリで言い続けたように見えて、その1回1回が真剣だったに違いない。
しかし、今回の「一生 愛し続けます
」は重みが違う。
この場面は九州弁バリバリのマリーが見たかった。
第35話「バクハツ」の「…そげん事まで忘れとっとか…?
」みたいな感じです。ところが、マリーの体調が許さなかった。万里花は、この回の最初から別人のように弱々しい……。
本田さんが念能力者みたいに現われます!
以前から思っていたけれど、彼女は人間を辞めているのでは!? もはや普通の付き人にも監視役
にも見えません。
以前に盛り上がった「キムタクがタイム・リープしている説」と関連して、本田さんが『魔法少女まどか☆マギカ』の暁美ほむらっぽく見える。
- キュゥべえ /人◕‿‿◕人\
- 「本田さん──。君は いったい何者なんだ?」
第182話 「ケイヤク」
ごんぶと眉毛な篠原 御影が再登場です!
やはり彼女が黒幕だったのか……!(←?) ということも なく、一条たちの強力な助っ人として現われました。篠原と橘の仲が悪いままだったら──と考えるとゾッとする。
やはり、持つべきものは(おっぱい好きの)友ですね!
橘家は、おとぎ話や昔話に出てくるような家の事情です
これだけの不自由さから考えれば、「自由になるために楽を利用する」と万里花が考えても不思議ではない。
ところが、しかし、マリーは一条と結ばれることしか考えていません。ウソで塗り固められた橘家で、万里花の10年間もの思いだけは真実です。
たとえ一条と橘が結ばれなくても、せめて万里花には自由に羽ばたいて欲しい……。
ついに千葉県のYさんが本編に登場! ──か!?
40過ぎくらいのバツ一
な鉄鋼業の社長さん
は、本来で あれば「マリーに ふさわしくない人物」としか考えられません。しかし、この宇宙で誰よりも・作者よりも万里花を愛しているYさんであれば──と思ってしまう。
──まぁ、普通に作者が想像した人物ですケドね!
楽らしくない!!
と一喝する千棘が すがすがしい!
「友だちを助けたい」と思う気持ちに資格
なんて必要ありません。桐崎にしても、「橘は恋敵」だなんて今回ばかりは考えていない。
おもに男性に対して使われる言葉ですが、「気風が良い(きっぷが いい)」と言いたくなる場面でした。
一条も、普段はナヨナヨした性格では ありません。
ただ、今回はマリーへの負い目が勝っていました。どう弁解しても「楽は万里花を振る」という事実は曲げられない。一条が悩むのは仕方が無いでしょう。
そんな時に活を入れられるのは桐崎だけです。やはり、お似合いの2人なんだよなぁ……(小野寺をチラチラ見ながら)。
第183話 「デンゴン」
「万里花ちゃんは一人じゃない
」
──みんなを見送りながら回想する奏倉 羽が悲しい。ユイ自身も多くの仲間に囲まれているけれど、それはマフィアのボスだからです。奏倉のほうが孤独を感じているでしょう。
全力疾走で逃げ出すマリーが面白かった。
集中線を多用して迫力タップリです! ──が、万里花の運動能力を考えると、おそらくカナブンが行水するくらいの速度しか出ていないはず(どんな たとえ?)。
本田さんの拘束も、もはやマンザイのようでした。しかし、笑える時間は わずかです──。
千花と万里花の会話は氷点下でした。
とても親子の会話とは思えません。まったく心のこもっていない言葉で語り、皮肉の応酬は すれ違うばかりです。
「千花はシルエット」「万里花は逆さま」という構図も効果的でした。こんなに目の前で話し合っているのに、2人の心は「向き合っていない」。
グレた顔の万里花に笑いました!
なんだか『めだかボックス』に出てきそうな やさぐれ具合です。上記の皮肉も『めだか』を思わせる。
橘の心境を思うとギャグでは済みません。
10年もの想いが無にされた直後です。しかも、今後の人生も母親に すべて決められている。 ──自分で命を絶っていても不思議ではない状況です。マリーの精神力の強さが あったからこそ耐えられたのかも しれない。
友だちや先生について語る橘が印象的です。
クラスの中で孤立しがちな万里花だけに、友だち付き合いが たくさんできて幸せだったしょう。
とくに、舞子の良さに ちゃんと気がついている点が さすがでした。万里花は「ボンヤリ組」ではない からですね。つぐみんあたりは、いまだに集のことをド変態としか思っていなかったりして。
第184話 「オヤクメ」
御影は、今回のマリー救出劇の重要人物です。
──全力で趣味に走る彼女を見ていると、とても そうは思えないけれども。「見た目は お嬢様・中身はオッサン」という性格をサラッと さらけ出していました。
篠原には、橘や桐崎のような苦労は無いのだろうか?
もともとはマリーをイジメていた人物なので、それなりに敵を作っていそうです。また、取り巻きは多くても友だちは少ないのでは?
だからこそ御影は、万里花には できるだけ力になろうとしています。いつか橘が篠原の助けになる日が来るかも しれません。本編で描かれるか どうかは別として──。
潜入任務
と言えば鶫の晴れ舞台です!(潜入なのに?)
大好きな お嬢と楽に頼られる展開になり、つぐみんが喜んでいる。「闇に乗じて
不埒な真似
を楽から してもらえたら──!」なんて思っていたりして。
なんと、本田さんは忍者
だった!
──と言われても、忍者どころか超能力者のような彼女を見ているといまさらな気もします。また、女子高校生・兼・現役の殺し屋である鶫が「驚きましたね
」と言うのもジワジワくる。
そんな設定なんて、『BLACK CAT』とか『キルミーベイベー』とか『暗殺教室』(女子中学生)──(以下略)──くらいしか見たことない! (けっこう多いな)
おわりに
発売から3か月も経ってしまいました……
【省略】といった事情があり、もう第22巻の発売も直前です。次の巻も時間が かかると思いますが、気長に気楽に お待ちください!
後半へ続く──。