『進撃の巨人』 19巻 諫山創 – 雷に乗せた思い

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諫山創 『進撃の巨人

Thunder Light
その雷光は──人類の希望となるか

ひさびさに表紙でエレンが巨人化しています!
エレン・イェーガーは、このところボンヤリした表情ばかりでした。この巻では本編でも活躍しています。

アルミンもイラストでは格好良い(意味深)。
本編ではアルミン・アルレルト得意の「ゲスミン節」を繰り出しますが、はたして結果は──?

表紙のミカサは立ち位置が微妙です。
この構図だと、ミカサがエレンを敵視しているようにも見えてしまう。「ミカサ・アッカーマンか『ミザリー』か」と言われるくらい(?)の愛情からすると あり得ないはずです。
しかし敵に奪われるくらいなら──!?

命ある限りの脅威

エルヴィン・スミスの見抜いた敵の作戦がエグすぎる!
つまりは「兵糧攻め」です。敵に囲まれながらジワジワと飢えていくなんて、想像するだけでも恐ろしい!
信長の野望』で自分も兵糧攻めを愛用しました。ゲームだから軽い気持ちで攻められるけれど、現実では絶対に手を下したくない!


エルヴィンは「鎧の巨人」と向き合いました。
ところが お互いに相手には興味がない。緊張感のある場面の はずが、不思議と白けた空気です。
しかし それでもライナーはエルヴィンを仕留めておくべきだった。敵の大将を潰しておけば士気をそげる。「ライナーにも人情があった」ということか──。

目的の違い

リヴァイ兵士長は今回も圧倒的な戦力を誇る!
もともとリヴァイ・アッカーマンは一匹狼でした。いまでも独りで生きていけるはず。ところが今では多くの仲間を抱えている。
損害は許さん!!」「一人も死ぬな!!」はリヴァイの本心に違いない。この当たり前の叫びすら、残酷な世界では はかなく消える──。


エルヴィンはリヴァイとはまったく違う考えです。
すべては「地下室」を目指すための行動でした。あるか どうかも不明な「世界の真相」を見る。そのために数え切れないほどの兵士を屍に してきました。
エルヴィンは巨人よりも罪深いかも……。

反撃の雷撃

新武器「雷槍」が登場しました!
発射した時点で すさまじい威力です。しかも打ち込んだあとで加速している。どういう原理で爆発的な威力を出しているのだろうか?
立体機動装置は「ガスで──ホニャララ」で説明できます(できてない)。雷槍もガス圧を利用しているのかな。

巨人を格納

四足歩行型」が持つ「荷物」は何か?
火薬や油を入れてある、と最初は予想しました。「獣の巨人」の投擲能力であれば一瞬で馬を全滅できるからです。

サルくん
「その手が あったか……!」

とは言え、物資不足な世界ではムリかな。


ベルトルト・フーバーの隠れ場所が意外です!
超大型巨人」の変身能力を大質量兵器 + 大型爆弾にする。ベルトルトの能力を最大限に生かした見事な作戦でした。「自爆」ではなく たんなる変身だから巨人側の被害も皆無です。

ベルトルトは短期間で兵士として成長しました。
ライナーを守るために覚悟を決めています。仲間のために力を増す姿は、まるで主人公のよう。
もはや「正義 対 悪の戦い」では なくなっている。どちらも信じた正義のために「心臓を捧げて」います。
壁の中と外のどちらが正しいのか──。

話せば分かる?

アルミンの交渉は空振りに終わりました。
ベルトルトと話し合うことで人類と巨人との和解・共生を望んでいたのだろうか。それとも ただの時間稼ぎかな。
いずれにせよ、この場で巨人側と話そうとするなんて、アルミンならではの発想です。良い意味でも悪い意味でも。悪い方へ考えると、アルミンを指揮系統や団長に推薦する勢力が弱まるかも。

ベルトルトは全てを拒絶してしまう。
アニ・レオンハートを利用した脅迫も通じません。以前のベルトルトであれば、たとえ話でもアニをブタのエサにするなんて言わなかった。本当に別人みたいです。ミカサですらベルトルトを止められない。
ただ、ベルトルトたちは「アニを本当に捕まえているのか どうか」を疑っている。たしかに証拠は ありません。この世界にビデオや写真が存在しないからです。

おわりに

嘘予告が恐すぎる!
ともだち」こと2頭身キャラクターが本性を現わしました! 本編の巨人には消化能力が無いけれど、四次元胃袋ポケット)の中は どうなっているんだろう?(見たくは ないが)

なぜかジャンは「ジャンボ」と呼ばれている。
アルミンは そのままなのにジャン・キルシュタインは仮名です。あまりにもヒドい姿のため、「本編とは関係のない架空の人物」と言いたいのかも。
ドラえもん』の いじめっ子・ジャイアンのイメージでしょうね。

一方、フ女子は この見開きをどう読んだか。
──のび太のコスプレをした短パン姿のアルミンしか目に入らなかったりして。