『HUNTER×HUNTER』 No.351 「死闘」
この展開は まったく予想できなかった!
「さて次回は どの王子が取り上げられるだろう?」「ゴン・フリークスは念能力を取り戻せたか?」「ゴレイヌ──ゴレイヌなぁ……(遠い目)」
そんな想像をしながらページをめくると──。あまりにも休載の期間が長かったから、時系列を忘れてしまったのか!? そんな光景が目の前に広がっている。
やはり冨樫 義博先生だけは、どれだけ読者が想定しても「奴は必ずその少し上を行く!!
」(『レベルE』ネタ)。
今回の対戦そのものは十分に予測が可能でした。
あれだけ前振りが あったのだから、いつかは描かれて当然です。アッサリと結果だけ知らされる可能性も高かったけれど。
しかし、「戦った場所」が意外でした!
空の下・地の上
冨樫先生は鳥山 明先生を尊敬しているそうです。
『幽☆遊☆白書』や『HUNTER×HUNTER』にも その影響が感じられる。
天空闘技場の元となったアイデアは明確です。
それは天下一武道会(+ カリン塔?)に間違いない。『ドラゴンボール』の最終話にも登場しました。もう地球すら破壊できるはずの孫 悟空が小さな武道場で戦う。その姿はシュールな一方で、武道会に対する思い入れを感じました。恩師・亀仙人への尊敬の念も あったのかも。
『エヴァンゲリオン』から自分はモヤモヤしている。
それは現在の『アイアムアヒーロー』『いぬやしき』に至るまで続く。
それは「世界や宇宙を賭けた争いなのに一都市で戦っている点が良い。──それなのに最後は けっきょくセカイ系」という不満です。
『ドラゴンボール』は「ウチュウ系」と言える。
ところが最後に こぢんまりとした大会で宇宙最強の男が少年・ウーブと戦う。そして自分自身の子どもには持てなかった親としての感情に目覚める。その じつは複雑なドラマが素晴らしかった。
世界の外へ
『H×H』も これから世界へ──暗黒大陸へ旅立つ。
その前に「夢の対決」が見られて良かった! 暗黒大陸に棲む化け物たちから したら、ヒソカもクロロも ひとひねりです。いや、ひねるほどの大きさには足りない、踏みつぶそうにも小さすぎてムリかも しれない。
そんな怪物を相手に念能力が効くだろうか?
この「インフレ展開」をどう解決するかが見どころです。普通に考えると「さらに強力なオーラを身につけて対抗する」。実際、ヒソカ vs. クロロの戦いは両者ともにレベルが上がっています。
「別の能力が発現する」と自分は予想する。
暗黒大陸では未知のウィルスや病原菌が飛び交っていそうです。それらに感染した人間のうち、適合者だけは大陸に ふさわしい力を身につける。そんな場面を夢想しました。
ゴンが復活するカギは ここにありそう。
他人の能力を携帯
「携帯する他人の運命」をクロロが使っている!?
「ブラック ボイス」は言うまでもなくシャルナークの念能力です。「盗賊の極意」(スキル ハンター)に能力を盗まれた者は その能力を使えない。シャルナークが生きている証拠でもある。
シャルナークから能力を借りているだけ だろうか?
たしかに「一回でも刺しただけで相手を戦闘不能にできる能力」は魅力です。ヒソカを強敵と認めた上でクロロが準備していたのでしょう。ただ、似たような能力くらい別に調達できたのでは?
クロロの言葉を追っていくと、どうもヒソカの命を奪う気があるとは思えません。「オレの手役を見た後でも勝負するか よく考えろ
」とまで言っている。デスマッチ
を提案したことと矛盾しています。
団長の狙いは何か?
あらためてヒソカを幻影旅団へ引き入れることかも しれません。クロロが死闘
を申し込んだ理由は、ヒソカに本気を出させるためです。全力のヒソカをねじ伏せた上で協力させようとしている。
なんのため? もちろん暗黒大陸へ連れて行くために! 「死ぬまでやろう
」とは「旅団の目的を一緒に果たそう」という意味なのかも。
反則の極意
クロロの能力に弱点が なくなりました!
「ダブル フェイス」は両手が自由な状態で能力を1つ使えるか
、盗んだ能力を2つ同時に使える能力
です。そして「栞のテーマ」と言えばサザンオールスターズの曲名で、自分のカラオケの十八番です!(余計な情報)
どちらも使用者がクロロという点が恐ろしい。幻影旅団をまとめる優秀な頭脳を誇り、ゾルディックの人間と二人同時に戦える肉体も持つ。そんな団長が体術や能力をさらに向上させて きました!
「番いの破壊者」は そこまで脅威ではありません。
サン アンド ムーンはゲンスルーの「一握りの火薬」(リトル フラワー)と似ています。しかし制約が大きすぎる。ヒソカ相手に3~5秒程 触れ続ける
ことは不可能でしょう。
ちなみに「番い」は「つがい」と読み、「番う」の連用形です。ようするに「ペア」の意味ですが、「交尾」の意味も含んでいる。どちらかと言えばヒソカが選びそうな命名です。
密かに明かされる
ついにヒソカの本名が判明しました!
その名はヒソカ・モロ!(「ヒソカァ・モロォ」の可能性アリ) ノブナガ・ハザマやシズク・マチと同じく日本人名を思わせる(「密・諸」?)。
「モロ」という性もとい姓に最初は衝撃を受けたけれど、たしかにヒソカに合っています。ヒソカ流に「モロ☆」という表記が似合う。しかしインパクトで言えばレオリオ・パラディナイトには勝てない。
クロロ・ルシルフルも本名で登録しています。
『HUNTER×HUNTER (5)』でゴンとキルアが登録したときは、ただの用紙に手書きで記入していました。格闘技歴も詐称している。
そんなザルな登録に なぜ本当の情報を書いたのか? とくにクロロが疑問です。なぜならネオン・ノストラードから奪った「天使の自動筆記」(ラブリー ゴースト ライター)の使い手だからです。ただ「紙に名前を書いた」だけで いろんな情報を盗まれたり操られたりする危険性が ともなう。
「物語の進行上しかたがない」が真相でしょう。
ここで「ヒソカ・タナカ vs. クロロ・ヤマダ」みたいな偽名を使われても分かりにくすぎる!
おわりに
タイトルは『悪魔とドライヴ』から借りました。
なぜか? このヘリベ マルヲ氏の小説が面白かったからです(受精卵なみの感想)。
「どこがドライヴ?」という問いかけには「小説も同じです」と答える(ネタバレ?)。あるいは「死神と二人乗り(意味深)」と書いて「しにがみとドライヴ」と読む!