『HUNTER×HUNTER』 No.365 「選択」
海外ドラマでは、主人公の足を引っ張る人物が次々に現われる。
一つの例を挙げると、【PR】Amazonプライム・ビデオにて一年中・24時間の見放題である『24』です。この連続ドラマでは、「主人公以外は敵」といった状況が延々と続いていく。
なにしろ、一番ジャマしてくるのは主人公の家族ですよ!(ネタバレ)
最近の『HUNTER×HUNTER』も似たような局面です。誰が味方で敵なのか、ハッキリとは断言できません。
今回は、意外な人物が突然に牙を剥いてきました!
今回の見どころ
- クラピカの味方が裏切り!?
- いくらでも蘇る「〈守護霊獣〉が見える条件」
- 「彼女」は二人いる?
彼女の決断
今回の話で もっとも注目すべき点はシマノの「裏切り」でした!
シマノは、クラピカの指示を完全に無視しています。第1王子ではなく第3王子を優先させた。
この一件で、ベンジャミンとの溝が一段と深くなる──。
「他の王子からの刺客」とも受け取れるシマノの行動です。
ところが、シマノの決断は超ファイン・プレイでした!
前回まで──どころか今回の序盤まで、シマノは「モブ顔」です。ただたんに交換台からの情報を伝える役だった。
それなのに、途中からはシマノが話の中心とも思えるほどの展開です。彼女が いなかったら、チョウライとの関係も悪化していたでしょう。
王妃の付き人を甘く見ていました。
考えてみれば、いつでも王妃と王子の命を狙える距離にシマノはいる。これまでも、これからも──。側近という名の通りです。
そんな重要な位置にいる人物だからこそ、厳選した人材だけが そろっているのでしょう。
でしょう。
限られた時間の中で
クラピカにはシマノのような判断が できただろうか?
各王子の性格と力関係を把握していたら、クラピカでも可能だったでしょう。
しかし、立て続けに事件が起こる この船内では、そんな情報収集の時間は取れなかったはず。
いまは誰を優先するべきか。──そのことをイチから説明する時間は皆無です。
当然のように、シマノがクラピカに電話を渡すまでの時間では、まったく説明しきれなかった。
王子たちの性格を熟知しているシマノならではの機転でした。
おそらく、イヤというほどベンジャミンの冷徹さを「実例」付きで見てきたのでしょう。
「ごく少数」の仲間入り
何度も繰り返される「守護霊獣が見える・見えない問題」です!
オイト王妃は、チョウライの霊獣を見て おびえている。彼女は念能力を使えないはずなのに、いったい なぜ守護霊獣が見えたのか?
その理由は、オイトがクラピカから一時的に念能力を借りているからです。
──正直に言うと、最初に読んだ時にはドルフィンのことを忘れて混乱しました。
いまさらながら、「他人に念能力を貸し与える能力」は、クラピカの〈人差し指の絶対時間〉(ステルス チェーン)だけですね。レンタル系の念能力は多いけれど、「又貸し」できる人物は彼しか いません。
クラピカの現職はマフィアの幹部です。しかし、念能力は「高利貸し」では ありません。じつは お人好しで非情に徹しきれない、というクラピカらしい。
すべて筒抜け
警護兵のスラッカとコベントバを残すか否か。クラピカはチョウライに意思決定を迫ります。
チョウライを警護している とはいえ、それは形式上でのことです。クラピカが重要な情報を話せば、すぐさま使えている王子に連絡するでしょう。
ただし、今の状態で警護を解除すると、クラピカに暗殺される危険性が出てきます。
チョウライ自身が招いた状況なのに、彼にとって なんとも悩ましい。
そもそも、チョウライ直属の護衛は不在なのだろうか? ただ、護衛に念能力者は いないため、何の護衛にもならないのですが……。
また、二人の警護兵は、チョウライの守護霊獣が見えるのか。つまりは念能力者か どうかも不明です。
かりに霊獣が見えても、チョウライに報告する義務も義理も警護兵には ありません。ただ警護(の真似事)をするだけです。
とはいえ、(ケモノには見えないが)霊獣が急に襲ってくる可能性も残っています。命がけの任務を背負っているわけで、警護兵にかかるストレスは計り知れません。
そりゃ、コベントバの頭もハg【不適切な発言のため削除されました】
赤児を守るモノ
いまだにワブル王子の守護霊獣は不明です。
目に見えないほど小さい霊獣なのでしょうか? それとも遠距離まで移動できるタイプなのかも?
いや、「念能力者であれば守護霊獣は見える」という前提は合っているのだろうか。
チョウライの霊獣がオイトに視認できた事実も、念能力者であることが条件なのか、逆に疑わしい。
〈念〉で言うところの〈隠〉のように、守護霊獣も存在を隠せるのかも しれません。
ワブルの霊獣が高レベルすぎて誰にも認識できない──とか?
薄氷に浮かぶ約束
ツベッバ側の休戦協定
は、あくまでも一時的な決まり事でしょう。マオール少尉の強気な態度から考えても明確です。
たとえば、ツベッバとワブルだけが生き残ったら、そんな約束など無効にするはず。
せいぜい、他の王子たちが〈念獣〉の情報を手に入れるまでの休戦だと見ました。
クラピカの〈律する小指の鎖〉(ジャッジメント チェーン)を使えば、約束を破れませんけどね!
もっとも、クラピカが小指の鎖を使うなんて、よっぽど切羽詰まった状況だけです。そんな事態に おちいるわけが……(フラグ)。
操作系
王位継承戦では、あまりにも無茶な暗殺は できません。
あのベンジャミンですら、「親子で無理心中」という回りくどい「シナリオ」のために私設兵を使っている。この事実が、暗殺の難しさを物語っています。
ところが、いとも簡単に王の候補者たちを消し去る方法がある。それは、(いまは亡き)シャルナークのような操作系の能力者です。
ベンジャミンは、おそらく操作系の能力者を送り込んで こなかった。このことから、他の王子たちに行き渡るほどの操作系は持ち合わせていないのでしょう。
その前に、他人を操作できる能力者は絶対数も少ないはず。
王子たちの暗殺に一番の適任者はイルミですね。王子や従者を〈針人間〉にすれば ほぼ任務完了です。
王子たちがゾルディック家を雇っていなくて良かった!
──いや、この船にイルミが乗り込んでいる可能性はゼロではないか……。
おわりに
今回の功労者であるシマノは、一か所だけ「シマヌ」と表記されています。「シマヌ・シマノ」といった名前でもない限り、これは誤植でしょう。
懐かしの「マーメンなのかビーンズなのか→答え: マーメン゠ビーンズ」を思い出しました。
以前は「写植を貼る」のは編集者の仕事でした。そのため、「誤植は編集者の責任」と断定して問題は なかったはず。
現在の「ジャンプ」はデジタル化されています。アシスタントを雇わずに一人でマンガを描いている冨樫先生は、セリフのフォント指定も自身で やっているかもしれません。
しかし、担当の編集者であれば、最後に必ず原稿を確認するはず。その際に登場人物名くらいチェックできなかったのでしょうか。
第35回 共同印刷株式会社 様~まんが制作環境のデジタル化について~|会員様インタビュー|フォントストーリー|年間定額制フォントサービス「LETS」 l フォントワークス
──などと「戦犯は誰だ」を詮索しても むなしいだけです。今後は間違いのないように気をつけてほしいですね。
題名は『赤ちゃんのおでかけ』から借りました。
「赤ちゃんを誘拐した実行犯が、次々に悲惨な目に会う」という内容の映画です。なんだか、今後の『H×H』を想像させますね!
ちなみに、この映画を自分は観ていません。「おでかけ 映画」で検索して一番に出てきたので決めました。このあたりも運命を感じる、かも。