『HUNTER×HUNTER』 #379「共闘」 感想
ミステリィ作品風の出だしが良かった!
ほぼ被害者で怪しくない人物が じつは──という展開はアリガチながら、ミステリィ読みにはゾクゾクします。
ところが、あまりにも使い古された手法であるため、「もっとも怪しくない人物こそが犯人」という法則も よく見かける。と見せかけて──と疑い出すと、それはそれで楽しい。
まあ、そんなことより、「クロロは、ヒソカとの死闘で団員たちに協力させたのか?」を早く解決してほしい!
残された目撃者
カシューは、充分に疑われる存在でしょう。
なにしろ、犯人に会って唯一 生き残った人物です。彼女(?)が殺されなかった理由も弱い。「嘘を見破る念能力者」に尋問される、という可能性を考えなかったのだろうか。
ミザイストムの〈密室裁判〉であれば、嘘をついた人間を〈拘束〉できるのでは?
すでに現時点で、ミザイはカシューのことをそこそこ疑っている。次回の聞き取り調査で、少しでも不審点があれば、迷いなく念能力を使うでしょう。
その前にカシューが逃げないか心配です。あるいは、カシューが念に目覚めるか……。
能力に溺れる者は
ルイーニーが能力に目覚めたのは人の命を奪った後、というのは驚いた。
──いや、前回、モレナの能力の説明を理解していれば、〈能力〉を授かるのはレベル20から、と分かったはずです。
しかし、それでも、「本当に行き当たりばったりで乗客を殺して回っていた」という事実にビックリしました。能力に目覚める前に強敵に出会ったら──とかは想像しなかったのか。
ルイーニーの舐めた態度、〈幻影旅団〉にケンカを売る愚行、──どう考えても死亡フラグです。このまま、能力名も明かされないうちに消えていきそう……。
ルイーニーの能力は〈密室遊漁〉に条件が少し似ています。
以前にクロロが使っていた念能力ですね。誰から盗んだ能力かは明かされていませんが、この世界には密室を好む念能力者が何人もいるようです。ミステリィ作家だったりして。
不穏な会食
フランクリンの落ち着いた知的な言動が印象的でした。
外見からすると「オデ メシ クウ。ジャマスル ヤツ コロス」とか言い出しそうなのに、実際は団長よりも冷静に行動しています。副組長・イットクとも対等に堂々とフランクリンは話している。
「売らなきゃ 買わない
」は〈流星街〉の教えです。フランクリンこそ、この言葉が一番 似合いそう。
ヒソカの性格判断によると、〈放出系〉は「短気で大雑把」とのこと。一方、フランクリンは、どちらかと言えば「理屈屋・マイペース」な〈操作系〉っぽい性格です。
──もしかして、〈俺の両手は機関銃〉は、どう見ても放出系の念能力なのに、じつは弾の一発一発が操作できる、とか……!?
嵐の前の静けさ
フィンクス・フェイタン・ノブナガの三人も冷静でした。
好戦的な三人組が知恵を絞って犯人探しをしていています。──よくよく振り返ってみると、三人とも すぐに頭に血が上るだけで、そこまで好戦的でも ないのかな。
今回はノブナガだけではなく、フィンクスも頭が切れるところを見せました。
オウは三人と手を組む──と見せかけて始末するつもりです。しかし、この三人なら騙されないでしょう。フィンクス・ノブナガは機転が利くし、フェイタンは他人を信用しないはず。
シャア・アと三人組が対立し、幻影旅団を巻き込んでの抗争が始まりそうです。そして、その隙をヒソカが逃すはずはない──。
おわりに
オウのフィンクス(幻影旅団)評は、まるでゼパイルがゴンに抱いた感想でした。
フィンクスの場合は敵味方に頓着が無く
、ゴンは善悪に頓着がない
。どちらも、自分の中に絶対的な基準を置いている。ようするに「ワガママ」ですね!
そのワガママさは、ハンターであれば誰でも胸に抱いている。しかし、幻影旅団は他人を巻き込みすぎる。一歩間違えば、ゴンも「そちら側」に傾きそうで恐い。
まあ、このままゴンが念の世界から「引退」したまま、連載自体が終わる可能性も──。