デヴィッド・モース一覧

パッセンジャーズ – 空での真相を求めて心の世界をさまよう

『パッセンジャーズ』 (Passengers)

Trislander Sunset
(空には翼があるね──明らかに)

全体に流れるふんいきが、とにかく不気味な映画です。

こうやって書くと良くない評価のようですが、この独特の空気はぜひとも味わって欲しい。良くできた作品なのです。そしてできれば、最後の「オチ」だけに注目しないようにしてほしい。

ストーリィは、まるでミステリィです。

──女性セラピストのクレア・サマーズ(アン・ハサウェイ)は、飛行機の墜落事故で奇跡的に生還した 5 名の心理カウンセリングを受け持つことになった。しかし、生存者たちの証言はかみ合わず、1 名は異常なまでに躁状態だ。そして、次々におかしな事態が起こり──。

墜落事故の背景には、どうも航空会社の闇がありそうに思える。しかし、確証が持てない。そして、いかにも「事故の真相を解き明かしていく話」のようなのに、事故とは無関係な部分が不気味なのです。

生き残ったひとり──エリック・クラーク(パトリック・ウィルソン)という男は、事故の直後からやたらと陽気で、しきりにクレアを口説く。理由をつけてクレアの自宅まで来たり、予知めいた発言をしたりする。なんともアヤシイ!

そして、それこそ事故と関係しようがない「親切な隣のおばさん」──トニ(ダイアン・ウィースト)は、親密すぎて不気味なのです。憎めない人だけれど、どこか恐ろしい。

航空会社のアーキン(デヴィッド・モース)は当初から態度が不自然で、事件のもみ消し工作を行っているように思える。疑いだしたら、クレアの同僚であるペリー(アンドレ・ブラウアー)ですら、信頼して良いかどうか分からなくなる。

この映画は、何を描こうとしているのだろうか?

ここまでの文章からは想像ができないと思いますけれど、『パッセンジャーズ』はひと言で言うと「恋愛映画」です。ここが一番ビックリする点かもしれない。

なぜ、この異常な気配が漂う中で、クレアは恋に落ちていくのか──。見ていて違和感を覚えます。しかし、じつはその違和感こそが計算された演出だと最後に分かり、感動しました。

どうしても強烈な「オチ」に目が行きますが、オチを支えている「不気味で不自然なふんいき」が見事な作品です。

恋人同士か、あるいは──「終わりそうな恋」を背負っている人・家族と疎遠な人に観て欲しいですね。

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『16 ブロック』 窓際“ジョン・マクレーン”には遠すぎる距離

『16 ブロック(16 Blocks)』

ストーリィは、「簡単な任務」をニューヨーク市警のジャック刑事(ブルース・ウィリス[ad])が たまたま引き受けたことから始まります。

たった16ブロック(1.3km~1.6km)先にある裁判所へ、二時間後の開廷までに証人を送り届けるという、通常であれば十五分もあれば終わる仕事なのですが──もちろん、そんなに簡単には行きません。

移動中に、ある組織から執拗に命を狙われる証人、エディ・バンカー(モス・デフ[ad])。はたして、証人が命を懸けて証言しようとしていることは、なにか?

トリックもアクション・シーンも充実していて、たっぷり楽しめます。家族と、恋人と、そして一人で──、どのようなシチュエーションでも満足できる良作です。

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16ブロック
ブルース・ウィリス; モス・デフ; デヴィッド・モース リチャード・ドナー
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2007-11-07
楽天ブックス: BEST COLLECTION LIMITED 1980::16ブロック

by G-Tools , 2007/11/24

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