『バーテンダー』 作: 城 アラキ, 画: 長友 健篩
(ビールの苦みと泡の切なさは、人生にも似て──)
以前にバーテンダの女友だちから『バーテンダー』を借りた時は、ちょうど 12 巻まで読ませてもらいました。
『バーテンダー』 – 人と人とをつなぐ一杯の酒 : 亜細亜ノ蛾
何が「ちょうど」なのかというと──、なんと、13 以降は主人公が替わるのです。
主人公の交代といえば、『ドラゴンボール』を思い出しました。
ご存じのとおり、『ドラゴンボール』は「孫くん」こと孫悟空(そん ごくう)が主役として始まります。そして一時期、彼の息子である孫悟飯(そん ごはん)が主役を張っていたのですが──、残念ながら、『ドラゴンボール』の主役としては、悟飯はマジメすぎた。
そもそも、自分が中学生のころ(5 年前くらい?)から読んでいる「週刊少年ジャンプ」のマンガでは、主人公の交代がウマくいった作品が思い浮かびません。
なぜかというと、
「強烈な個性を持った主人公と、彼を引き立てるための脇役」
──という図式で、「ジャンプ」という世界が成り立っているからです。
たまに主役を食う(非 BL 的な意味で)ような脇役が出てきても、それすら主人公の周辺を盛り上げるための「舞台装置」として、主人公に吸収されてしまう──。ベジータやピッコロが良い例です。
それに比べて、自分が見る限りでは、『バーテンダー』の主役交代は成功している。
この作品だけが主人公の変更に成功しているのか、それとも青年向けマンガ──つまりは「少年マンガ以外」なら当然のようにあることなのか──、それは知りません。
ともかく、『バーテンダー』の主人公が、佐々倉溜(ささくら りゅう)から和久井 翼(わくい つばさ)へと変わったことによって、より一層『バーテンダー』の世界観がハッキリと浮かび上がってきたのです。
ここから先は、13 巻以降の『バーテンダー』の世界について、もうすこしだけ書いてみますね(『ドラゴンボール』のもうちょっとだけ続くんじゃ
みたいに、ここからが長い──)
(どうでもいいことだけど、職種の「バーテンダ」から長音符を省いているのは、JIS 規格による英語の語尾につける長音符号を省く原則にしたがっているだけです。『バーテンダー』は書名──固有名詞だから、そのまま)
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