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『永遠のこどもたち』は名作映画! 母親の愛情と執念は無限大

永遠のこどもたち』 (El Orfanato)

The Nice Scarecrow 永遠に──笑顔でいて欲しい

脚本と演出が見事な映画です!

ベレン・ルエダが演じる母親が、子ども(ロジェール・プリンセプ)に向ける愛情を描いた作品で、幻想なのか現実なのか境界が あいまいな世界に観客である自分も引きずり込まれました。

──じつはホラー映画的な一面も あります。日本版の予告編映像を見て、「感動作と思ったのに恐かった!」という人が多かったらしい。本当にショッキングな場面は 1-2 か所なんですけどね。

『永遠のこどもたち』予告編 – YouTube

一方で DVD に収録されている海外版の予告は、ホラーな面ばかりを集めた映像でした。どちらにしても、この映画の良さが出せていないと思う。

よく『シックス・センス』と比較される作品です。なるほど、両方とも観ておくと「良い意味で だまされる」楽しみが味わえますよ!

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『ぼくのエリ』は美少年の切ない恋と映像美を味わえる映画!

ぼくのエリ 200 歳の少女』 (Let the Right One In)

Rubik
不揃いのままで──生きられたら

ずばり、主演のカーレ・ヘーデブラントの美しさを楽しむ映画です! パッケージの上段にいる金髪の子がカーレくんで、ずっと この子が「エリ」かと思っていました。

「Google イメージ検索」でカーレくんを調べてみると、なんとなく──将来はマコーレー・カルキンエドワード・ファーロングみたいに なりそうな気配が見え隠れします。しかし、われわれは現在に生きている。いまを味わおうでは ありませんか!

カーレくんの役名は「オスカー」で、しかも自分で 256 回くらい「女の子じゃない」と言う子を好きに なります。──完全に萩尾望都先生の『トーマの心臓』じゃないですか! 「ぼくのユーリ」じゃないことが不思議ですねー。


すっかり「オスカーに食われた」(二重の意味で皮肉)感のあるエリですが、エリ役のリーナ・レアンデションは「濡れた場面」でキラキラ光る女優さんでした。

オスカーとエリとの関係を中心に描き、美しい背景を抽象的に重ねる映像を味わえます。そして、それだけでも満足できる映画でしたね。つまり、物語としては……。


あと、この映画には美少年・オスカーの裸が何度も出てきたり、見た目は年齢 12 歳の少女であるエリが着替え中で裸の場面が映ります。だからと言って、これからアナタが映画を観る理由は尋ねませんので、ご安心くださいね!(にっこり)

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タイタニック – 豪華客船を沈めたのは──本当は誰?

『タイタニック』(Titanic)

Titanic-11
(「空を飛んでいる」のは──二度目だったりする)

あまりにも有名すぎる映画です。すくなくとも、映画好きを自称する人ならば、観ていないと おかしい。でも、自分は最近になってようやく手を出しました。

観てみると、やはり面白かったですね。さすが、興行収入の記録でギネスブックに載っただけのことはあります。しかも、『タイタニック』の記録を塗り替えたのは、同じジェームズ・キャメロン監督なのがすごい。

参考: タイタニック (1997年の映画) – Wikipedia

さて、この映画は、あらゆる角度から語り尽くされている。いまさら「ここが良かったね」を書いても面白くない。そこで、アマノジャクな自分の目から見た感想を書いてみました。

今回の大きなテーマは、下記の 2 点です:

  1. 『タイタニック』の致命的な欠点とは?
  2. だれがタイタニック号を沈めたのか?

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最後の恋のはじめ方 – あなたを愛する私は価値のある人間になった

『最後の恋のはじめ方』 (Hitch)

2010-10-22_190538_Canon EOS 7D_28-75mm
(女の子の注意を引くには──このポーズで)

最高に面白い恋愛映画です! 絶対のおすすめ!!

ウィル・スミスが主人公のラブ・コメディ──と聞いただけで、「ちょ→格好いい彼が、ステキな恋を楽しむ映画」だと思いますよね? 違うよ。全然違うよ。

こんなに不格好なウィル・スミスは、見たことがない!


ウィル・スミスが演じているアレックス・ヒッチは、「デート・ドクタ」です。──何それ?

最近になって、「○○歳になっても女性と付き合ったことのない男」が主役の映画をよく目にしますが、ヒッチはそんな男性をサポートする立場にいる。モテない男のために、恋のきっかけを演出して、報酬を得る仕事です。

その演出の仕方が面白い!

たとえば、女性の飼い犬を危機から救った──かのように見せかけて、出会いを劇的にするのです。

「えっ、そんなことで!?」と思うかもしれません。そんな時には、『さよなら絶望先生』で有名になった下の言葉を覚えておきましょう。

恋が始まるには、ほんの少しの希望があれば十分です。

Stendhal(スタンダール)

名言集(さよなら絶望先生)


「家族そろって安心して観られる」(気まずくならない)内容だし、舞台も映像も美しい。

音楽も最高にスタイリッシュなのですが、2005 年当時の流行歌ばかりなので、いま聴くと懐かしい感じですね。久しぶりに再開した友人と観るのにも向いています!

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クローサー – 涙とともに味わわなければ、恋の味は分からない

『クローサー』 (Closer)

涙 ~ Namida
(涙をお拭きよ──深く味わったあとで)

スリリングな恋愛を描いた映画です。

一組の男女が偶然に路上で知り合って、恋をする──。そんな「恋愛映画」らしい始まり方をします。まったくタイプが異なる 2 人だけど、案外、お似合いそうにも見える。

あともう一組、小粋なウソから出会う男女が出てきます。こちらは「え、そんな出会いで付き合うの?」と驚くけれど、恋の始まりには理由や理論は必要ありません。

このようにステキな始まり方をする映画なので、さぞかし美しい恋愛模様が見られる──と思うでしょう。付き合い始めた恋人同士が観るのに、ピッタリな映画に思える。たしかに素晴らしい傑作なのですが──、

──ただ甘いだけの恋ではなかった……。


キャストは、以下の通りです(カッコ内は日本語吹き替え版の声優)。

なんという豪華なキャスト陣でしょうか!

主演・助演の全員が、アカデミー賞に受賞・またはノミネートの経験者です。『クローサー』自体も、ゴールデン・グローブ賞を 2 部門も受賞しました。

参考: クローサー (2004年の映画) – Wikipedia


この映画は、アリスを演じたナタリー・ポートマンが、なんといっても一番輝いています!

アリスは、「元・ストリッパ」だという衝撃の告白をする。でも、「どうせ『──という設定』だけだろう」と誰もが思う。なにしろ、まだ『レオン』のマチルダ役で見せた、あどけなさが少し残っているのです。

まさか、ナタリー・ポートマンがストリップをするなんて──。そう思っていたら! なんと!(続きは映画で)


監督は、あの超有名な恋愛映画・『卒業』を撮ったマイク・ニコルズです。そのためか、終わり方が深く印象に残る。

『卒業』がハッピィ・エンドかどうかは、議論が分かれるところですよね。『クローサー』も、いったい誰が幸せをつかんだのか、見終わったあとで考えてみると面白い。


いつも映画を紹介する時は、「誰と観ることをお勧めするか」を考えます。『クローサー』は──、むずかしい!

恋愛期間の短い男女が──と言うか、恋愛経験のすくない人がこの映画を観るのは、刺激的すぎます。恋愛恐怖症になりそう。むしろ、不倫の相手や浮気相手と一緒に観たほうが、あらゆる意味で良いかもしれません。

『クローサー』を観て、真実を知りたがる男・ウソをつきたがる女にうんざりするなら──、

──火遊びはやめましょう。

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プラダを着た悪魔 – 生活のために仕事をして、愛のために努力する

『プラダを着た悪魔』 (The Devil Wears Prada)

PRADA BOUTIQUE AOYAMA
(プラダは悪魔に──シャネルは……)

最高に面白いドラマです!

Wikipedia の説明によるとストーリィは、ジャーナリスト志望の主人公が悪魔のような最悪の上司の下で直向きに頑張る姿を描いた物語である──とのこと。しかし、映像を見た印象からはズレています。

主人公の 1 人であるアンディことアンドレア・サックスは、アン・ハサウェイが生き生きと演じています(名前がややこしい?)。

正直なところ、『パッセンジャーズ』でのアン・ハサウェイの弱々しい・たどたどしい演技にホレて本作品を手に取り、期待せずに観ました。結果はバツグンに面白くて、嬉しい誤算です。

パッセンジャーズ – 空での真相を求めて心の世界をさまよう : 亜細亜ノ蛾

もう 1 人の主人公──ミランダ・プリーストリーは、「大女優」の代名詞であるメリル・ストリープが最高の演技を見せてくれました。

本作は、ミランダの「美しい生き方」が見どころです。

『プラダ』を観る前の自分みたいに、「アン・ハサウェイかわいいー! メリルはきっと、いじわるなオ■サンなんだろうな、フン!」という第一印象を持ってしまい、ミランダに注目しないと、大きなソンをしますよ!

(注: ■の中には「ク」が入る)

作品のイメージとあらすじからして、下のような内容だと思う人も多いでしょう。しかし、自分が受けた印象は大きく異なりました。

  • 仕事に不慣れな主人公が、しだいに大きな仕事を覚えていくサクセス・ストーリィ
  • 華々しいファッション業界にひそむ、きびしい現実を鋭く描く作品
  • 洋服には無頓着な女性が、ファッションの奥深さに目覚めていく
  • ハンサムな新しいカレシと結ばれるシンデレラ・ストーリィ

本作品を見終わった人の中で、上の箇条書きを見て「──えっ、このとおりじゃないの!?」と思った人が大半のはずです。たしかに、上で挙げた要素はすべて本編に出てくる。しかし、その映像の裏には、別の意味が見えるのです。

日本でのキャッチコピーは、映像から受けた印象だけで作ったのだと思う。下の 3 つともスベっている。けっして、こういう話じゃない! このコピーによって、余計なイメージを持たされそうです。

  • 恋に仕事にがんばるあなたの物語
  • こんな最高の職場なら、死んでもいい!
  • こんな最悪の上司の下で、死にたくない!

プラダを着た悪魔 – Wikipedia

しかし──、あえて、上で挙げてきたような印象を持ったまま、『プラダ』を観て欲しいですね。見る人が見れば、良い意味で裏切られる。たとえ上記のイメージどおりに見終わっても、充分に楽しめます。

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パッセンジャーズ – 空での真相を求めて心の世界をさまよう

『パッセンジャーズ』 (Passengers)

Trislander Sunset
(空には翼があるね──明らかに)

全体に流れるふんいきが、とにかく不気味な映画です。

こうやって書くと良くない評価のようですが、この独特の空気はぜひとも味わって欲しい。良くできた作品なのです。そしてできれば、最後の「オチ」だけに注目しないようにしてほしい。

ストーリィは、まるでミステリィです。

──女性セラピストのクレア・サマーズ(アン・ハサウェイ)は、飛行機の墜落事故で奇跡的に生還した 5 名の心理カウンセリングを受け持つことになった。しかし、生存者たちの証言はかみ合わず、1 名は異常なまでに躁状態だ。そして、次々におかしな事態が起こり──。

墜落事故の背景には、どうも航空会社の闇がありそうに思える。しかし、確証が持てない。そして、いかにも「事故の真相を解き明かしていく話」のようなのに、事故とは無関係な部分が不気味なのです。

生き残ったひとり──エリック・クラーク(パトリック・ウィルソン)という男は、事故の直後からやたらと陽気で、しきりにクレアを口説く。理由をつけてクレアの自宅まで来たり、予知めいた発言をしたりする。なんともアヤシイ!

そして、それこそ事故と関係しようがない「親切な隣のおばさん」──トニ(ダイアン・ウィースト)は、親密すぎて不気味なのです。憎めない人だけれど、どこか恐ろしい。

航空会社のアーキン(デヴィッド・モース)は当初から態度が不自然で、事件のもみ消し工作を行っているように思える。疑いだしたら、クレアの同僚であるペリー(アンドレ・ブラウアー)ですら、信頼して良いかどうか分からなくなる。

この映画は、何を描こうとしているのだろうか?

ここまでの文章からは想像ができないと思いますけれど、『パッセンジャーズ』はひと言で言うと「恋愛映画」です。ここが一番ビックリする点かもしれない。

なぜ、この異常な気配が漂う中で、クレアは恋に落ちていくのか──。見ていて違和感を覚えます。しかし、じつはその違和感こそが計算された演出だと最後に分かり、感動しました。

どうしても強烈な「オチ」に目が行きますが、オチを支えている「不気味で不自然なふんいき」が見事な作品です。

恋人同士か、あるいは──「終わりそうな恋」を背負っている人・家族と疎遠な人に観て欲しいですね。

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『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦 – 日々是なむなむ!

『夜は短し歩けよ乙女』

Daruma-4 (by KO-ROCK) (by KO-ROCK)

大切なおともだちから、小説をお借りしました。──そう、こんな(どんな?)自分にも、大事な大事なトモダチがいるんですね。自分でビックリです。

同じような事が一年ほど前にもあって、その時にも森見登美彦さんの本を借りました。

『有頂天家族』 森見登美彦 – タヌキ鍋すら恐れず面白く生きよ : 亜細亜ノ蛾

前に読んだ『有頂天家族』はジャンル分けがむずかしくて──うーん、「動物が主人公のドタバタ日常冒険活劇」、かな?(何だそりゃ)

『夜は──』は簡単で、「恋愛小説」と言って間違いではないでしょう。この作者のことですから、もちろん、ヒトスジナワではいきませんが……。

上で名前を出した 2 つの物語は、それぞれフンイキが異なります。ところが、読後のスッキリ感は同じでした。「世の中にはオモシロオカシイことがある──それを見つけに行こう!」と思ったのです。良い本を読むと、行動を起こしたくなる。

ああ、この本に出会えて良かった! 未読の方は、ぜひどうぞ。

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そろそろ 2009 年のゴールデンウィークについて何か言っておこうか

2009 年のゴールデンウィーク

A-happy-couple (by mando2003us) (by mando2003us)

今年もフツーに仕事ですた。──糸冬 了──

それはそれとして。

連休中に電車でスゴい男女を見たので報告しておく。いまごろになって書くと言うことは、それだけ強烈な印象が残っている、ということである。あるいは──今日は ほかにネタがない。

電車で見たカップル

自分にとっては大型連休ではなかったが、それでも 2 連休は取れた。名古屋へ遊びに行く。その帰りの電車にいた男女が すさまじかった。

──まずは、恋人同士の二人が登場する。

女は、会話をしながらも、ずっとカレシに ちょっかいを出していた。カレシが着ているシャツのボタンをつまんだり、胸元を開きかけたり、落ち着かない様子だ。

男は、シャレた花柄のシャツを着ている。上はそれ 1 枚なので、女がシャツの襟元や胸元をいじっていると、脱げてしまいそうだ。見ているほうがハラハラする。

男女は、自分が見る限り 30 分以上もずっと話し続けていた。カノジョを見ると、楽しそうな表情だ。

しかし、何よりスゴかったのは、そのカレシの行動である。

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バクマン。 #25-4 「嫉妬と愛」 亜豆の愛とサイコーの決意

『バクマン。』 25 ページ 「嫉妬と愛」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 12 号)

walkaway (by Meredith_Farmer) (by Meredith_Farmer)

サイコーはいつも強い意志で真っすぐ前を見て進んできた──と思っていたのだが、見方によっては流されているようにも見える。ふと、そう思ってしまった。

子どものころにマンガ家になりたかったのは、サイコーの意志だ。川口たろうの影響は大きいが、「おじさん」はサイコーにマンガ家への道を勧めなかった。

しかし、ふたたびマンガ家を目指したのは、シュージンの誘いからだ。亜豆との付き合いで「会わない」と決めたのは、亜豆である。さらに、描くマンガの内容をシュージンや服部が決め、エイジの影響で原点に帰ってきた。

それに、サイコーのおじいちゃん(と父親?)の意向で初めからサイコーはマンガ家になる道しかなかった、とも取れる。そうでないなら、何のために川口たろうの仕事場をそのまま残したのだろうか。

ただ、これは意地の悪い意見だ。それを言い出すと、ほとんどの人が他人の影響で人生を決められている。自分もそうだ。親と環境が違えば、違う人生を歩んでいただろう。

ある程度は周りに決められた枠組みの中で、サイコーは必死に自分の信じる道を行く。その道には、シュージンも一緒についてくるのだろうか──。

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