『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 4 巻「ガチンコ・ビバゲー・バトル」
『スケット・ダンス』も、とうとう 4 巻目! 表紙が生徒会執行部のメンバで、配色がガラッと変わって渋め──というかダークな感じで、会長の腹の中を暗示させています(そうか?)。
というか、「どこの王子様だよ!」という感じ。テニなんとかに出てきそう。
4 巻は一冊丸ごと「ビバゲー」の話で、生徒会を掘り下げています。とくに、会長は何かあると思ったら──。
ますます「『スケット・ダンス』が好きだ」、そして「生徒会執行部が嫌いだ」という思いが深くなりました。とくに椿(マツゲ)が、どうも好きになれません。
しかし──、大抵のマンガキャラは、好かれることを前提に描かれています。敵役もしかりで「特定の層に受ける」ような描き方がほとんど。『BLEACH』なんかが分かりやすいですね。
『スケット・ダンス』では、意識的に「好き嫌いがハッキリ分かれるキャラ作り」にしてあるのかな、と感じました。作者の考えまでは分かりませんが──。それとも、オレだけ? みんな、生徒会も好きなのかな?
そうそう、このブログでは毎回、『スケット・ダンス』の作者・篠原健太先生の師匠は
まぁ、「クセ毛」「メガネ」「白髪(金色と朱色)の女の子」の 3 人が、ボケたりツッコミを入れたりしながら、依頼人を助ける何でも屋、という設定は(意図的に?)共通ですが、もう、両者はまったく似ていませんよね。両方とも、ほかにはない面白さがあって良いです。
そのせいで、「『
1 巻の感想は記事 1 ページ分で収まりましたが、2 巻は 2 つ、3 巻は 3 つ分のページが必要でした。4 巻は、というと──。う、うーん、4 ページでも入り切らなさそう。毎日、「オレ基準」の文字数を決めて書いていますが、『スケット・ダンス』のことはいくらでも書けるので、危険です。
──と、ダラダラ語っているだけで記事ができそうですが、そろそろ感想に移ります……。
第 27 話「一回戦 クッキング コロシアム」
ビバゲーの一回戦は、鬼塚一愛(おにづかひめ)と榛葉道流(しんばみちる)が、料理対決で戦います。もはや「なんのマンガ?」という感じですが、4 巻はずっとこの調子なので、はやく慣れましょう。
まず、3 コマ目のウサンくさい審査員にワロタ。どう見ても『
エプロンに着替えた両者。ヒメコは「給食当番の女の子」という感じで可愛らしいし、榛葉はやっぱり「何とかの王子様」に出てきそうなくらい、テライケメン。前掛け + 腕まくりって、男前さをアップしますね。
さて、とうとう料理が始まったわけですが──、ここまでの前振り十分、という感じで「ヒメコは料理や家事全般が苦手だろう」と登場人物も読者も思っていたはず。しかし──、実際は、ヒメコは料理が得意だった、という。
そこで気付いたのが、ヒメコって「オカンキャラ」なんだよな、と。
自分でも不思議だったのが、ヒメコって(テコ入れのため?)けっこう「キワドい格好」をする回があっても、なぜか色気を感じませんでした。ありがちな「黙っていれば可愛いタイプ」とも違う、何とも言えないもどかしさ……。
それが今回、じつは家庭的というのが分かり、「ヒメコって J( ‘ー`)し カーチャンキャラだったのか……」と思いました。可愛くても好きでも、「萌え」対象にはならない感じ。関西弁なのでカーチャンというかオカン。
──とか言いながら、5 巻に収録予定の番外編で、水着姿のヒメコにグッと来ましたが。ジャンプ本誌で見逃した人は、乞う御期待!
あと、何回も読むとジワジワ面白さが増してくるのが、ヒメコが戦いながらもツッコミを欠かさないところ。
うさん臭い審査員たち(他誌の料理マンガキャラばかり)の、中身のないコメントへのツッコミが最高です。「何とも言えない」を言葉通りに使っている人、それにつっこむ人なんて、初めて見た!
いちおう豆知識として書いておくと、山岡(山岡士郎 – Wikipedia)風のキャラクタが言おうとしているのは、「よくぞ日本人に生まれけり」。『美味しんぼ』では何回も出てくるセリフですが、意外にも、61 巻でようやくサブタイトルになりました。
料理対決の結果はともかく(ともかく?)、ボッスンがヒメコにかける言葉が良いです。ああ、やっぱりボッスンはリーダなんだな、と再認識。本当に、彼のコミュニケーションスキルの高さはスゴいです。見習いたいところが、たくさんある。
あっという間に終わった一回戦ですが、ヒメコの意外な一面と、スケット団(と振蔵)の絆の深さが見られて、非常に好きな回でした。
第 28 話「二回戦 スピリット ファイター」
武光振蔵(たけみつしんぞう)と椿佐介(つばきさすけ)が戦う、「スピリットファイター」。大会唯一の肉弾戦とのこと。
開始前から大会の黒い部分が見えてきて、「大人って……」とイヤな気分になるところを、振蔵が一喝(いっかつ)するのが格好いい! そうそう、ヘタレキャラは主人公のボッスンひとりで十分(──アレ?)。
今回はギャグが控えめで、振蔵の格好良さを全面に押し出しています。5 巻に収録される話でも、いいエピソードがあるんですよね。早乙女浪漫(さおとめろまん)とは別の意味で、オイシいキャラです。
──という舌の根も乾かぬうちに、フリスケの副作用でフラフラになる振蔵を描くのは、さすが。外しませんね。待ってました、という感じ(ヒドい)。
しかし──、「正義感が強い」椿が、初めからフリスケの効果切れを狙っている、というのがどうも……。
いや、もちろん、(フリスケでドーピング状態の)振蔵を強者(ツワモノ)と認めた上での戦法、そうしないと勝てないという適切な判断、──というのは分かります。
でもなんか、自分みたいに単純な人間が読むと、確実に椿を嫌いになる、という描き方をしているのが気になります。これは、わざと? 作者の手のひらの上で、踊らされているだけなのか……。
実際、よく考えると、ここで椿が、振蔵の得意分野である剣道で勝負を挑んだら、すぐに負けていたでしょう。なので、椿の戦略は正しい。普通に描けば、読者に「なるほど」とだけ思わせることはできる。
しかし、今回のように、なんとなく椿が「ずるい」と思うような描き方をすることによって、お互いのキャラの違いが引き立つわけです。ほとんどの読者がスケット団側を応援するので、「敵」としての椿、そして迎え撃つ振蔵、という構図が際だつ。
そう、椿ってマジメすぎるから、嫌われ役になりがちなんだよな……。──と、椿が嫌いだった自分ですら、こう考えてしまうような深さを感じますね。「コイツ良いヤツ」「コイツ悪いヤツ」とはならない。
二人の戦いはどうなる? というところで、続きは次回!