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バクマン。 #7 「笑顔と赤面症」 女泣かせのシュージンとミホの親友

『バクマン。』 7 ページ 「笑顔と赤面症」 (週刊少年ジャンプ 2008 年 43 号)

見良香耶(みよし かや)がかわいい。もろに自分の好みだ。「ワシの好みは 108 式まであるぞ」だけど。ころころと変わるカヤの表情を見ているだけで、今週はお腹いっぱいになった。カヤとミホで制服の着こなし方が違うところも注目だ。

「亜豆美保の 1 番の親友」として登場したカヤは、ようするにミホの性格を肉付け・説明するために出てきた──とマンガ読みは読んでしまう。それにしては、いいキャラだ。なんとなく今後の登場は少なそうだが、たんなる「状況の説明キャラ」で終わって欲しくない。「清楚高田」の例もあるので、忘れたころに出てくるかもしれない(例が悪い)。「はは」と夜神ライトのように笑うサイコーに、いいように使われるのだろうか(それはない)。

シュージンに対しておそらく好意を持っているカヤは、それでも持ち前の強気で接する。ここで、カヤが「イヤな奴」に見えた人も多いのでは? 考えてみるとサイコーもシュージンも、初めは好きになれなかった。第一印象は悪い方が良いと日頃から言う森博嗣先生の考えに似ている。

ref.: MORI LOG ACADEMY: お客様多数

──と、カヤのことばかりを話しているが、見どころは ほかにもたくさんあった。

大事なものを盗んでいきました

シュージンも、けっこうな天然キャラのようだ。ただし、恋愛についてだけは。いつの時代もモテる男は自然体なのだな、と再認識した。

シュージンが踏んだ「地雷」のひと言──「見吉と話したかったから」。あっけなくヤられてしまったカヤ(性的な意味ではなく──いや、性的な意味か)の表情は、読者には見えない。これが良い! さすが大場・小畑コンビだ。このときのカヤの心境と顔を想像する楽しみは、読者にゆだねられている。

サイコーから見れば──つまり第三者からしたら明白な「カヤはシュージンが好き」なことを、シュージンは指摘されるまで気が付かない。このあたりは『絶望先生』みたいだ。自分の知らないうちに(?)好意を持つ女子が増えていく、という(ラブコメの王道でもある)。この先、シュージンは勝 改蔵(かつ かいぞう)のような女癖の悪い男に育っていきそうな気がする。

カヤのことを「悪くない」と断言する理由が、じつにサイコーらしい。普通の中学生だったら、ダブルデート(死語?)開催フラグなんだけど、そんなほのぼのとした日が来ることはあるのか──。

ミホは「お高い」?

さっそく「ミホのクラスの高木に告られた」とミホに告げるカヤの困った顔、そしてすぐに照れた顔になるのが最高だ。

そんな中学生らしい親友を持つミホは、しかし超人だった。サイコーとシュージン・ミホは、超中学生なのだ。カウチポテト族(死語?)なわれわれの常識で見てはいけない。

親友の告白を聞いて、真っ先にミホが気にするのは「シュージンとカヤが話した」という事実だけ。シュージンの口から、サイコーとミホとのことを話されたのではないか、ということだけを心配しているのだ。

もちろん、「いっしょに帰って噂とかされると恥ずかしいし……。」という心境ではなく(これだと、100 億万パーセント好きではないことになるが)、サイコーとの約束を守るためだろう。

そうかと思えば、カヤに「お高く見られてるよ」と言われて「本当はカヤ以上に男の子大好き」という驚きの発言をするミホは、やっぱり天然だ。「勉強ができる」岩瀬のことを、男子には人気がないと言ってのけるのも気持ちが良い。ちょっとトゲのある言い方だけど、イヤミではなく的確な指摘だ。サイコーが以前に言っていたこととも、シンクロしている。

くるくる回るミホとカヤの場面は、とんでもない破壊力を持っている。このネタだけで同人誌が一冊つくれるだろう(ジャンルは──言わなくても分かるよな?)。ミホがサイコー以外に「彼氏」を作ることはなくても、あるいは──と考えてしまった。

持ち込みの原稿が完成!

新妻エイジは女だとにらんでいる。──まぁ、「アゴとんがりウイルス」に感染されているような絵柄からの判断だけど。おそらく、2 人が原稿を持ち込みに行った先で出会う──という展開になるのでは。お互いが知らずに会ってあとから分かる、という展開もベタだがありそうだ。

前回でシュージンが考えた奇策のまま、ジャンプ以外の編集者に「ダメ原稿」を

サイコーとシュージンは、お互いの絵とネームには口を出さないようにしてるようだ。小畑健さんと大場つぐみさんも、同じなんだろうか。気になって『DEATH NOTE (13)』のインタビュー記事を読み返した。

インタビュア「(……)おふたりで会っての打ち合わせはあまりされたりしないんですか?」

大場「全くしません。お互い打ち合わせは担当さんとだけです。なので、小畑先生とは最初の読切の時ですら会っていませんよね」

(……)

インタビュア「(……)読切をやる時、おふたりで会って打ち合わせをしようというつもりはありましたか?」

大場「担当さんがしなくてもいい、と判断されたので……。結果的には間違っていなかったと思います」

小畑「自分はお会いしたかったんですよ、大場先生に」

DEATH NOTE (13)』 p.174

ここだけを見ると、大場先生(というか担当)が一方的に「会わなくても良い」と言っているように見える。同じ高校に進学すると決めたシュージンとサイコーとは大違いだ。お互いの作品に「口をださない」というのは共通しているが。

川口たろうの仕事場から掛けた電話を、編集者が「知らない外線」として取っている。状況からして新人が電話に出たようだが、早くも川口たろうが「過去の人」になっているようにも見える。なぜか、少しだけ悲しくなった。アニメ化されても忘れられた作品は、どれくらいあるだろう。忘れた去られた作者も──。

まとめ

カヤのかわいさだけで感想を押し通すところだった。危ない(?)。

サイコー・シュージン・ミホを「超中学生」と上でまとめた。それぞれ、目指すものがあるからだろう。自分が中学生のころは、そんなものはなかった。ただ食べては寝てゲームをして──いまも変わらないか。

何を目指しているか語られていない分、カヤや岩瀬は「普通の中学生」のようだ。それはそれで良いのだが、サイコーたちに比べると薄いキャラに見えてしまう。しかし、なんといっても一番の伸び盛りの時期だ。サイコーも短期間でずいぶんと変わった。このマンガそのものも含め、すべての登場人物の成長に期待している。

asiamoth: