『バクマン。』 118 ページ 「裏と表」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 09 号)
今回は、七峰の喜びかたが面白かったです。自分自身のことを、僕 すごい! 僕超すごい!
と全身で喜びを表現している。こういう、素直な人物は大好きです。とくに七峰は、普段は礼儀正しいところも、高評価のポイントですね。
『バクマン。』に出てくるほかの天才たちも、自信家です。エイジも平丸も、自分の才能に絶対的な自信を持っている。
おそらく、天才たちがイヤミな人物に見えないよう、大場さんがコントロールしているのでしょうね。
さて、七峰は、いつまで「素直」でいられるのか──。
すみません 僕にも……
瓶子副編集長が驚いている。編集長が 新人の作品を 「面白い」の一言
で評価するのは、よっぽどすごい事態なのですね。並(以下)の新人だったら、同じように一言で──「ナシだ」と切り捨てているのでしょう。
編集長のあとで、七峰の原稿を小杉も読んでいます。これが、さりげなくて良かった。読者の感覚からすると、「編集長のおすみつきをもらっているのに、いまさら新人の編集者が読んでも──」と思うはず。
しかし、七峰の担当は、あくまでも小杉です。
小杉は、自分の目で七峰の原稿を読んでいる。もしも、「編集長も認めているのだから、これで大丈夫だ」と思って小杉がボンヤリしていたら、最悪でした。編集者としての自覚がないことになる。
マーケティングとやら
を、編集長はどう思っているのでしょうか。七峰が言うところの、ウェブ上に投稿したりしてない 作品を UP する
ことです。
「ジャンプ」編集長の意見を、ぜひとも聞きたかった。
この場面では、話題作りまで してくれたんだ
──と編集長は言っています。七峰の労をねぎらっているわけで、好意的ですよね。
ただし、ハッキリとは認めていない。編集長の立場からは、大っぴらに「やりたまえ」(ゲンドウの声で)とは言えないでしょうね。
それは… どうなんだ?
七峰の積極的な自己アピールには、意味がありました。普通に考えれば、作品を売り込むためだけれど、それにしては手が込んでいます。どうやら、亜城木夢叶に会いたかったらしい。七峰は、それほど彼らが好きだったのか。
本当に亜城木に会うことが夢だとすれば、七峰が必死になる気持ちは分かりますよね。黙っていては、来年の新年会まで待たなければならない。
「亜城木先生」に会うためには、小杉では役に立たない──。そう知ったあとの、七峰の反応が面白かった。まるで絵に描いたように、小杉に冷たいのです。直接は触れていないけれど、ほとんど小杉を押しのけている。
だんだんと、七峰の本性が見えてきましたね。
是非 会いたいと
まねき猫のポーズで喜ぶ七峰は、本当にうれしそう。でも、男性のかわいらしいポーズなんて、誰得──って、喜ぶ読者は(男女ともに)多いと思うケド。
驚いたことに、七峰は亜城木夢叶の仕事場ヘ行くという。──え、個人情報の保護は? いいの?
蒼樹の住所を福田が聞いた時には、女性だし
という理由以前に、いくら作家同士でも 勝手に教えられない
──と雄二郎は断りました(『バクマン。 (8)』 p.122)。ゆるふわアフロでさえ、プライベートは大事にしている。
亜城木ファン
と会うのは、ほぼ初めての 2 人です。
亜城木夢叶を尊敬している人物と言えば、高浜ですよね。でも彼の場合は、「熱烈なファン」という感じでは接していなかった。ファンだったら、緊張してアシスタントができなかったかも。
高浜は元気でやってるかな……。
シュージンは、七峰を図々しい
と思っている。サラッと言っていますが、けっこうきびしい言葉です。。数秒前には、浮かれていたのに。シュージンも同じ「計算型」だけあって、意図を見抜くのは得意なのでしょうね。
体に電気が 走りました!
『この世は金と知恵』を、七峰はかなり好きなようです。これだけ熱狂的に作品を評価されたのは、亜城木の 2 人にとっては初めての体験であるはず。あまりの熱心さに、軽く「引いて」いる。
本来、こうやって作家を持ち上げるのは、隣で石像と化している編集者のお仕事だと思いますが……。(初期の)山久を見習って欲しいところです。
『CROW』を描いたエイジよりも、亜城木のことを七峰は評価している。その理由がすごかった。
エイジが考えないで 描いてる
ことを、七峰は言い当てているのです。たぶん、本人と会ったわけでもないのに、そこまで分かるのか……。
この観察眼は、これまた編集者に持っていて欲しい能力です。七峰は、マンガ家でありながら、マネージャ・兼・編集者の役割までこなしそう。
これからの作家は、これくらいの自己管理が要求されるのでしょうか。本当に、売れたかったら──。
プレゼントページ どうしたーっ !!
「ジャンプ」のプレゼント・コーナは、誰が読んでいるのでしょうかね。アンケートはがきを出すファンと、賞品が欲しい人くらいでしょう。
以前から自分は、「『ジャンプ』のプレゼントページを毎週まとめたら、面白いのに」と注目しています(それ、そんなに注目してよね)。あのページのぶち切れ具合は、まとめる価値がある。本当に、誰かやらないかなぁ……。たとえば、Tumblr などで。
サイコーの独白に注目しましょう。七峰のことを、礼儀 正しすぎ
ると思っています。でも、「あこがれの先生の仕事場にいる」のだし、「新人のマンガ家」なのだから、かしこまった態度を七峰が取っていても、普通だと思う。
さすがはサイコーです。初対面の服部を値踏みしていただけはありますね!(いま考えると、あれ、すごいよなぁ……)
ご存じのように、今回のラストは、「編集者の価値をマンガ家が判断する」という批判的な内容でした。しかし、そんなことは──サイコー大先生が中学生の時にやっている。おそろしいやっちゃで……。