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バクマン。 #122-1 「心理戦と決め台詞」 自滅と内輪もめ

『バクマン。』 122 ページ 「心理戦と決め台詞」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 13 号)


fanfanfan と──争いになる?)

今回の『バクマン。』はセンタ・カラーでした。ライバル──というよりも、敵同士となった 2 組・亜城木夢叶と七峰透が描かれています。扉絵では微笑んでいる印象が強いサイコーとシュージンは、完全に「戦う男」の顔をしている。

カラーの七峰は初めてだと思いますが、「いかにも」な配色ですね。(アニメ化を見越していたのか)意外とカラフルな髪の色の登場人物が多い中、彼のように茶髪は珍しかったりします。定番のメンバの中では、カヤぐらいかな(彼女は赤毛?)。

紫のトップスがナルっぽくて、やはり七峰と夜神月との印象が重なります。『DEATH NOTE (6)』のイメージですね。

こうして新キャラクタが読者の記憶に刻み込まれていくのに、ヒロインの亜豆美保は頭の隅へ追いやられていく──。アニメからこの作品の世界に入った人は、ふんいきが かなり違って見えるでしょうね。

そうそう、アニメと言えば、カラーページのウラにある「アニマン。」には、懐かしいあの人が……。

10 週で 打切にしてやる

前回の感想で亜城木夢叶と七峰とのバトルについて、やっていることは「電話越しの口げんか」だという……。これぞ本当の「中二バトル」? と書きました。さすがに言いすぎたか。

──と思ったら本編で、これじゃ 小学生の口喧嘩だという。さらにレベルが下がっていて笑いました。たしかに、亜城木のほうは服部も含めて 3 人で臨戦態勢に入っていて、ちょっとオトナげない。


電話を通さない本番のバトルも、「マンガの人気順を競う」のだから、一見すると平和そのものです。しかし本人たちは、それこそ命を賭けて戦っている。

それに──、殴り合いのケンカだったら、せいぜい数週間くらいの入院が最大の痛手でしょう。ところがプロ作家同士の争いは、「明日からのメシに困る」可能性がありますからね……。よく考えると、ものすごく痛い

七峰くんのやり方は どうしても…

つい熱くなって しまっても、すぐに冷静になるシュージンには、「欧米か!」と突っ込みたくなりました(まだ使えるギャグ?)。彼がカッとなってすぐ冷めるのは、いつものことですケド。

すぐに頭を切り換えて 3 人ともビジネス・モードに入る様子は、「シリアスなギャグ」を体現しています。これもまた、オトナの世界ではよくある風景ですね。コドモのころは誰でも感情的だったのに、いつの間にか落ち着くスベを身につける。


服部に言わせると放っておいても 自滅するやり方なのが、七峰の「判定人法」とのこと。さらには本当に潰していい くらいだろうなんて言っている。

これはもう完全に、七峰の完全敗北フラグです。

──と見せかけて、新妻エイジに勝つくらいの人気作家になっていく七峰を描く。そういうシナリオも期待しています。連載が始まる前から、これほど敗色が濃厚な作品は初めてですからね。


七峰作品の弱点は、アイデアの詰め込みすぎにあるらしい。これは、作品をまとめ上げる力が七峰に足りないからでしょう。それでも、中身がないスカスカした作品(『某リーチ』?)よりは、伸びる余地があります。

バランスを崩すほど面白い要素を満載にしたマンガのほうが、いつまでも忘れられません。最近の「ジャンプ」では、『銀魂』の性転換ネタがヤバかった(ヅラ子は とったどォォォォ)。

今後、七峰監督が統率力を身につけたときには、真の脅威になるでしょう。そうなる前に、コロッと「改心」してしまいそうだけれど。

それ以上 言わないで ください

どうやって亜城木コンビと七峰たちが戦うのか、前回から疑問に思っていました。作風が 被っていれば 被っているほど 戦いやすいとシュージンは言うけれど、何か打つ手があるのだろうか。

そもそも、まだ『有意義な学園生活に必要なそれ』(長っ)の内容が今ひとつ読者には伝わって来ません。概要を聞く限りでは、どのあたりに心情を追う造りが見られるのかが分からない。

『それ』(略称を決めて欲しい)が連載になったときには、実際のページが描かれると良いですね。『シンジツの教室』が素晴らしかっただけに、なんだか連載作品は見劣りしてしまう。

巻頭カラーで 50 ページ以上

わざと似た内容を描く作戦は、七峰──というか「判定人」たちなら使ってきそうです。人気を獲るためなら、なんでもやってくるはず。

MORI LOG ACADEMY』の何巻かに、たしかこんな話が載っていました。「円形をした街の中心にコンビニが 1 店舗だけある。さて、自分が新しくコンビニを建てるとしたら、どの場所を選ぶ?」

その本に書かれていた正解は、「元からあったコンビニの目の前に建てる」でした。一番効率よく集客できる場所だからですね。個人的には、円周に設置したほうが良い(住民にとって便利)と思うけれど、実際のコンビニも集中して建っている。

亜城木が想定した七峰の作戦は、上記のコンビニの話と似かよっています。ただ──、「似ているマンガ」を描いたからといって、以前から連載されている作品から人気を奪えるとは思えません。新規に連載されたマンガのほうが負けるはず。

たとえば、『HUNTER×HUNTER』や『バクマン。』のようにスピーディなマンガなら数ページで終わる内容を、じっくりと数週間(数年?)かけて描くという『ブ某ーチ』みたいなお家芸を新連載でやったら、3 週で打切りです。ロケットでつきぬけてしまう。


──と考えれば考えるほど、サイコーとシュージンは『PCP』をしっかり描くのが 1 番だとなりますね。対する七峰は、やっぱり負けが見えてくる。

面白くなってまいりました

七峰は、1,000 の中から選りすぐりの 50 人を「判定人」にしたはずですが──、コメントの質が低い人が目立ちます。過去ログを参照してみると、有益な発言をしているのは数人だった──となる気がする。

ここで「判定人」を降りる人が出てきたということは、「作品を面白くする人を集めている」などと七峰が言ったのでしょう。「いま連載しているマンガや『ジャンプ』の常識を一緒に潰そうぜ!」という姿勢ではスカウトしていなかったはず。

おそらく、七峰自身も最初は「面白い作品を作りたい」という一心で、いろんな作戦を考えていたと思います。連載を急いだのも、尊敬する亜城木先生と早く並びたいから──だったのかも。


なぜ、こんなことになってしまったのだろうか──。

──ひそかに、「(男性限定で)不幸の嵐を呼ぶ女」こと加藤奈津実が「判定人」に紛れ込んでいたりして(ありそうで こわい)。

asiamoth: