『ヒミズ』 古谷 実・著
まさかの映画化にビックリした『ヒミズ』は、来年の公開を目前にした注目作です。
映画『ヒミズ』公式サイト 2012年1月14日(土)新宿バルト9、シネクイント他全国ロードショー
ただ、「若者たちの青春を描いた感動作!」などという紹介の され方を見て、かなり不安になりました。そんな作品だったっけ……?
シナリオ変更の記事を見て、期待が回復しました。最近よく見る「マンガ原作→実写映画化!→大失敗☆(てへぺろ」に続かないことを祈ります。
映画/園子温監督、震災後に『ヒミズ』シナリオ変更し被災地で撮影していたことを明かす – cinemacafe.net
「化け物」は概念なのか?
さて、本題に入りましょう。
『ヒミズ』の主人公・住田には、ときどき「化け物」を見るという悩みがある。この「化け物」の正体をウェブ上で検索すると、「人間の悪意や絶望を概念化したモノ」といった解説が見つかります。
たしかに、希望を失うような場面で、住田が「化け物」を見ることが多い。精神を病んだ末に見る幻想でしょうか?
しかし、あれは概念や幻覚ではありません。ある登場人物が「化け物」の正体です。つまりは、下の人物表の中に「化け物」がいる……!
- 夜野正造
- 赤田健一
- 小野田きいち
- 茶沢景子
- 飯島テル彦
- 野上ヨシヒサ
- 内田
- 塚本とし夫
では、だれが「化け物」なのかと言うと──。
Reviewer: あじもす @asiamoth,
シンプルな答え
もっとも核心に せまっていて、「化け物」の考察以外にも読むべき価値が高い文章は、下のページにあります。
阿部嘉昭ファンサイト: 古谷実『ヒミズ』について(田部 淑子)
ほぼ答えそのものが、怪物の登場と住田の精神状態
の章に書いてある。ただ、ここでも極限状態になった時の精神を具現化したものだと考えられる
──と結ばれています。
もったいぶった書き方は終わりにして──、上のページで例外
と書かれている『ヒミズ (2)』の 178 ページをご覧ください。中央のコマにハッキリと描かれている。
この人物が、「化け物」です。
おわりに
──ガッカリしました?
しかし、あの人物こそが「化け物」としか自分には思えません。「住田にしか見えない」という例外を破ってまで描いた以上は、必ず意味があるはず。
そのわりには、「ヒミズ 化け物 正体 "○○"」で検索しても、そのものズバリの答えが出てこない。そこで(しめしめと思いながら)記事にしました。
それより何より、「アレが正体だとして──、だから何なんだ!?」という疑問が わいてくるでしょう。自分もそう思いました。
たとえば、『ドラゴンボール
それでも、「だから、『気』って何?」と深く追及されると、説明に困ってしまいます。体内エネルギー
とは何か──、究極的には「生きている」とは何かを完全に理解していないと、「そういうモノだ」と言うしかない。
住田は、父親の死を願った。茶沢は、そんな住田に興味を持つ。そして あの人物は、「化け物」だ。
──それ以上に、おそらく意味はない。