森博嗣 『悠悠おもちゃライフ』
下のリンク先にある画像が、ネットで話題(←うさん臭い言葉の代表選手)に なっていました。
なんと森博嗣
「引用したなら『幻惑の死と使途』ってタイトルを書いておけよ!」とも思ったけれど、大好きな森先生に注目が集まる きっかけになったら、ファンとして うれしいです。
そう、われらがココロンの指摘していたように、しょーもない「炎上商売」の片棒を担ぐヒマがあったら、森博嗣先生とココロ社先生の著作を読んだほうが、65565 倍も人生が充実しますよ!
学費援助サイトを叩いた人も、ひとり900円くらい援助していたことになる – ココロ社 ♪ほのぼの四次元ブログ♪
森先生から考えをいただくのであれば、『悠悠おもちゃライフ』がオススメです! 先生の卓見がギュッと 1 冊に濃縮されていて、1 ページに 1 枚以上の写真が載っている。しかもオール・カラーという豪華版ですよ!
読んで・見て・楽しめる単行本です!
Reviewer: あじもす @asiamoth,
趣味とは何か
いつも素直に自分が一番欲しいものに向かっていれば、自分にとって最高のものが手に入るチャンスが大きい。ジャンルを決め、その中でものを見ていると、自分自身も知らないうちに限定される。
『悠悠おもちゃライフ』というタイトルのとおり、全編がオモチャの話です。森先生の大好物であるカラフルな機関車や人形の写真が多くて、パラパラとページをめくるだけで楽しい!
「おもちゃは卒業したよ」という人には向かない本ですね。そういう人は たぶん、同じような状況で いろんな何かを切り捨てることになるでしょう。それはそれで いさぎよい人生です。
さて、鉄道模型の制作は森博嗣の趣味ですが──、
そもそも「趣味」とは何でしょうか?
──アナタの答えは、「スポーツ」や「レジャ」・「コレクション」──あるいは「仕事」に該当するかもしれません。それだけなら まだしも、「寝ること」なんて寂しい答えだったりして……。
森先生いわく、趣味とは「個人研究
」とのこと。
基本的には自分ひとりで、コツコツと積み上げていく過程そのものが喜ばしい成功も失敗もなく、誰かに見せる必要もなく、自分のためだけに楽しむ。──それが趣味 (hobby) です。
森先生は、ラジコン飛行機・鉄道模型・ぬいぐるみ・ブライス人形・写真・詩──などといった趣味をお持ちですが、これらは先生にとっては「同じ 1 つの趣味」らしい。他人が決めたジャンルに縛られていないからです。
あらためて──アナタは趣味を持っていますか?
自分の場合は、ひと言で言えば「ブログ」が趣味です。当ブログは訪問者に向けて公開していますが、そういう表面に出ない部分にドラマがあって おもしろい。
例を挙げると──、上のほうに なにげなく(でもない?)張ってある買い物サイトへのリンクと画像は、2-3 の操作をする数秒間で完成します。──が、そのプログラムを作るまでに何時間かかったか……。
アマノジャクな視点
森博嗣先生は、物事を客観的に見られる人です。
──と書くと たいしたことがないように感じるけれど、客観視ほど むずかしい「技術」も ないのでは? あるいは「才能」かもしれない。
誰かを批判する場合を考えてみましょう。「最近の日本人は──」といった口調で、悪口に近い批判をしたとする。
──その時に、「自分も含めて」批判できる人はいるでしょうか。たいていの人は、「自分だけは当てはまらない」ように話すはずです。──あ、そうか、実際に「日本人」じゃなかったりして……。
森先生は、当然のように自分自身も入れて批判します。これは簡単なようでいて、なかなか できないことですよね。
この視点の広さは、森先生がアマノジャクだからだと思います。ひねくれた物の見方をしているから、他人が見落とすことまで見えるのでしょう。頑固で自分の目の前しか見えない人よりも、1,024 倍は素晴らしい!
本書にも「もっと抽象的に
」・「明るい人、暗い人
」・「おもちゃは壊すもの
」・「空いている遊園地
」という章があり、それぞれ一般的な意見とは 245 度くらい違う方向を向いています。
「抽象的という言葉は、多くの人が「あいまい」という意味で解釈している。これは間違いで、本来は「物事の本質をとらえること」という意味が近い。
趣味を──人生を楽しむには、「抽象力
」が大切です!
楽しさが抽出できる人間だけがおもちゃで遊ぶことができる。おもちゃ自体に価値があるのではない。それは単なる道であり、その道を歩いてどこへ行くのか、それを見なければ楽しさは味わえないだろう。
おわりに
『悠悠』が気に入った人は、『MORI LOG ACADEMY』シリーズも推薦します!
なにしろ、執筆よりもゲラ校正に時間が かかる(どちらも 2 週間くらい)ことで有名な森先生が、たっぷりと 3 ヶ月を費やして 1 冊を書き上げた著作が 13 冊もあります! ──まぁ、日記ですからね。
冒頭に出てきた「ネットの日記はカラオケ化する」的な意見は、『モリログ』だけで補完できます。
たとえば、「単行本は、書き下ろしなどが追加されていて・携帯しやすく・さらに安い。それなのに、ハード・カバーよりも 3 年も後で出る。発行の順番を逆にして、ハード・カバーに特典を付けるべきだ」といった見解(うろ覚え)が おもしろかった。
──しかし、なんと言っても『モリログ』は 10 冊以上もある。ちょっとだけ(ジョン・ケージの『Organ2 / ASLSP』くらい)読破に時間が かかって大変ですよね。そこで、今回は『悠悠おもちゃライフ』を紹介しました。
じつは、同じ書名のハード・カバー版で記事を書いていたのですが、やっぱり文庫本のほうが大好きです!
ぬいぐるみ好きだった自分へ>『悠悠おもちゃライフ』 | 亜細亜ノ蛾
小飼弾氏もハード・カバーを嫌っていたし、同じ意見の人は地球上の 98 割を占める(※ asiamoth 調べ)。
404 Blog Not Found:新書萌のハードカバー萎え
カバーよりも頭が固い出版社のエライさんは、そろそろ頭を変える・替える時期ですよ!