『ジョジョリオン』 volume 10 「ロカカカの樹を追え!」
「2位じゃダメなんでしょうか?」
──そう問い詰めていた議員は、プラカードを持ってカメラ目線で一番目立とうと していた気がする。それは さておき──。
本巻もカバー折り返しの言葉が面白かった!
「日本の 2 番目に高い山はどこ?
」というクイズが載っています。一般常識と言える問題なのに、なかなか即答できません。
「リンドバーグの次に大西洋の単独・無着陸飛行を成功させたパイロットは?」という問題も有名です。そして、2 番目ではなく 3 番目に成功した「初の女性飛行士」のほうが記憶に残る。
ところが、さすがは荒木 飛呂彦先生です!
安直に「だから 2 番じゃダメなんだ!」という話の着地点を選ばなかった。「愛すべき 2 番」の肩を持っています。
この発想力が、人間にとって一番大事だと思う。
Reviewer: あじもす @asiamoth,
#039 ドゥービー・ワゥ その 1
大年寺山 愛唱なる人物の情報が出てきました。
八木山 夜露にも当てはまりますが、名前を聞いても容姿を見ても性別が分かりません。そう言えば、夜露は他人から名前奪ったから本名は不明だし、死体も崩れ去った今では「性別の有無」すら不明です。
それくらい「岩人間」は不思議に満ちている。
ペイズリー・パークを折り紙にしてビックリです!
広瀬 康穂と東方つるぎのスタンドならではの合体技ですね。
──いや、そんなことよりも、「康穂のスマートフォン自体がスタンド」という扱いに意表を突かれました。康穂のスタンドは人型(女性型)のスタンドだった はずなのに……?(荒木作品には よくあること)
謎の「フルーツ」の神秘が見えてきました!
交換は等価
ということで、けっして万能薬では ありません。つるぎの病気を治す力が あるとしたら、いったい何と交換されるのだろう? 全身に発症する病気だから、相応の対価は──命よりも重いのでは……。
あと、回復する老人の姿を見て ふと思う。
──『アイアムアヒーロー 17』とカブっている!
(ついでに言うと、『ジョジョリオン』も『アイアム──』も「すぐに Kindle 本が出ない」ところが共通だな。イマドキ「紙の本」を優遇していたら読者が離れるでェ!)
#040 ドゥービー・ワゥ その 2
ペイズリー・パークの能力は抽象的です。
最初は たんなる道案内のスタンドだったけれど、だんだんと「未来予知」のような力を持ち始める。しかし、けっして未来が見えるのではない。「痕跡
」を追求する能力ですね。
しかし、その結果から分かる危機回避の方法は──「バナナの皮
」と「犬のうんこ
」といった選択肢です。 わざわざ康穂に選ばせるのは なぜだろう? しかも数秒間しか持ち時間がない。
──たしかに、いつだって女の子はイジワルな選択をさせる生き物だけれど(選んで。「あたし」or「仕事」残り 0.02 秒──とか)。
無数のカエルが跳ね回る場面と言えば!
ジョジョ 第 5 部の一場面を思い出しました。逃走中のギャングが追っ手から逃げるために、「車を『100台盗めば
』見つけるのは困難
」というアイデアにはシビれるッ!
つるぎは、髪飾りの代わりに「カエルの折り紙」をよく付けています。作者は、最初から この「カエルだらけ」の場面を想定していたのかも しれませんね。
#041 ドゥービー・ワゥ その 3
大年寺山は、意外にも かなり臆病な性格です。
『ジョジョ』の敵役なのだから、どこか卑怯だったり邪悪な精神を隠していそう。しかし、今のところは どちらかと言えば「主人公側」にいても不思議ではない。東方 常秀を見ると とくにそう思う。
愛唱が精神的な弱さを克服し、成長していく物語も面白そうです。──ところが、悲しいことに『ジョジョ』の精神は どこまでも少年マンガなのでした。
悪の栄えた試しはない。
「ドゥービー・ワゥ」は無敵のスタンドなのでは!?
竜巻の攻撃自体は強くない。しかし、「射程距離は無限(!)」「呼吸に反応する」「自動追尾型」「攻撃が効かない(康穂がスタンドで攻撃しても窓で はさんでもダメージ無し!)」という豪華すぎる性能ですよ!
今回は偶然にも本体・愛唱を先に見つけたから打つ手がありました。しかし、もしも大年寺山が「暗殺者」として隠密行動に出ていれば、彼に勝つ方法は まったくない。
愛唱が杜王スタジアムの職員
で良かった!
彼がギャングやヤクザの一員だったら、『ジョジョ』の世界のバランスが大きく崩れたかも。
(というか、例の果物を売るだけで一財産が稼ぎそうだけれど……。栽培に金がかかるのかな?)
#042 ドゥービー・ワゥ その 4
大年寺山のネっトリとした過去が語られる──!
身も心も──財産さえも根こそぎ奪われています。これだけ恐ろしい体験をしたら人間不信になって当然と言える。この世で信じられる人は、同じ岩人間──八木山くらいでしょう。
それでは、つるぎも仲間と考えないのだろうか?
愛唱と東方 常敏との関係も気になります。
あきらかに常敏は岩人間では ありません。愛唱とは「契約
」で結ばれているらしい。それだけのことで、小心者の大年寺山が恐喝に近い態度を取れるでしょうか?
常敏はウソをついて愛唱と接触した──と考えました。
つまり、息子の つるぎではなく、「常敏自身が岩人間」と偽っている。それなら、大年寺山から「ロカカカ」を購入する理由も、愛唱が馴れ馴れしい理由も納得できます。
(大年寺山が「普通の人間」をすべて恐れているかは不明だが、「女子ども」の康穂と つるぎにもドキドキしている様子から推測)
常敏はフルーツで何を企んでいるのか?
息子に与えて「病」を克服させよう──という気は今のところ薄そうです。善意からだとすれば、交換条件について研究しているのかも しれない。
しかし、野心家の常敏なら、もっと有効活用しそう。
つまりは、「ロカカカによる杜王町の支配」です! 脚を失った老人のように、フルーツが必要な人たちは たくさんいる。彼らから初めて、そのうちに街中を「ロカカカ漬け」にするのでは?
まるでドラッグのように甘くて苦い──。
おわりに
そもそも、果物はダイエットの敵です。
正確に言うと、フルーツに含まれる糖質が問題になってくる。しかし、手軽に食べられるし甘くて美味しい。やせたい人にとっては、まさに麻薬のように官能的です!
ダイエットの悩みはメンタルへ!
もとい、「肉体的な悩みは東方フルーツパーラーへ!」という展開が近づいてきたかも──!?