『スカイ・クロラ』
「原作 森博嗣」
この文字を劇場で見られるなんて、思いもよらなかった! ──わけはなく、『すべてがFになる』のころから待っていましたとも !!
さらに、「監督 押井守」と来た日には、それこそ「飼い犬を質に入れてでも」見に行くべき(意味不明だし、お二人とも犬好きだからあり得ない行動)。
自分はなるべく前知識を入れず、もちろんパンフレット(表紙の紙が上質!)も鑑賞後に購入、原作も読まずに見てきました。
うっかりここにやってきた人も、できれば素の気持ちで見に行って欲しいですね。
仲の良い友人や恋人と、あるいは 1 人でも、楽しくも重苦しい 2 時間を過ごせます。──ただ、間違っても「家族総出」とか「クラスメイト 10 人と」とか、「今日こそゲットしようともくろむ同僚の○○さんを連れて」という状況で見る映画ではない──、と思います。
純粋なミステリィ作品ではないですが、ミステリアスな世界観と登場人物たちの素性が、後半で霧を晴らすように明らかになっていくところは、まさに「森作品であり押井作品」と感じました。
若者に向けて
地元の映画館で見終わって変えるときに、本作を紹介しているポスターを見ると、
「大人アニメ」
と書いてあって笑えました。──しかし、よく考えると、これ以上にこの映画のことを紹介する短文って、難しいですよね。
強いていえば、「戦争映画」。個人的には「ものすごくローテンションな『トップガン』」と思ったんだけど、うーん、両方の作品のファンから怒られそう。
──やんわりと、「オンナコドモは『ポニョ』を見ろ」と言っているような映画に思えましたが、意外にも監督は、
「今を生きる若い人たちに向けて、何かを言ってあげたいという思い」
から本作を制作したそうです。それにしては R-15 な描写がいくつもあるので、対象年齢はハタチ前後ぐらいでしょうか。
永遠を生きる
しかし──、やっぱり、「毎日の生活にやや疲れている」大人が見て、初めて理解できる気がします。
この映画では、
「同じような毎日が延々と──永遠に続いていく、というある種の恐怖感」
が描かれています。
自分の二十歳のころだったら、この恐ろしさは分からなかった。だって、たかだか十数年後の「いま」も想像ができなかったから。正直、人生が「あと半分(以上)」もあるとは、なかなか実感できていません。
──少し前から、「500 年後くらいの日本が見てみたい」と、ぼんやり考えています。ネットもゲームも映画も、想像がつかないくらい進化しているだろうな……。
本作に登場する「キルドレ」なら、何百年、何千年後も見られるでしょう。戦死しなければ──、いや、もし死んでも……。
だったら自分もキルドレになりたいか、というと……。キルドレを知る前ならいざ知らず、映画を見終わったあとでは、「そんなのはゴメンだ」。戦争にかかわってまで生き続けるのは、怖い。
──それとも、本作の登場人物たちのように、しばらくすれば忘れてしまうのでしょうか……。
まとめ
ぜひとも劇場で味わって欲しい映画。
「戦闘機のシーンだけでも見るべし」なんてことは言わない。キルドレたちや彼らの周りにいる「大人たち」の苦悩も含めて、浴びるように感じて「どんより」と帰ってきて欲しい(勧めているのか、これ)。
今回は、意図的にキャラクタや背景について書かなかった。また後日(明日?)、じっくりと書いてみよう。