X

『スカイ・クロラ』 劇場で森博嗣作品を見る至福

『スカイ・クロラ』

「原作 森博嗣」

この文字を劇場で見られるなんて、思いもよらなかった! ──わけはなく、『すべてがFになる』のころから待っていましたとも !!

さらに、「監督 押井守」と来た日には、それこそ「飼い犬を質に入れてでも」見に行くべき(意味不明だし、お二人とも犬好きだからあり得ない行動)。

自分はなるべく前知識を入れず、もちろんパンフレット(表紙の紙が上質!)も鑑賞後に購入、原作も読まずに見てきました。

うっかりここにやってきた人も、できれば素の気持ちで見に行って欲しいですね。

仲の良い友人や恋人と、あるいは 1 人でも、楽しくも重苦しい 2 時間を過ごせます。──ただ、間違っても「家族総出」とか「クラスメイト 10 人と」とか、「今日こそゲットしようともくろむ同僚の○○さんを連れて」という状況で見る映画ではない──、と思います。

純粋なミステリィ作品ではないですが、ミステリアスな世界観と登場人物たちの素性が、後半で霧を晴らすように明らかになっていくところは、まさに「森作品であり押井作品」と感じました。

スカイ・クロラ [DVD]
菊地凛子, 加瀬 亮, 谷原章介, 栗山千明, 押井 守
VAP,INC(VAP)(D) 2009-02-25

by G-Tools , 2009/01/29

若者に向けて

地元の映画館で見終わって変えるときに、本作を紹介しているポスターを見ると、

大人アニメ

と書いてあって笑えました。──しかし、よく考えると、これ以上にこの映画のことを紹介する短文って、難しいですよね。

強いていえば、「戦争映画」。個人的には「ものすごくローテンションな『トップガン』」と思ったんだけど、うーん、両方の作品のファンから怒られそう。

──やんわりと、「オンナコドモは『ポニョ』を見ろ」と言っているような映画に思えましたが、意外にも監督は、

「今を生きる若い人たちに向けて、何かを言ってあげたいという思い」

から本作を制作したそうです。それにしては R-15 な描写がいくつもあるので、対象年齢はハタチ前後ぐらいでしょうか。

永遠を生きる

しかし──、やっぱり、「毎日の生活にやや疲れている」大人が見て、初めて理解できる気がします。

この映画では、

「同じような毎日が延々と──永遠に続いていく、というある種の恐怖感」

が描かれています。

自分の二十歳のころだったら、この恐ろしさは分からなかった。だって、たかだか十数年後の「いま」も想像ができなかったから。正直、人生が「あと半分(以上)」もあるとは、なかなか実感できていません。

──少し前から、「500 年後くらいの日本が見てみたい」と、ぼんやり考えています。ネットもゲームも映画も、想像がつかないくらい進化しているだろうな……。

本作に登場する「キルドレ」なら、何百年、何千年後も見られるでしょう。戦死しなければ──、いや、もし死んでも……。

だったら自分もキルドレになりたいか、というと……。キルドレを知る前ならいざ知らず、映画を見終わったあとでは、「そんなのはゴメンだ」。戦争にかかわってまで生き続けるのは、怖い。

──それとも、本作の登場人物たちのように、しばらくすれば忘れてしまうのでしょうか……。

まとめ

ぜひとも劇場で味わって欲しい映画。

「戦闘機のシーンだけでも見るべし」なんてことは言わない。キルドレたちや彼らの周りにいる「大人たち」の苦悩も含めて、浴びるように感じて「どんより」と帰ってきて欲しい(勧めているのか、これ)。

今回は、意図的にキャラクタや背景について書かなかった。また後日(明日?)、じっくりと書いてみよう。

asiamoth: