Ricoh GX200
リコーのコンパクトデジタルカメラ・GX200 はキケンだ。今すぐ手放したほうが良い(そして、それを asiamoth に与えるべきである)。
何がキケンなのか?
たとえば、上にある画像は、自分がバクゼンと撮った写真だ。なんとなく、それなりに見られる写真になっている。撮り終わった直後に液晶モニタで映りを確認して、「おお!」と口に出しそうになったくらいだ。
──それは言い過ぎ・話を作りすぎ、だけれど……。
こういった「何も考えずに撮る写真」を、自分は「ザ・バクゼン写真」と呼んでいる。撮影の際にも、心の中で「ああ、バクゼンだなぁ……」と思いながらシャッタを切っているのだ。
それなのに、GX200 はアーティスティックな写真に仕立て上げる。──キケンだ。写真がウマくなったと、勘違いしてしまう。
──なんだかベタボメで「リコー・ラヴ!」な記事になりそうな勢いだが、違うのだ。
もう、自分はリコーのデジカメを使うことはないだろう。好きなんだけど、自分の手には余る。悲しいが、サヨナラだ……。
自分の何があったのか、書いてみよう。
暗所は苦手
GX200 の何が問題か?
すこしでも暗いと、とたんに「ノイズ・ブレ・ボケ」の油絵風な画像を乱造するのだ。
リコーのデジカメは全体的に、暗いところの撮影が苦手である。ISO 感度は 200 までが上限と考えたほうがいい。それ以上は「コンビニの監視カメラから静止画を抜き出した」みたいな画像になる。
最新機種の RICOH CX1 になると、ようやく ISO 感度が 400 でも使えるようだ。
──と思ったが、下のレビューの「ダイナミックレンジダブルショットモード」の写真を見ると、ディテールが損なわれた絵画風の写真になっている。いいのか、これで……?
デジカメファンは必読の「デジタル一眼を比較してみるブログ」に書かれた記事を見てみても、FUJIFILM FinePix F200 EXR のほうが良い写りに見える。
暗所室内撮影でのリコーCX1比較 デジタル一眼を比較してみるブログ/ウェブリブログ
同じような事は以前にも書いた。やはり、リコーのデジカメは十分な光量があってこそ生きるのだ。夜になったら、早めに寝かせてあげよう。
RICOH(リコー)R10 の売れている理由がわからない : 亜細亜ノ蛾
Canon PowerShot G10 の場合
「暗い所ではフラッシュを使えばいいじゃないか」という意見もあるだろう。その通りだ。自分も、光量不足の場所を GX200 で撮影する際には、フラッシュをオンにした。しかし──。
アナタは、「暗い場所」と聞いて、どんな所を思い浮かべるだろうか? ふつうは、明かりを点けない室内や路地裏・ライブ会場・夜道などを想像するだろう。
しかし、「人間様には まぶしいくらいの照明が取り付けられた室内」も、カメラにとっては暗いのだ!
明るい照明の下でフラッシュをたくのは間抜けな気がするし、人の顔はテカテカに写る。
フラッシュなしで室内での撮影を行なうには、本格的な写真スタジオなみの光量が欲しい。知らない人が初めて撮影会に参加すると、照明の設備にビックリするはずだ。
ところが──。
Canon PowerShot G10 では、そこまで明るくない場所でも快適に撮影ができる。
下の写真を見て欲しい。
──まぁ、典型的な「日の丸構図」だし、汚い部屋だし、面白みのない写真である。これは、家に G10 が届いてすぐに「バクゼンと」撮った写真だ。
RAW で撮影して、Raw Therapee の neutral というプリセットで出力した。こうすると、本当に「撮ったそのままの写真」ができあがる。カメラ本体で JPEG にするよりも自然かもしれない。
RAW 画像を快適に閲覧・現像する PhotoStagePro と Raw Therapee : 亜細亜ノ蛾
この写真の見どころは、シャッタスピードだ。なんと、「1/2 秒」なのである。
──と言われても、ピンと来ない人も多いと思う。
こんなに遅い速度で撮ると、ふつうは まず手ブレする。そうではなくても、ピントが甘くなるはずだ。それなのに、Flickr へアップロードする前の縮小されていない画像は、本当に隅々までシャープである。
自分は、何度も室内で GX200 を構えて、フラッシュなし撮影の練習をした。Ricoh のユーザさんは、試してみて欲しい。
室内で GX200 の撮影モードを P・絞りを解放(F2.5 から F3.5 くらい)・24-28mm で撮ると、シャッタ速度は 1/15 から 1/4 くらいになる。──絶望的に遅い。涙目で 1.5m 先にある洋服に向かって 100 回以上シャッタを切る。──洋服のタグがブレずに撮れたのは、5 枚以下だった。それに、言うまでもなく、暗い写真だ。
これが G10 だったら、暗くてもサクサク撮れる。シャッタチャンスも増えるのだ。──正直、G10 も撮影から撮影の間が微妙に遅いけど、GX200 のほうが時間がかかる印象だった。
そうそう、ついでに書くと、SIGMA DP2 はスローなカメラと言われているが、店頭で触った感じでは GX200 と大差ない。そういう意味でも、GX200 から DP2 へ安心して乗り換えられる。
でも──。やっぱり、Ricoh GX200 は、いつまでも心に残るカメラだと思う。「ここがこうだったらなぁ」というモノほど忘れない。GX6400 くらいまで進化したら、また手にしようかな。