『バクマン。』 37 ページ 「取締役とトリ」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 25 号)
『ラッコ 11 号』の内容がすこし明かされた。──明かされても謎が残る内容だったが。
どうやら、屁理屈(へりくつ)の面白さがこの作品のポイントになるようだ。
ヘリクツほど、面白く描くことが難しい物もない。たんなる言いがかりや勘違い・暴言に終わらないように、ある程度の説得力が必要になる。
たぶん、いまの日本で「カネになるヘリクツ」を一番いっているのは、小飼弾さんだと思う。
ヘリクツを言って、ほかの人から面白そうと思われるなんて、最高だ。
自分も昔はヘリクツの名手だった(つもりだ)が、「話が通じない人」と敬遠されるのが面倒でやめた。──そうか、世間では「話の通じない面白さ」が理解できないのか……。何でもかでも「ハイハイ」と言うイエスマンばかりを求める世の中は、いかがなものか。
高校生トリオ
平丸が描く『ラッコ 11 号』の内容を、シュージンは港浦に聞く。しばらく謎のままだったため、読者も気になるところだ。
- 港浦:
- 「う~ん 一言でいうと ラッコ人間が 屁理屈を言いながら 世直しをしていくって 感じかな」
- 新妻:
- 「あらゆる岩石に 変化する両手を 武器にして 殴りまくるって 言ってました」
──何じゃそりゃ~~~ !?
たしかに面白そうな設定ではある。たぶん、いちばん近いマンガは『ボボボーボ・ボーボボ』になるのだろう。シュールな作品になりそうである。
エイジと港浦の言葉から、平丸は連載に対して不安を抱いていることが分かった。かなり意外だ。まったく余裕で連載になったような印象だったが、平丸なりの苦悩があるのか。
港浦によれば、連載が始まってしまえば 大抵は何とかなる
そうだ。平丸も、持ち前の能力の高さを生かして、人気作家になるのだろう。
ところで、その「何とか」ならなかった作品が、最近あったような……。
──『チャゲチャ』のことかーーーーーーーっ!!!!
待ってました プーさん
相田は、一部の編集部仲間から「プーさん
」と呼ばれているようだ。ほかにも「(野球の)キャッチャ」「ドラム」「ダンプ」といったニックネームが付いている、と想像した。
人よりも何倍も空気を読める男・シュージンは、乾杯のシャンパンを未成年だからと断わらず、飲むフリをする。その後ろで──エイジは !? いや、これは「シャンパングラスに注がれたジュースを飲んでいる」はずだ。
『銀魂』の土方十四郎が、「学生服で煙草を吸っているように見える」という PTA からのクレーム(言いがかり)を受けた、という話を思い出した(うろ覚え)。
マシリト
「取締役の鳥嶋氏」というギャグのような役職と名前だが、現実世界のご本人そのものである。
鳥嶋取締役(ややこしい)は、「Dr. マシリト」のモデルとして知っている読者が多いはずだ。
『バクマン。』の作中に出てくる架空のマンガ・『超ヒーロー伝説』にも「取締マン(とりしまん)」という彼に似せたキャラクタが出てくるらしい。
──偶然にも、『ラッキーマン』に同じような名前の「トリシマン」が登場する。これは、たまたまだろう。
取締マンは、ひょっとするとガモu ──大場つぐみ先生の描き下ろしかもしれない。『バクマン。』のコミックスに大場さんの描くネームが載っている。その絵柄と取締マンが、よく似ているのだ。
──言いたいことをハッキリと言わないのは、面倒だな!
細かい話だが、鳥嶋の言葉には、週刊少年誌の王者であるジャンプらしい自信が見える。気が付いただろうか?
ジャンプの(おそらく)発行部数が「前年比を下回ることなく──
」と鳥嶋は語り出している。──思い出して欲しい。この新年会は、未来のできごとだ。2011 年(2010 年?)の新年会のはずである。
将来にわたってジャンプは売れ続ける、という確信から描かれた場面なのだ。そして、その通りになる、と自分も思っている。
乾杯
『チーズおかき』の作者である新井先生は、どこかで見たような人だ。誰だっけ……? こんなマンガ家さんかキャラが、昔いたような気がする。
そして──『いぬまるだしっ』の大石先生、出ちゃった! だいたいの予想通り、全身は描かれなかったが、お決まりの「マンガは面白ければ いい
」というセリフも言えたし、ご本人も満足だろう。
『疑探偵 TRAP』の連載が続けば、来年も新年会に亜城木たちは来られる。今回よりも、ジャンプの作家を描く描写が増えるかもしれない。小畑健さんが描く久保帯人先生あたりを見てみたいものだ。
食え! 食え!
マンガ家との挨拶回りを終えたシュージンの感想が面白い。サイコーみたいに「オーラがある」という言い方ではなく、「みんなギラギラしてた
」と言うのだ。
シュージンの言葉を受けた港浦のフォローがスゴい。なかなかこの状況で「気のせいだ! 皆 普通の人
」とは言えないだろう。しかし、港浦の言う通りだ。芸能人だって普段は素の表情で歩いている(一部のぞく)。歴史上の偉人たちも、普通の顔を持っていたはずである。
それとは逆に、真城と高木は人気作家になれば、オーラが出てくるはずだ。普通だったら「君たちもすぐに ああなれるよ」などと気休めを言うところだが、そうならないのが港浦らしい。
イベントらしくカードを持ってトランプマンが登場──と思ったら服部か!(わざとらしすぎる)
服部も亜城木に向ける言葉が適当だ。もちろん、テキトー(無責任)ではなく、的確という意味である。フンイキに飲まれた二人に合わせていては、話が進まない。
こうして見ると、サイコーとシュージンは、本当に普通の高校生に見えてくる。新妻エイジや平丸一也といった天才たちと比べるほうが悪いのだろうか。
十年以上も前から、自分の心の中に深く刻み込まれている言葉を、ここで紹介しよう。
状況としては、(岸部露伴に似た)女性マンガ家の異常な言動(「ジャングルジムさんと 焼きプリンさんと 3 人でパーティするの
」)という場面である。
マンガ家のほとんどが、このように なにかがブチ切れている状態なのです(本当)。
『速攻生徒会 1 (1) (アフタヌーンKC) (コミック)』 p.33(自分が所有する 1995 年の初版とはページ数が異なる可能性あり)
──たぶん、それは、真実なのだろう。