『バクマン。』 46 ページ 「目力と協力」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 34 号)
今週号のラストは、まさに衝撃的という終わり方です。
メタな見方をすると、(現実世界の)編集部のチェックに よく通ったな、と思いました。実際には、あってはならないことなのでは……。あの場所に編集者の港浦がいる、というのが一番マズい。
スポーツや格闘のマンガでは、主人公が体の負傷をガマンして戦う──という展開が美談として描かれます。それはそれで、話として美しい。
ただ、それを『バクマン。』に当てはめると──いろいろと問題があります。おそらく、「問題」として描いたのでしょう。読者が、そして集英社のジャンプ編集部とマンガ作家さんが、どう受け止めるか──。
■樫: 「ドラクエおもすれー!!」
──ん? なにか幻聴が……。
真城くんを 止めて
病気なのにムリをして、サイコーは執筆を続けています。亜豆とシュージンは、見守るしかない……。
サイコーのムチャを止められない理由として、シュージンは男だから
と説明しました。これは、人の気持ちをよく理解できて、説明が上手なシュージンにしては、ちょっとアイマイな答えですね。
そして、この答えのことを突っ込まれるとは、彼も読者も予想できなかった……。
原稿隠せ
前回の感想で書いた「シュージンの空間移動能力」に続いて、サイコーは「時間圧縮能力」を持っているようです。
18 話のペン入れは 終わり
とのことですが──。倒れる前の状態では、まだ 2 ページ分のペン入れが残っていたはず。雄二郎の電話を聞いて、港浦が来るまでに何時間も かかったのでしょうか?
いや、その前に、母親が帰ってエイジが到着した時点で、サイコーはカラーの原稿に とりかかっています。つまり、エイジが来るまでにモノクロ原稿のペン入れが終わっている……。
うーん、何かこのあたり、描写にミスがあるような気もします。コミックで説明が加筆される、と思いますね。
(答え: サイコーは 1 ページを 10 分間でペン入れできるのだ……!)
港浦としては、できる限りサイコーにマンガを描かせてあげたいようです。しかし、「サイコーのため」というよりも、ジャンプのため──自分の出世のために原稿を落とさせたくない、という感じにも見えますね。ちょっと現金なところを感じます。
ただ、自分が港浦の立場でも止められなかったと思いますね。ここまで がんばっている姿を見たら、なんとかなるのでは──と応援したくなります。それがサイコーの健康を害するとしても……。
ナース コールを
とつぜん苦しみ出すサイコーを見て、容体が急変したのかと思いました。ところが、ときどき苦痛を感じることは、医者からも聞かされていたのです。
──そんな状態で、原稿を仕上げようとしていたのか……。
サイコーのプロ根性には、驚くばかりです。ところが、もっとビックリしたのは亜豆の行動でした。
持ってこないで
一番止めたがっていた亜豆が、サイコーの作業を手伝う──。
この場面は──どうなんでしょうね。たしかに、直前にシュージンが言っていたことよりも、亜豆の言葉のほうが正論です。男だから
というセリフもウソに感じてしまう。
それでも、すこしは休んでから、締め切りに間に合うように原稿を仕上げても、よかったと思います。
ひょっとしたらサイコーも、「大丈夫……ちょっと休めば」と言いかけていた、のだったりして。