銀残し
「銀残し」をご存じでしょうか? 映画や写真のフィルムを現像する手法のひとつです。「ブリーチ・バイパス」「ブリーチ・スキップ」とも呼ばれているようですね。
原理や理屈は ともかく銀残しを使うと、
「写真・映像の暗い部分が強調され、コントラストが上がり、画が引き締まる」
──という効果があります。
『セブン
今回は、この銀残しを Photoshop で再現する手順をご案内します。
Photoshop での手順(オーバーレイ編)
「Photoshop でブリーチ・バイパス」というと、有料・無料のプラグインがいくつか見つかります。しかし、標準の機能でも十分に銀残しの効果が得られますよ。そして自分の好みどおりに調整ができる。
まずは、英語で書かれた下のページをご覧ください。記事の上下に「変更前」「変更後」の例が載っています。
Take Out Photo: Bleach Bypass Photoshop Tutorial
自分の つたない英語力で解説すると、下の手順になりました。
- 「背景」レイヤを複製する(「レイヤー 1」)
- 「レイヤー 1」を「オーバーレイ」モードへ変更
- 「レイヤー 1」の上に「色相・彩度」調整レイヤを作成
- RGB 全体の「彩度」を下げる
- 「クリッピングマスク」と「レイヤーマスク」は不要!
- 「色相・彩度」の上へ「レベル補正」調整レイヤを作成
- シャドウを強め・ハイライトを弱めに中央へ寄せる
- 中間部分を左に寄せて明るくする
- おまけ: 「レベル補正」の上に「トーンカーブ」を作成
- 少しだけカーブをS 字へ変更してコントラストを強める
調整の値は、リンク先の画像に書いてあります。
自分は最初、各調整レイヤに「クリッピングマスク」(直下のレイヤのみに効果あり)を適用するのかと勘違いしていました。この方法では不要なんですね。
──ただ、すべての調整レイヤにクリッピングマスクを適用すると、これはこれで面白い画像になりました。黒は強調されるけど、彩度は極端には落ちない感じ。こちらのほうが向いている写真もあるでしょう。いろいろ試すと面白いです。
もうひとつの方法(ソフトライト編)
銀残しの方法は、ほかにもあります。下の方法がシンプルで良いですね。
Framed and Exposed: Taking Action | CreativePro.com
- 「背景」レイヤを複製(「レイヤー 1」)
- 「レイヤー 1」の彩度を -100 へ減らす(モノクロへ)
- 「レイヤー 1」を「ソフトライト」モードへ変更する
- 「レイヤー 1」の上へ「色相・彩度」レイヤを作成
- 彩度を -40 くらいに設定
- 「背景」の上へ「レベル補正」調整レイヤを作成
- 例の値は「31, 1.31, 198」
- もちろん、画像によって値を変更する
「レイヤー 1」の描画モードを「オーバーレイ」や「ハードライト」にしたり、彩度を すこし残したりすると、また違った印象になりますよ。
アナログ手法の良さ
『ターミネーター 4』も独特なトーンの映像になっています。しかし、こちらは通常の銀残しとは、すこし違うようですね。撮影前のフィルム自体に加工しているとのこと。
これからは、古きよき時代のアナログ的な手法を使っても、「デジタルで処理した」と思われる……。
たとえば、「劇場版エヴァンゲリオン・Air / まごころを君に」でシンジくんの顔が「水の波紋で揺れる」ような場面があります。あれも「見事なデジタル映像だ!」と評されたようですが──。
じつは、「たらい(?)に水を張って、そこへセル画を浮かべて撮った」と聞きました。なんでもデジタルで作るのが正解、ではないワケですね。
今回の銀残し にしても、アナログ手法で作られた写真が、Flickr の「Bleach Bypass」グループから見られます。やはり、デジタルとは ひと味違いますね。
フィルムに対して銀残しで現像をした効果は、下のページが分かりやすいです。
新しい映像表現 ネガ銀残し – フィルム関連のお知らせ – フィルム – 株式会社IMAGICAウェスト
余談: オーバーレイは便利
自分はレイヤモードの「オーバーレイ」が大好きです。皆さんにも活用してほしい!
「背景」レイヤを複製して、オーバーレイへ変更、不透明度を下げる。──たったこれだけで、画像が引き締まるのです。単純に「コントラスト」を上げるよりも面白い!