『HUNTER×HUNTER』 #376「決意」 感想
「オカマ・キャラ = 強者」はバトル・マンガの鉄則です!
まっ先に思い浮かぶオネエと言えば、『ONE PIECE』のボン・クレーと『銀魂』の西郷 特盛ですね! どちらも信念の人です。
しかし、「性的少数者 = 世間の声に逆らって生きている = だから強い」という流れも、そろそろ古い考えになるかもしれませんね。彼ら・彼女らも、ごく普通に同じ社会で暮らす仲間の一人です。
近い将来、「さらわれて虐待されていたヒロインの男の娘を救出する」といった場面も増えるでしょう。ここで重要なことは、「ギャグ」としてではなく、「ヒロインのバリエーション」として描かれることです。
(そう書きながらも、性の趣向を人物造形に絡めることは、すくなくとも少年マンガでは難しいだろう。『ゆらぎ荘の幽奈さん』の冬空 コガラシが「ちょっぴり──いや、かなり変わった性癖の持ち主」だったら、「週刊少年ジャンプ」では載せられないよ!)
講釈の講釈
とにかく、ベレレインテの「ツワモノ感」がハンパない!
前回、念能力で作られた異空間から、ベレレインテは単身で出て行きました。〈念獣〉の能力次第では、死ぬ──よりも耐えがたい苦痛を味わった可能性がありました。どんな目に会うか分からない状態で、あの思い切りは賞賛し尽くせません。
そして今回、「クラピカ大先生の念能力講座」にベレレインテはサラッと出席しています。何人も犠牲者が出ている この部屋で、じつに堂々と立ち振る舞っている。
さらに、犯人を挑発──というか気にしていないような発言をベレレインテは しています。犯人に目を付けられようが構わない。逆に捕まえて手柄を上げたいような意思も感じました。
メタな視点で見ると、どう考えても「犯人逮捕」はクラピカの役目でしょう。
しかし、その際には「ベレ様が多大な協力が必要不可欠だった」と なりそう。
いまだにベレレインテの実力は未知数です。それでも、現時点では、新規キャラの中では一番の実力派に感じました。
──という登場人物に限って……?
姉妹を隔てる壁
やっぱり、カチョウもフウゲツも良い子でした!(当然)
この血のニオイが漂う船内で、姉妹の周りだけは花が咲いているかのよう。──と急にポエムを刻みたくなるくらいに。
センリツと秘密の やり取りをするカチョウの場面は、まるでNHKアニメを見ているようでした。並の成人では聞き取れないモスキート音で信号を送る、という発想も子どもらしくて微笑ましい。
フウゲツの言動も和みます。
自分の「魔法」をなんとか姉妹のために役立てようとしています(どちらが姉だっけ?)。
なんとなく、以前からフウゲツは、すぐに「自己犠牲の精神」を持ち出しそうな性格に見えました。
ところが、今回のモノローグで、カーちんと2人で
脱出することを考えています。これには安心しました。
それだけに──どうしても、二人とも「死亡フラグ」を順調に立てているようにしか思えない……。
馬の意のまま
テータちゃん、生きていました!
ただ、テータの顔に出来た傷が気になります! 「『傷物に された』から王子が責任を取るべき」──とかではなく!
テータの読み通り、この傷が王子の 守護霊獣の 必要条件
だとすると、「生きていた方が地獄だった」という展開が十分に あり得そう……。
ツェリードニヒ王子が操作系の能力者について話した内容は、今後の伏線かもしれません。つまり、ツェリードニヒの守護霊獣は、傷を負わせた相手を操作できるのでは?
それほど単純な話ではなくとも、この王子の霊獣だから、ろくな目に会わないでしょう。
さらには、ツェリードニヒの念能力は不明です。もしかしたら、キメラ・アントの護衛軍や、王・メルエムすら超える才能の持ち主という可能性もある。
少なくとも、第4王子の性格からして、「人々の役に立って みんなを幸せにする能力」ではないはず。おそらく、王子ひとりが喜ぶような能力でしょう。
おわりに
チョウライに憑いている守護霊獣の能力が謎でした。
霊獣の説明には、具体的なことが何も書かれていません。まさに何もわからんのと 同義だな
という王子の台詞どおりの状況です。
これ、作者自身も まだ何一つ決めていないのでは……? ついでにツェリ様の能力も未定だったりして。