『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 25 巻 「ステルス・ボディガード」
表紙に描かれた透明感のある椿は、本編を読むと別の意味あいが見えてきます。この作品らしく仕掛けのあるイラストですね。
戦闘ポーズのキリにも、「そんなマンガじゃねェから!」と言いたくなるけれど、今回ばかりは特別だった。
前半に引き続き後半も、「おじいちゃん! コミュニケーションなら去年 食べたでしょ!」な人たちばかりが出てきます。とくに教育実習生の話は、連載時には好きではなかった。
ところが単行本で再読すると、じつに『スケダン』らしさが濃縮されている。教育実習生も好きになり、また登場して欲しいです。やっぱり、楽しいマンガだなー。
Reviewer: あじもす @asiamoth,
第 221 話 「Stoic Student Teacher 前編」
またしてもコミュケーションしにくい人物の登場です。
教育実習生の佐藤雅之(さとう まさゆき)は、今回の話だけでは真面目と言うよりも、たんに人間味のない人物に見える。『スケダン』に笑わないキャラなんて!
ヒント: スイッチ・八木ちゃん
「セルフ ライナー ノーツ」によると、篠原健太先生は教育実習生に対して思い出が多いそうです。自分は まったく覚えていません。そもそも教師すら覚えている人は数人くらいです。それが作家の目との違いかな?
佐藤は、「『スケダン』に普通の人物を出したら どうなるんだ?」という狙いも あったように思う。全員が奇妙な人物ばかりでは、印象が浅くなる。
ただし、担任のチュウさんを初めとして理事長や校長もアレな人ばかりだから忘れがちですが、開盟学園にも頭の固い──というか普通の教師がいます。だからボッスンたちも、普通の高校生として振る舞う状況は多いはず。
年上の教育実習生に女子が群がる姿も自然です。でも、ロマンまで便乗しているのは驚いた!
『走れメロス』の感想を言う場面が楽しかった。
西部劇の映画に「武士の情け」という字幕を付けたことも あったから(ソースは asiamoth 脳内)、武光振蔵がメロスに侍の心を感じても問題は ありません。なによりも作者は日本人の太宰治だし。
しかし、結城澪呼が指摘しているように、メロスは褒められた人間ではないと思う。真に称賛するべきはセリヌンティウスです。『友だちが待っとるんやから早よ走れやメロスさんよぉ!』が正しいタイトルでしょう。
それとは別に、小田倉拓夫の感想は なかなか鋭い。これまた新しいメロス感と言えます。あらゆる場面で「リア充か否か」「萌えか どうか」を見極める彼だけはある。
『新釈 走れメロス 他四篇』で森見登美彦先生が新しいメロス像を描いています。こちらも ぜひお読みくださいね!
『新釈 走れメロス』 森見登美彦 – 男の友情とは「ちょっと手加減」 | 亜細亜ノ蛾
エニー(大門明智)椿佐介との合わせ技は、アンソニーが微妙にメロスっぽいところと、「なんで椿がアンソニー人形を持っていたんだ?」というコンボで笑えました!
これでも無表情の佐藤は、ちょっと異常です。生徒たちも好きになれないでしょう。──と思わせて引っ繰り返す展開が見事でしたね。
第 222 話 「Stoic Student Teacher 後編」
この作品の登場人物たちは、ほぼ全員のキャラが固まってきました。今回のように将来の話が出てくると、「将来も このままで生きていけるのか──」なんて不安になる人物が大半です。
安形惣司郎たちのように卒業後は描かれないだろうし、基本的にはギャグマンガだから、そこまで心配しても仕方がないけれど──。
落語家は お客さんを笑わせるけれど、自分は笑わない。ヘラヘラと自分の話で笑う落語家は三流です。
そういう意味では、教師の顔も落語家の顔も、真面目な佐藤にはピッタリと合っている。その両方の顔を生かした授業は、佐藤にとって最高の舞台でした。さすがボッスン!
『走れメロス』という よく知った話とは言えども、即興で落語を作るのは かなりの腕前が必要です。普段から佐藤が落語の腕を磨いている証拠ですね。その努力は、教師生活にも生きてくるはずです。
佐藤は元々 ユーモアが好き
と知ったから、ボッスンは笑わせようとする。その見せ方が好印象でした。そうではなく、無理やりに「3-C 色に染める」つもりだったら、たんなる授業の妨害ですからね。
最後のオチも洒落ていて良い話でした。佐藤は良い教師になれそうです。もう一度見てみたい登場人物が、また一人増えました。
「真面目ってのは すげえ武器だな
」というボッスンの言葉が今回の主題です。今回の話を描くに当たって、作者は描く題材を決めてから落語について勉強しました。これも真面目だから なせる技ですね。
「部室トーク」で読者から質問があったように、以前にいた生徒会長と佐藤はソックリです。いっそのこと伏線にしたら おもしろかったですね。
しかし、佐藤の年齢など いろいろと整合性が保てません。第 218 話の回想で、その生徒会長にボッスンは会っているし。
第 223 話 「恋愛ゲストロイヤー」
「ジャンプ」に掲載されたときは、見開きのカラー・ページでした。本編とは まったく関係がない絵柄がよいですね!
最初に胸──もといヒメコに目が行って、それからカメラ目線のスイッチに気がつくという構図も素晴らしい! モモカが もうすこし大きかったら良かったな。胸が──じゃなくて絵的に(げすげす)。
チェリーこと佐倉実は、外見だけは かわいらしいから、今回の「名無し少女」以外にも隠れファンは多いはず。今後も「告白→爆発」は増えるでしょうね。
そしてスカート──もといページをめくって(ゲスゲス)、「ドーン」が最高に笑えました! なんで そのまま言うねん! チェリー的には、「ヒメコ先輩に淫らな言葉を言わせたでげす!」と喜んだに違いない。
開盟学園では性犯罪が多い──と ことあるごとに書き続けてきました。だって、事実なんだもん。この巻の最後にもサラッと出てきます。
- 『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 18 巻 感想・1 | 亜細亜ノ蛾
- 『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 20 巻 感想・2 | 亜細亜ノ蛾
- 『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 22 巻 感想・1 | 亜細亜ノ蛾
篠原先生の師匠である空知英秋先生が描く『銀魂』の舞台・かぶき町よりも物騒な高校なんて、よく考えると すごいぞ!
そんな「それなんてエ■ゲ?」な世界のなかで、女子には直接触れないことをモットーにしているチェリーは、ボッスン並に安全と言えます。「女性に対して失礼なことをよく言う」という点では、2 人とも同じだし。
そう考えると、名も無き女子が初めて(?)付き合う相手として、チェリーは うってつけだったと思います。──あ、『チェリーは☆うってつけ』という題名で、ロマンならマンガ一本書けそう!
「可愛い女の子にこそ ぶち込んでいけ
」がチェリーの口癖です。これって最近の若者言葉なんでしょうかね? (質問口調だけど、いつものように聞く気も調べる気も ないので注意!)
「水も滴る良い男」や「濡れ場」・「あげまん」と同じように、遠回しなようで直接的な表現にしか思えない──のは私だけ?(知恵袋)
一方、今週の『銀魂』は「セ■レ」って言ってた。
名も無き子に ぶち込んでいったチェリーを見て、「じつは女子のほうが数段上手のゲスラーだった」というオチを期待したけれど、『SKET DANCE』の品格的に無理だったか(?)。
『To LOVEる』以降、「ソッチの方面」に積極的な女子が「ジャンプ」の誌面に あまり載りません。自分の好きな『銀魂』の さっちゃん(猿飛あやめ)も出番が少ない。だから──、
『恋染紅葉』の七里由比には大いに期待しています!
でも、そこは『スケダン』が貫禄を見せて、ほかのラブコメ作家が「勘弁してください!」と泣いて土下座をするような「ごくり……」をぶちかまして欲しい。
「修学旅行編」を描いた先生なら できるはずです!
『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 15 巻 感想・2 | 亜細亜ノ蛾
第 224 話 「義父の一番長い日」
2 コマ マンガでサクサク進む告白→婚約が楽しい。
すべての恋愛マンガが この調子だったら、コミックス 1 冊分で先祖代々 10 代分くらいの家族が描けるから、今の時代に合ったエコかもしれません。──売れないだろうけれど。
美空レミは、要所要所ではキチンと会話ができます。「負けず劣らず ひどいドジ
」という言い方からしても、レミにはドジっ子(てへぺろ☆)の自覚がある。
だから、「娘の結婚に反対する父親」も普通に聞こえたし、両親のドジっぷりも想像が付く範囲──を余裕で超えていた……だと……!?。
プライベートの場で「お嬢さんをボクに 下さい
」しに行く時に教師が生徒を連れて行く──という異常さが気にならないほど、美空家のドジ臭
は突き抜けています。
言ってしまえば「ツッコミ役」として付いてきたはずのボッスンは、ボケ倒されて何も できません。いつも以上に存在感の薄い主人公でしたね。
それにしても、レミの父親は日常生活に支障が出るくらいのドジで、これでは仕事が勤まらないでしょう。ただ、これは極度に緊張した結果──と見ておこうかな。普段はもうすこしマシ──だと思いたい。
チュウさんと「中三
」の くだりは、笑った後に「なるほど!」とヒザをたたきました。これはレミの父じゃなくても聞き間違えるかも(「れみのちち」も変換し間違えそうになったでげす)。
ところどころでレミが良い顔をしています。チュウさんの男らしい表情を見てドキッとしたり、キレまくっているチュウさんに焦ったり、レミの魅力が十分に出ている話でしたね。
チュウさんの娘であるスズ(錫)とレミの弟・慎が やってきて、丸く収まりました。美空家で慎だけが正常なのは不思議ですが、父親から遠ざかるほどマトモに なるのかな。
家族として長く一緒にいれば、ケンカすることもある。最初から腹の中を見せ合って騒いだから、もう今後は もう仲良くなりやすいですね。
墓参りの場面は、『銀魂』の銀時と お登勢が会話する光景を思わせてニヤリとしました。もちろん ただのマネではなく、中馬・レミ・スズの特徴を出しながら、独自の場面に昇華されている。
どうやらチュウさんの元妻は、亡くなっていたようですね。最初は中馬の両親などの墓かと思ったけれど、それだと「二人分幸せにして もらいますから
」が成り立たない。
チュウさんは今後、レミとスズと、あと一人や二人は幸せにするでしょうね!
第 225 話 「ステルス・ボディガード」
『家庭教師ヒットマンREBORN!』の沢田綱吉と獄寺隼人の関係が好きでした。
最近では力関係が逆転しているけれど、以前は強い獄寺のほうが弱いツナを慕っていたのです(「死ぬ気の炎」は置いておいて)。絶対的な存在としてツナを見る獄寺には、「フ裕層」じゃなくても興味深いものを感じていました。
沢田の「ダメツナ」な部分を知った上で、それでもツナの右腕として働けることを獄寺は喜んでいる。そこが素晴らしい! たんなる神聖視とは一線を画する姿勢は、自分も含めて いろんな人に見習って欲しい(萌え豚とか)。
キリも、椿のことを「実はけっこう ボーッとしてます!
」と熟知した上で、それでも一所懸命に守っている。どちらかと言うと、幼い殿様を見守る忍者のような心境なのでしょう。
また、からかう女子の存在からすると、2 人の力関係をほかの生徒も気がついているみたいですね。──というか、この廊下ですれ違った女子は、「フ」的にグッと来たのかも。
ふと思ったけれど──、「ツナ・獄寺」や「椿・キリ」の関係を男女に入れ替えれば、即座にラブコメで生かせます。「かわいらしい年下のボディ・ガード」は、いくらでも楽しい話が作れそう。
「この街にはギャングがいる」という冗談のような設定を、一話限りで使い捨てずに出してきたところが見事です! 『リボーン』といい『ニセコイ』といい、「ジャンプ」マンガにはギャングが多いなー。
キリの妄想めいた「敵の脅威
」が実現して、本当に椿が襲われる場面は、ギャグじゃなければ悲劇で終わるところです。武光振蔵のように「なんちゃって侍」じゃなくて、キリが『NARUTO』に出演しても生き延びられそうな実力の忍者で良かった!
そう言えば、椿の名前はサスケェ! だし。
番外編 「ダイソウサク・タイソウフク」
またもや女子を狙った犯罪ネタですよ!
矢島勲
なんて わざわざ名前を与えられている上にイケメンだが、なんて盗人猛々しいのか! (「とうにんもうもうしい」──ではない)。
ヤバ沢さんじゃなくてスケット団が見つけたとしても、同じ展開になるはずことは丸わかりなのに、どうして矢島は依頼しに来たのだろう? いろんな部分が悪い男のようです。
今回は たまたま拾い物をしただけなのに、スイッチやボッスンから「ブヒる
」とかヒドい言われようのヤバ沢さんが、被害者の高橋キャプテンよりも かわいそうでしたね。
意外とエロネタで白熱するボッスンや、許容範囲を超えて爆発するヒメコが おもしろい! ピュアさでは「坊スン」よりもヒメコのほうが上です。できれば、いつまでも そのままでいて欲しい──。