北村拓司一覧

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ – 黄と黒との恋物語

『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ - チェーンソー男
(さようなら──また会う明日まで)

最高に面白かった! 邦画の中では、一番楽しめたかもしれません。──そう、タイトルはバリバリの英語ですが、日本人の・日本人による・日本人のための映画でした。

ジャンルで言うと、「青春ドラマ」になるでしょうか。高校生が主役で、「普通の学校生活」が描かれている。──ただし、昼間だけ……。

主人公の男の子が他校の女子生徒と「イイ感じ」になったり、若者の将来を心配する先生との会話が出てきたり、部活動の風景が出てきたりします。

なんだか、「甘酸っぱいあのころ」を懐かしく思いました。自分には、あまり縁のなかった世界のはずなのに……。

感動的な青春ムービーでした。まる。

──って、そんな映画じゃねェから!

物語の主軸になっているのは、ヒロインである雪崎絵理(ゆきざき えり)の戦いです。関めぐみさんが演じる絵理は、なぜか夜になるたびに──チェーンソー男新上博巳)と戦っている。

チェーンソーを振り回す男と、女子高生が戦っている場面に、たまたま出くわしたのが──、主人公の山本陽介(市原隼人)です。「巻き込まれ系」の物語ですね。

いちおうは主人公なのに、山本は──絵に書いたようなヘタレ男です! このヘタレ具合は、一見の価値がある。でも、「イマドキの若者」をよく表しています。誰にも刃向かわず、あきらめて、ダラダラして時間と命を溶かしている。

そんな若者に対して檄を飛ばすのが──、板尾創路さんなんですよ!

画面に映っているだけで「妙なフンイキ」をかもし出す板尾さんですが、本作品では意外にも、感動的な演技を見せてくれました。彼の演じる加藤先生には、素晴らしいセリフが多い。この感想の後半に引用しているのでご覧くださいね。

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ - 加藤先生の説教

アクションあり・笑いあり・感動ありのぜいたくな映画です。最近の日本映画にありがちな「安易なラブ・シーン」や「ホラー(スプラッタ)要素」を入れなかったことも勝因で、家族や恋人と安心して観られますよ!

最後のほうに、「自分が考えたチェーンソー男の正体」も書いたので、ぜひとも読んで苦笑してください。

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