『バクマン。』 15 ページ 「送信と返信」 (週刊少年ジャンプ 2008 年 52 号)
シュージンがいつも身につけているヘッドホンに、珍しく型番が書いてあった。「SONY MDR-XD100」らしい。
意外とチープなモデルなので驚いたが──よく考えると、シュージン(の家)は裕福ではないのだった。今週号では原稿料の話も出てくるので、そこに つながっているのかもしれない。
対象的に、光熱費込みで仕事場を与えられるくらい、サイコーは裕福だ。シュージンが言う「血」も持っている。そして、なによりサイコーがマンガ家を目指す理由は「好きなコと結婚するため」なのだ。──なんか、腹が立ってきた……。がんばれ、シュージン!
無視
見吉の尻に敷かれているシュージンに笑った。前にも書いたが、サイコーに対しては積極的で行動力のある姿を見せるシュージンなのに、カヤの前では おとなしくなるのが面白い。『美味しんぼ (43)』に「男は女の言うことを聞いておくべき」という話が出てくる。この上ない真理だ。
一言
好きなコからメールアドレスを教えてもらったのに連絡しない、なんて自分には考えられない。ここだけを見ると、サイコーは亜豆のことをそれほど思っていないのか、と感じてしまう。
実際には、亜豆に対するサイコーの愛情は十分ある。マンガ作家としてのデビューまでは会わない──という約束のために、メールをする間も惜しんでマンガを描いているのだ。──とはいえ、メールするヒマもない、というのは大げさな気がする。気分転換くらいはする時間があるだろう。だが、メールの返事が気になって原稿に集中できない、ということを考えたのかも。
シュージンと見吉が揃ってサイコーを冷やかす場面が笑える。本当にお似合いのバカップルになってきた。
メールできない
亜豆にメールを送っていない理由を語るサイコーの「ちゃんとしたメールをしたい
」というセリフは面白い。気持ちは分かる。自分も、好きなコに送る初めてのメールは緊張した。
元ネタは見つからなかったが、「男は初めての相手にこだわるけど、女からすれば『初めて見たホームページ』みたいな感覚」という たとえ話を最近読んだ。納得である。この男女の違いは本能に基づく物だろうが、たしかに男は「初めての○○」を強く意識するようだ。けっきょく、あとから振り返れば何と言うこともないのだが。
それにしても、修羅場なので仕方がないとはいえ、見吉に対するサイコーの態度がいつも以上にぶっきらぼうだ。見ていてヒヤヒヤした。そうかと思えば、サイコーは見吉を基本 いい奴
と評価したりする。たしかにいいヤツだ。清楚・岩瀬とシュージンがくっついていたら、こうはならなかっただろう。
──いま思ったけど、岩瀬とエイジが付き合う、という驚愕の展開があったりして。
あと 2 日寝ないで
自分は「赤マル」をふだん買っていない、または ほとんどのマンガを読み流す。他のマンガ雑誌もそうだ。たまに面白いマンガを見つけても、一瞬「お」と思うだけで忘れてしまう。たいていのマンガ読者が同じだろう。
しかし、マンガ作品を描いている人たちは、今回のサイコーとシュージン並に魂を削っている(と信じたい)。読者である自分は、作品に込められた魂を拾って、なるべく多くの人に面白さを伝えたい。