バクマン。 #142-3 「新人とベテラン」 魔法の言葉とカタルシス

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『バクマン。』 142 ページ 「新人とベテラン」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 34 号)

Abracadabra
(日本語に訳すと──スキトキメキトキス

蒼樹と結婚したら、平丸は働かなくなる──と以前に吉田は予想していました。いまになって吉田のほうからプロポーズを勧めるのは、なぜでしょうね? 結婚後も平丸を「操縦」できるレベルに達したのかな。

そもそも、平丸にマンガを描かせようとするのは、蒼樹も同じです。とっとと 2 人をくっつけたほうが、吉田にとっても好都合なのかもしれない。吉田と蒼樹の尻に敷かれる平丸が目に浮かぶ──。

平丸一也は、どこまでも人に使われる運命なのでした。

でも、今度は蒼樹が、ダンナに稼がせるグータラ嫁になったりして。「嫁ぐ(とつぐ)」と「稼ぐ(かせぐ)」は字が似ているし……。

ユリタンとですかーっ !?

『僕には通じない』の主人公っぽい天使が かわいい。

そう言えば、この主人公キャラの「元になっている動物」は、いったい何なのでしょうかね? 「フ」向けに変わる前は、ラッコと大差がなかったけれど……。今度はコアラかな?


中井が恵梨子と つき合う──。普通に考えれば、あり得ない展開です。中井は まるで改心していないし、いまの容姿は むさ苦しすぎる。これで蒼樹先生より 少し美人と つき合えたら、竹槍で戦闘機が落とせる(8 月にふさわしい不謹慎ネタ)。

その前に、「エリタン」が存在するかどうか疑わしい。仮に実在したとして、恵梨子はマンガ家とは無関係なのでは? どうして吉田が中井に紹介できるのだろう。

──いや、彼なら上手に 2 人を出会わせるかも。

平丸が蒼樹と仲良くできているのは、間接的には吉田のおかげです。しかし、最終的には勇気を振り絞った平丸の力でした。

それなのに、吉田氏に 騙されていれば 間違いないと平丸に思わせている。吉田は、「ジャンプ」マンガには欠かせない幻術使いですね! この場面でも、「うしろに回り込んでいる」し。

今のところ考えられるオチは、「金に がめつくて夫をサイフとしか思っていない女性」みたいに、恵梨子が最悪の性格だった──パターンです。それなら、「未来の看板マンガ家」を取るかもしれない。

まったく違う展開で、「恵梨子のほうを平丸が好きになって──」という展開も面白そうです。冬の薄い本が厚くなるな──。

えっ 持ち込み !?

新井が持ち込みに来ました。戦力外を言い渡されたばかりなのに、何という堂々とした態度でしょうか──!

この新井なら、読み切りの原稿を見せたあとで、「連載用の原稿は 今の 五百倍や」とか言い出しそうな風格です。内田編集はゴンさんに似ているから、夢の「ゴン vs. ギン」ですよ!(?)

またいつもの 学園もの

新井が持ち込んだ『Tournament & School』は、『シンジツの教室』に似ているそうです。──ついでに言うと、タイトルの長さは『有意義な学園生活に必要なそれ』っぽい。

『シンジツ』の名前を聞いた時の反応からして、新井や東のウラにいる人物は、七峰透か・彼と関連する人物で間違いないでしょう。七峰も話を書けないから、やはり元・「判定人」が黒幕だと思います。

どうもこの展開だと──、やはり「原作者が良ければ面白いマンガが描ける」と思ってしまう。「作画担当者としてなら現役を続けられるマンガ家」は掃いて捨てるほどいそうだよなぁ……。

大昔に流行したマンガを新しく描き直した作品が、最近になって いくつか出てきました。自分には疑問です。懐古ブームも ほどほどにしないと、編集者と作家の解雇ブームにつながる。

それくらいなら、若手の原作者と往年のマンガ家を組ませたほうが、面白い作品になるのではないでしょうか。「プロとしてのプライドが許さない」という作家も多いとは思うけれど……。

(日本料理店で何十年も働いてきた板前に、「明日からメイド喫茶の厨房に行ってくれ」と言うような、ムチャな話ではある。小畑健さんのように、話も自分で考える立場から作画担当者への転身は、かんたんではないだろう)


これだけヒントがあって、新井のカゲに原作者がいる可能性を、まったく内田は考えていません。かなり不自然な気がする。読者からすれば見え見えの「替え玉 持ち込み」を、プロの編集者が見抜けないのは、いったい何故でしょうか?

それほど原作者の数が足りていないのかもしれませんね。そのため、まさか名前を出さずに原作を提供する人がいるなんて、想像すらできない。プロだからこその盲点です。

自分のようなシロートが「良い原作者をつければ面白いマンガになる」と思ったところで、編集者からすれば「将軍様 その原作者を びょうぶの中から出してください!」という気持ちでしょうね。

──このネタで思いついたけれど、『奇怪噺 花咲一休』の担当者も同じことを考えていたりして……。自分は好きだけどなぁ。

大ブームを起こす作品

『ぱんちらファイト』は、他の作品に 圧倒的な差を付けて 1 位という結果でした! ここまでは服部の予想どおりでしょうね。

でも、社会現象になる──のは どうだろうか。なってはダメな気がする。「完全犯罪を描いた作品だから」という理由で、作者の希望であるアニメにならないマンガを担当しつつ、パンチラ・マンガで天下を目指す──。

服部って、もしかして、たんなるエロ好き?

ところで、もしも東の持ち込みが ほんのすこし前の話だったら──、『ぱんちら』が『CROW』の終了を阻止していたのでは……。「あまりの悔しさにペンを折る新妻エイジ」というアナザ・ストーリィ(同人)が読みたい!


連載用の原稿も用意していて、しかも面白かった。服部からすれば、東は「ものすごく やる気がある新人」に見えたでしょうね。これまでは「亜城木夢叶の刺激剤」くらいに考えていた服部も、今後は東に肩入れしていきそう……。

ワン・アイディアの作風とはいえ、合計で 4 話分も面白い話を書けるのは、原作者として本物の実力です。七峰にしても「判定人」にしても、どうして表に出てこないのでしょうかね?

ネームなんですけど!

ほかの編集者たちも『ぱんちら』を支持する中で、キムだけが反対している。彼がここまで自分の意見を主張するなんて、初めてでは? よっぽど危機感を持った証拠です。

キムが言うように、若い作家に チャンスを与える べきという気持ちは よく分かる。「少年ジャンプ」ではと頭に付けると、余計に納得できます。東や新井が青年誌に行かなかった(黒幕が行かせなかった)理由は、何なのだろう。

そして、「今週号の巻頭カラーを飾った日本一巻数の多い作品」の作者は、このキムの言葉が どう聞こえただろう……。