『暗殺教室』 第 123 話 「誤作動の時間」
いよいよ期末試験の結果発表です!
──が、なんとも不吉な扉絵になっている。神妙な顔付きをした E 組の生徒たちは、足元のテスト用紙を見下ろしています。見るからに間違いだらけの解答用紙が踏みつけられている──。
はたして、その結果は!?
(ところで、この地方──三重県北中部では、テストで間違った回答に振られる印を「ペン」と呼ぶ。「ペンされたわー」などと言ったりする。ほかの地域では何と呼ばれるのだろう?)
努力の勝利
ついに E 組の完全勝利です!
とくに赤羽カルマの 1 位は快挙でした。初めて浅野 学秀に勝利して、しかも満点でテストを終えている。
カルマは天才ではなく、影で努力する秀才ですが、ようやく苦労が報われた感じです。
仲間の大切さを知り、敗北を味わった。
──カルマと学秀の大きな違いは、その 2 点でしょう。だから、「2 人の戦いは これからだ!」と ばかりに、いつまでも競い続けて欲しい。
ところが、そもそも赤羽と浅野では進学する先が違う(はずだ)し、なにより地球が存続するか不明です。さらには、理事長の暴走で E 組の存在すら──。
仮面の裏には
理事長は初めて誤作動でも起こしたような顔
を見せる。
息子が言う「父親らしい あんた
」の顔は、普段よりも何倍も非・人間的な表情で固まっています。他人から見れば冷酷非情そのものですね。
しかし理事長は、つねに完全な合理主義者であり、自分の感情も相手の心理も掌握してきました。その學峯が、学秀の前で「キレた」ことは初めてだったに違いない。
学秀にとっては、ある意味では うれしかったのかな。
──って、そんなノンキな展開じゃ無いですけどね!
この時点で殺せんせーを解雇したら、E 組の教育が できなくなり、地球を滅ぼしてしまう はずです! 理事長は、人類の滅亡よりも、自分の合理主義を貫き通すのか──。
一見すると狂気に走ったようにしか見えない理事長です。でも、じつは「殺せんせーは地球滅亡なんて狙っていない」と理事長が読みきった上での作戦かも。
彼女の栄光
中村 莉桜の成績がスゴい!
E 組の女子のトップで、全生徒の中でも 3 位です。努力の天才・カルマや支配者の直系・学秀との点差は開いていますが、それでも優秀な結果でした。
彼女は外見と性格から、「遊んでいる」印象が強い。しかし、いつも成績はトップ・クラスなんですよね。「女カルマ」と言われても不思議では無い(?)けれど、莉桜は悪口を言わない分だけ親しみやすそう。
こうして見ると、莉桜には弱点が ありませんね。
高校生になったら、さらに「完璧超人」な生徒会長に なりそう。『めだかボックス』的に女子が主役を張るマンガも不在だし、中村が主役のスピンオフはよ! (『E-ROBOT』は……?)
一方、潮田 渚とは差が付いています。
以前の中間試験あたりでは、テスト中なのに仲良くバトルするくらい、中村と潮田は近い存在(意味深)かと思っていました。でも、いつも莉桜は渚の上を行く。
莉桜に とって渚は、妹みたいな存在かな(え?)。
父と息子と少年マンガ
今週号の「ジャンプ」には、面白い偶然が あります。
「強大な父親に立ち向かう息子」というテーマが、『食戟のソーマ』でも語られました。
でも、これは偶然ではなく、「ジャンプ」マンガならではの必然と言える。とくにバトル・マンガは、そんな題材ばっかりだってばよ!
とくに『食戟のソーマ』には注目したい。
「絶対に勝てない父親に挑戦し続ける」──という内容は ほかの作品と同じなのに、幸平 創真は より一段と「なにを考えているのか分からない主人公」に徹している。しかも、ちゃんと理由を描いています。
「努力する(努力できる)のも才能だ」とは よく聞きますが、「なぜ努力し続けられるのか」を簡単に説明しきった少年マンガは、もしかしたら初めてかも しれません。ほかは、せいぜい「好きだから」と お茶を濁す程度でしょう。
新世代のサイコパス料理人とは新しすぎる!
創真と比べれば、学秀には まだ人間味が あります。
支配者の息子が、今後は「努力モンスタ」に成長できるのか、それとも仲間との馴れ合いで「勝利よりも大事なモノが(以下略)」とか言い出すのか、今は見守る時期でしょう。
どちらにしても、主人公キャラには ほど遠いな……。
おわりに
冒頭のテスト返却場面に注目です。
殺せんせーらしく目にも留まらぬ高速ワザ──は ともかく、「律」の前にも答案用紙が配られました。彼女はテストを受けていないから、これって「ニセ律」さんの答案ですよね?
いくら「律」が指導したとは言え、赤の他人のテスト結果を見せられた心境は、なんとも想像が難しい──。
ちなみに、テスト結果で示されたニセ律の名前は「自 律」でした。「自」が名字で「律」が名前かな? これが本名として通るのかと考えると、なんだかモヤモヤする──。
理事長は「替え玉試験だ!」と文句を言うべきでした。
題名は「弘法にも筆の誤り
」から借りました。
誰でも知っている──ようでいて、「に」が抜けて誤りやすい ことわざです。『紅の豚』の名言みたいに、間違ったまま覚えてしまう言葉の定番でしょう。