『バクマン。』 112 ページ 「パンチと一人立ち」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 01 号)
シュージンの得意なジャンルは、ミステリィや SF などの「エグイ話」でした。そのため、「亜城木夢叶は邪道な話しか描けない」と読者は思わされる。一番「ジャンプ」マンガらしい『走れ! 大発タント』が失敗したことも大きい。
『バクマン。』という話自体も、最初は「『ジャンプ』編集部の暴露マンガ」だと思った人も多いでしょう。自分も、すこし思った。
しかし、じつは第 1 話目から、『バクマン。』は「恋愛マンガ」していたのです。ストーリィの大筋も、そのまま「(自分の作品をアニメ化して)ヒロインと結婚する話」ですよね。
サイコーとシュージンが力を合わせて恋愛マンガを描き、アニメ化を狙う──という流れは、「1 ページ」の流れからすると、当然に思えます。ここまでの複雑な過程は、すべて作者の「計算通り」だったのか……!
どこまで 魅せられるか
亜城木夢叶の恋愛読み切りは、ようやく話が決まりました。あとは絵を描くだけです。原作を書くという不慣れな作業を続けてきたサイコーは、やっと自分の力が発揮できますね。
『バクマン。』を読むと、話ができるまでは絵を描けない──というマンガの常識をあらためて思い知ります。それに、どんなに絵が素晴らしくても、ストーリィが悪ければ面白くない。
マンガの読者が目で追っているのは「絵」なのに、心に残るのは「話」です。作画の担当者には悲しい事実ですけれど、それでも、読者の心を捕まえる絵をもっと見てみたい!
不公平ですもんね…
亜城木が 2 本目の連載を始めることを、服部は頭ごなしに否定するかと思いました。ところが、可能性は 0 … とも言い切れない
──とやや肯定的な態度ですね。
読み切りのネームもキッチリと描き上げて、あいかわらず『PCP』の調子も良い。あとはサイコーの作画スピードさえ上がれば、服部も文句を言う余地はないでしょうね。まぁ、この 2 人には何を言ってもムダだし……。
問題は、編集長が許可するかどうか──。
ネームの確認が終わった直後なのに、また描き直そうとする。どこまで向上心があるんだよ! という亜城木の 2 人です。
ここで心配なことは──、サイコーが絵を描く速度は、どれくらい上がったのでしょうかね? 読み切りにこれだけ時間をかけていても、『PCP』に支障がないくらいの早さなのは間違いないはず。
極端な話、将来は 2 本の連載を持つのであれば、その前に「仕事は週の半分で終わっている」状態が望ましい。だから現在、やや余裕があるのでしょうね。
亜城木夢叶の恋愛マンガも服部が担当するとしたら──、素晴らしい作品になるだろうけれど、服部の寝る時間が消失しそう。
あ、でも、サイコーは「ジャンプ」本誌だけではなく、「SQ.(スクエア)」での連載も視野に入れていましたよね。あの茨木編集長なら、こんなおいしい話を見逃すはずがない。「SQ.」の編集部・編集者が描かれるかもしれません。
ただ──、どう考えても、亜城木夢叶は「ジャンプ」での連載を目指すでしょう。アニメ化への近道だし、新妻エイジとの直接対決もできる。なにより『バクマン。』は、「ジャンプ」本誌のマンガです(これが一番大きい)。
「SQ.」と言えば、間界野昂次こと KOOGY はどうしているのかな……。いまだに『カラフジカル』を描いているとすると、音楽の活動はずっと休止中ということになる。
それとも彼は、マンガと音楽との「二足のわらじ」をはいているとか?(このことわざ、いつの時代まで伝わるんだろう?)
さらに妄想すると、蒼樹紅が「コージーさんと お付き合いさせていただいています」などと衝撃的な発言をすると、個人的には面白い。蒼樹には、自信たっぷりな男性が似合います。
福田と蒼樹とのカップル(古代語)も良いけれど、福田には「マンガ命(ラヴ)!」で生きて欲しい。
県下一の不良
その福田は、今日もアシスタントたちと仲良くお仕事です(どんな説明?)。アシスタントの 2 人はデフォルメされすぎて、もはや誰だか分からないけれど、かわいい。
面白いことに今回の読み切り祭りは、半数がサイコーとシュージンの影響を受けています。本人たちはもちろんとして、新妻エイジはサイコーの小豆拾い──もとい・小豆をさらう姿に感動し、岩瀬はシュージンに対抗心を燃やして参加した。
そして福田も、亜城木たちに挑戦するために読み切りを描きます。ここから先は偶然ですが、「ヒロインとの約束を守る主人公が、ヒロインの言葉で約束を破る」という展開は、サイコーと亜豆に似ている。
お嬢様も 鬼のように 強かった!
といった描写は、じつに「ジャンプ」らしい。言葉を選ばなければ、アリガチとも言えます。そこを福田がどうやって熱く描くか──。見どころです(原稿は見られないと思うケド)。
今回はまったく、亜城木──と言うかシュージンと蒼樹との接点がない。せっかくカヤとも仲が良くなったのに、高木夫婦と蒼樹との描写が少なくて残念です。「ライバルだから」という理由ではないはずなのに……。
活躍している場面は少ないですが、山久は本当に良い編集者です。最初はてっきり、下心があって蒼樹に近づいたのかと思っていました。しかし、彼は純粋に「蒼樹には面白いマンガを描いて欲しい」のですね。
以前の蒼樹から「生理的にムリ」と思われていたケド。
今回の蒼樹作品は、とうとう下着までは描かなくても人気が取れる──という評価を得ました。蒼樹も成長しているのですね。肉体的に──ではなく! マンガ家として。
または、この場面はさりげなく、「一度セクシィな路線を描いた作家は、ずっとエロのインフレ」という読者の期待に対する批判なのかも。
まぁ、エロを描いても、読者からの支持をまったく受けなかった──よりはマシだとは思う。大阪へ行ったり、ね(何の話?)。
エイジの恋愛読み切りには、不安しか感じません。
雄二郎を含めて、だれもエイジの読み切りを面白がっていない。今回のアフロも、どうなんだ これ?
と疑問に思っています。「面白い・面白くない」という軸ではなく、「分からない」という評価に感じる。
もしかして、「恋愛をする」という概念自体がエイジの創作で、他人には理解ができないとか? それならある意味「新しい」けれど……。単純にマリモ頭(誰?)は、「どこが面白いのか分からない」と思ったのでしょうかね。
なんですか この キャラデザイン!
八本木 八郎(本名……?)の絵柄は、かつての石沢とソックリです! ひょっとすると、やっぱり「八本木」は石沢のペンネームなのでは? 港浦だったら、コロッと簡単にだまされそうだし……。
「萌え絵」にありがちなバランスの悪い絵(顔の左右でパースが違う)を、小畑健さんの絵柄で見るのは、なかなか前衛的な試みです。『バクマン。』という作品自体が、小畑さんの挑戦ですけれど。
今週号の絵が全体的に荒れているのは、この巨乳中学生を描くための努力で、小畑さんが疲れたのに違いない!
ここで中♯さんの名前が出るとは……(なかしゃーぷって誰?)。これはもしかすると、φ井さんが復活のフラグか!? リンゴ作っている場合じゃねぇっ!
参考: メシ食ってる場合じゃねえっ! – 2ch全AAイラスト化計画
新妻エイジという一流のマンガ家に、初連載から作画を担当してもらった岩瀬は、かなり目が肥えています。その彼女から見ても、『hide out door』の絵は良いと思えるのでしょうね。
絵だけは、たしかな人だったな……(遠い目)。
ところで、「胸の大小」や「美人」というキーワードに岩瀬が食いついてくるのは分かるとして──、彼女と中丼さんとの接触を、港浦が避けたがるのはなぜでしょうか? ただたんに、作画担当を変えるのが面倒くさかったりして。
それとも──、女性トラブルが 原因
で「ジャンプ」を去った中++++ さんは、「集英社・ブラックリスト」に入っているのかもしれませんよ。『BB ケンイチ』の最後は、無断で休んだし。
やっぱり、さようなら、なかゐさん……。
連載ネーム 用意しとけって …… !?
ほかのマンガ家・マンガ家志望者が、どれほど雑誌での連載を熱望しているか──など知らずに、平丸はふざけたことを言っています。
その「蒼樹とのお茶会」と「休むこと」しか考えていない平丸は、吉田からも平丸くんならではの傑作だ
と絶賛された作品を描いている。
平丸の才能は、枯れることがない!
吉田氏に「操縦」されている平丸──という構図も、本当は平丸の演技が入っています。どうも最近の平丸は、この吉田との関係を楽しんでいるフシがある。『レベル E』に出てきたような、高度なプレイです!
冗談抜きで平丸は、吉田のためにマンガ家を続けているのが半分だと思う。なんだかんだ言って、吉田に褒められることが、平丸の喜びになっている。
平丸と吉田は、オトナの関係──ですね。
