『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 18 巻 「燃えろファルケン!」
今回のコミックスは、アニメ化を記念した表紙──ということもなく、むしろ絵画的でした。このあたりは、わりとアマノジャクな作者らしい表現です。
そう、『SKET DANCE』は、読者の期待を良い意味で裏切り続けている。「こうなるだろうな」を何度も外してきました。これからも、予測ができない道を歩み続けるでしょう。
たとえば、ボッスンとヒメコとの仲とか──。
第 158 話 「サビシンボーイ」
もじもじソワソワしたボッスンが面白い! 何が面白いかというと、けっして「オレのヒメコを取られた!」みたいなカレシ面や独占欲ではなく、先を越されたという置いてけぼり感
を味わっているところが笑えます。
本当にコドモですね、ボッスンは(だから良い!)。
あと 5 年はこのブログで引っ張っていくつもりの「修学旅行編」では、あんなこと(着替え・トイレ・お風呂・お布団)がありました。
それなのに、おそらく藤崎は、鬼塚のことを異性としては強く意識していません。ともに苦難を乗り越えた仲として──言うなれば、「もうひとりの家族」と思っているに違いない。ヒメコのほうが、お姉さんかな。
一方のヒメコは、もうギュンギュンに、ボッスンのことを意識しまくっているわけですよ。だから彼と 2 人で買い物するのは、ちょーたのしぃ。第三者から見ても、楽しすぎる。
「意外と」を頭につけなくても良いくらいに、ヒメコは女性らしい。その彼女が、うれしそうにデパートを歩き回る姿は、輝いて見えました。
ボッスンの暗い表情が、明るいヒメコの引き立て役になって──いないか……。普段は素直な彼が、珍しく(髪の毛のように)ひねくれた態度をしているのは、見ていて痛々しい。
あきらかに花柄のハンカチを手裏剣柄
に見間違えたのには笑ったけれど、こんな状態になる人も多いのでは? 1 つのことばかりを考えていると、本当に妄想で頭が支配されてしまう。
「デート中にナンパ野郎が絡んでくる」というネタはやり尽くされているが、この作品で見ると新鮮です。とくに、ボッスンとヒメコとのデートなんて激レアで、今後は見られないでしょう(なぜなら……)。
最後に撮影したプリクラは、貴重な記念になりましたね。こんなキャピキャピした表情のヒメコを見られるなんて、珍しいことづくしの 1 日です。数年後に写真を見たヒメコは、同じように笑えるのでしょうかね。
ああ、こんな日々が永遠に続いたらなぁ──。
しかし、2 人は前に進んでいくのであった。
第 159 話 「燃えろファルケン!」
アニメになった記念の巻頭カラーで「カルタ取り」に興じるなんて、このマンガくらいでしょう。いや、『銀魂』も似たようなノリだった気がする(覚えていない)。
山野辺先生(とチュウさん)が出る話には、ハズレがありません。今回も笑いどころが多かった。黄(ウォン)老師から、いくつのゲームを受け継いでいるのだろう? そもそも、本当に山野辺は教師なのかが疑わしいな……。
百人一首の改変ネタはアリガチそうですが、六・三・四・五・四・五
調なんて気持ち悪いリズムを考え出すところがすごい。aiko の『カブトムシ』の歌詞から取ったのが先か、あとから気がついたのか、気になるところです。
第 160 話 「ひみつの懲罰委員会」
まさかの 2 週連続ネタで、冗談抜きで懲罰を食らいそうなムードにドキドキしました。こういう時に、椿佐介のように堅苦しい人物がいると、重圧感が倍増しますね。
スケット団がいる部室の隣には、男女それぞれの漫研があるけれど、早乙女ロマンたちは無事だったのか──と心配したりして。まぁ、ロマンの能力を使えば、火事の被害くらいは何でもなかったと思いますけどね。
懲罰委員会の面々は、『エヴァンゲリオン』に登場する人物たちと格好が似ている。これには、意味があるのだろうか……。
とくに、理事長のバイザは、ギャグとしか思えません。いい歳をしたオトナがノリノリでエヴァごっこ──としか見えない。「見えない」と言えば、ほかのモノリス連中は、完全に視界ゼロだと思う。
ふざけているとしか思えない人たちを相手に、自分の進退をかけて戦うなんて、想像するだけでも たいへんです。──あ、これって、日本の社会に対する風刺だったりして。
ボッスンも、ジャケットだけは着て かしこまった空気を出していますが、下はいつものように半ズボン(ハーフ・パンツ)だし、頭は赤角ゴーグルです。とても、真剣に反省している人間の格好ではありませんね。
なんとか処分は 学内の奉仕活動
で終わったけれど、それはスケット団が普段やっている活動なのでは……。
第 161 話 「ルームシェア・スラップスティック」
前回は『エヴァ』のパロディでしたが、今回の扉絵は、某・アニメ(自分は未見)のエンディングにそっくりです。タイトルも何となく似ている。
参考: インフィニット・ストラトス エンディング – Google 検索
しかし、この話が掲載されたのは 2010 年の 11 月で、某・テレビアニメの開始は 2011 年 1 月だから、『SKET DANCE』のほうが先ですね。──どうでもいいか……。そもそも、エンディングで走るアニメは山ほどあるし。
個人的にツボだったのは、ボッスンが折り紙をしている場面です。彼をそっと見つめるヒメコが、最高に かわいらしい! そのまま 2 人で歌い出したりして──、もう、キミタチ結婚しろよ! と言いたくなりました。
あとは、写真部のために(本当は勝負のために)モデルになろうとする 4 人の女性たちが素晴らしい。「DOS」の一言で済ませそうな浅雛が、思ったより乗り気な点もグーです。仮にも彼女が異性を意識した態度を取るなんて、初めてかもしれませんね。
第 17 巻の感想で、「浅雛は常に宇佐見を見続けている」──と我ながらするどい洞察力を発揮しましたが、この場面の宇佐見は、デージーを熱い目線で見つめている……。もう、キミタチも結ばれちゃえよ!
『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 17 巻 感想・2 : 亜細亜ノ蛾
第 162 話 「トラブル・ロール・リバーサル」
藤崎と椿の役割を入れ替えて、お互いの苦労を知る──という話でした。作者のあとがきにも書いてあるように、この 2 人の入れ替えネタは、今後も定番として描いて欲しいです。
ただ、生徒会にいるボッスンの独りぼっち感が大きくて、話が転がりにくそう。中継役のミモリンも、けっこう冷たく感じます。笑顔じゃない彼女は、近寄りがたいですね。
椿は、よくこの空気の中で生きられるな……。
「やっぱり、それぞれの役目が一番合っているね!」というオチだけれど、ボッスンの生徒会長は案外サマになっています。ちょっとだけ、安形のようなオーラを感じました。
トップにいる人間は、普段は頼りなくても、要所では力になるタイプが向いていますね。安形と藤崎はこの条件を十分に満たしていますが、椿は まだまだこれから伸びていく感じです。今回の できごとが、良い勉強になったことでしょう。