『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 4 巻 感想・4

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『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 4 巻「ガチンコ・ビバゲー・バトル」

ビバゲーバトルは終わらない。──ではなくて、感想が書き終わりません。

なんといっても、今回の対戦はロマンが出てきます。そりゃ、感想も文字数オーバですよ。

早乙女浪漫(さおとめろまん)と丹生美森(うにゅうみもり)が戦う四回戦。はたして勝者は──

──というより、対戦になるのか、まず心配です。どちらも、相手のことを飲み込むブラック・ホールというか、どんな場所でも自分の世界を展開する能力者みたいな、強力な個性ですからね──。

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SKET DANCE 4 (4) (ジャンプコミックス)
篠原 健太
集英社 2008-07-04

by G-Tools , 2008/07/07

第 32 話「四回戦 こくはく物語」

ロマンと丹生、この二人が戦うなんて、マンガとして成り立つのか? 果てしない「ボケ対ボケ」で終わらなくなるのでは?

──と思っていたら、対戦内容は、ランダムに選ばれた男性に告白し、その内容を競う、というもの。直接、二人が面と向かって戦うわけではないのですね。演技力対決なので、ロマンの圧勝! となりそうですが──。

ところで、「こくはく」が、なぜ平仮名か疑問だったけど、「ときめき」と掛けてあるのだろうか? メモって置こう(意味不明)(でも、分かるよな?)。

それにしても、思春期まっただ中の女子に、なんというゲームをやらせるのでしょうか。リアルの世界でやったら、まず「大観衆の中で告白する」というのがハードルが高すぎるし、自分が好きな男子も見ているだろうに。

でも、そこはそれ。なんせ、『スケット・ダンス』の中でも、とくに異次元に生きるお二人ですからね──。いや、それでも、ロマンは王子が見ているのに、演技のことになると、すべて忘れてできるのか。役者魂を見ました。

対決前からツッコミどころが満載ですが、普通にしている分には、ロマンも丹生も、かわいい。タイトルで「BANG!」しているロマンも、「古っっっ!」と思いつつも、ニヤニヤが止まりません。

まずは丹生からの告白。

椿よりも「空気読めない子さん」なのに、ゲームが始まると、しっかりと「ときめきモード」に入っているのがビックリ。目なんかキラキラして、「かああ ////」となったりして、「あれ、こんな子だったっけ──?」とドキドキ。

超・固すぎるご挨拶と、ラブレターというか「恋文」を手渡し、というコンボは、いまでも喜ばれる状況でないでしょうか? そういえば、「下駄箱にラブレター」っていまでもマンガでよくありますが、手渡しは珍しいですね。

女子はケータイのメールなんかで済まさずに、ぜひとも自分の手で思いを書き綴ってください。男子も。

丹生から恋文をもらった審査員の田所(たどころ)さん。たぶん、一生で一番の幸せな日だったのでは。──演技とはいえ。

丹生から発する「ミモリンオーラ」が会場に広まり、生徒会もスケット団もやられているのが笑える。とくに、安形がキュンとしているのはレアだし、スイッチのメガネが変形しているのには大笑いです。

でもまぁ──、分かる! これは、よっぽど耐性がある、榛葉くらいのモテ男じゃないと、キュンキュンくるよ。「キミ達けっこう 簡単だなあ !!!」と榛葉は絶叫しているけど──

──男って、悲しいくらい単純にできている。

恋愛をして結婚して、子どもが生まれて育て終えても──、

──カーチャンに泣きついていた幼少のころの思い出を、まだ引きずっているような、墓場まで持って行くような、そんな生き物。いつだって、「無防備なオレのすべて」を受け入れてくれる女性を待っている。

そりゃ、ミモリンオーラに敵わないよな──

──と思っていた結果がこれかよ !! という、丹生の「気持ち」に大ブーイングの男性陣。

そうそう、男はいつだって、女に裏切られて成長するんだよな──、って、そんなシーンだっけ?

とりあえず、オーラを最前線で浴びながら、冷静に終了のサインを出せる田所さんに、レギュラで出演するだけの力があると見た!(たぶん、二度と出ないけど)

そして、いよいよロマンの出番!

ここから、何度も「注意: このマンガは『スケット・ダンス』です」とテロップが必要な場面の連続です。

「告白シーンの演技を競う」という内容なのに、それ以前の「出会い」から演じる、つまりは舞台から自分で創作する、というロマン・ワールドが最初から炸裂しています。

このあたり、『ピューと吹く!ジャガー』でも見た気がするベタな演出(『ガラスの仮面』が元?)ですが、ロマンがやると、10 倍くらい濃くてしつこい。「カルピスの練乳割りソフトクリーム乗せ」を一気のみ、というくらいの、のどごし。

思わず、というか思いっきりヒメコが突っ込んで、審判に注意されているのが面白い。審判から、自由競技なのでと指摘され、ボッスンが謝る、というコンビ芸が楽しいです。ボッスンって、この先もずっと、まわりのフォローをし続けていきそう。

驚いたのが、「乙女フィルター」に「乙女ダイヤル」が付いていた所! なんと、このダイアルさえあれば、どんなアレな男子でも大丈夫という。

いますぐ、すべての女性に取り付けて欲しい機能です。

そうすれば、オ、オレだって──。

というオサーンの妄想はさておき、ロマンの演技がちっとも先に進まず、ヒメコが

「早よからめや 田所さんと !!!」

と突っ込むのがワロタ。一回戦目で、あんなに女性らしかったヒメコは、どこへ──。というくらい、いままでで一番のツッコミでした。ヒメコ、血管切れるで。

そんなツッコミも、まったく意に介さぬロマンは相変わらずですが、とりあえず付いていける田所さんもスゴい。やっぱり、準レギュラくらいにはなれるのでは? ロマンとも「エドワード」「ステファニー」と呼び合う仲だし。

そんな田所さん、判定でもやってくれました。さっきまで「ロマンオーラ」にやられていたのに、「ぶっちゃけ 好みですね」で勝者を決めてしまいます。──まぁ、そりゃ、どっちに「ときめいた」かって、好みで決めるわな……。

しかし、それをマンガの枠を破って解説するロマンは、やっぱり強い。無敵だなー。何と戦っているのか、分からないけど。

さらにその直後、先ほどの判定が不正だったことが判明します。この展開が、熱い!

何を考えているのか分からない、「何もしない生徒会長」と言われている安形が、怒りをあらわにします。

ここの演出に注目。余計なことをするな、と 3 回も言っているのですが、2 回目までは相手に聞こえない。そう、普段は冷静な人が、本当に怒っているときは、声が小さくなるものです。犬のように初めから吠えたりしない。

最後のコマは、普通だったら「ひたいに青筋」を描くところです。そうは描かず、前のコマとの連携で怒っていることを表現する、という作者のセンスを感じます。この安形は、怖い。たぶん、こうやって怒る人が、身近にいるのでは?

──その一方、ボッスンはいつものようにテンパっているのでした……。主人公、だよね──?