『バクマン。』 164 ページ 「決定と歓喜」 (週刊少年ジャンプ 2012 年 09 号)

The Akban rose and swordしのぎを削る相手は──心臓の鼓動まで聞こえる

いつもとは様子の違う新妻エイジが印象的で驚きました。彼のこんな姿は見たことがありません。どうしてドテラを被ってネームを描いていたのかが最初は分からず、「──寒いから?」などとマヌケな言葉が浮かびました。

エイジは不思議な人物ですね。

サイコーよりも社交的で、シュージンよりも思いやりがある──と思いきや、マンガさえあれば ひとりで生きていけるような悲しい強さもエイジには感じる。

その強さが いつか彼の首を絞めないか──と心配になる話でした。取り越し苦労に終わって欲しいです。

こんな嬉しいことって

サイコーの倒れる姿は縁起が悪い! 『疑探偵 TRAP』の連載中に倒れて入院したし、終了した時にはシュージンと一緒に倒れ込んでいました。──倒れて幸運を呼ぶ人もいないと思うけれど。

こうやって作品がアニメになって喜ぶ作家を、服部は何人も見てきたのでしょうね。その成功の何割かは彼の力だと考えると、編集者も幸せな職業です。

もちろん、その何倍もの失敗や挫折を、作家と一緒に味わってきたと思う。東美紀彦のように、そのまま芽が出ずに消え去っていった作家も多かったはず。

七峰との決別を、東が再出発するチャンスに変えようとした服部は、だから あれほど情熱的に協力していた。服部は今でも、東の復帰を夢見ていそうです。

──といった感慨深さが、服部の無表情には込められているのですね! たぶん。

その意味をよく

服部の言葉からすると、『REVERSI』が選ばれた本当の理由は、編集長以外は知らないようです。ここで語っていることは、あくまでも服部の考えでしかない。

普通の編集者であれば、単純にアニメ化を喜ぶだけで終わるはずです。港浦なんかは、作家と一緒に小躍りして盛り上がりそう。

しかし服部は、編集長の真意をくみ取って亜城木に激励を贈っている。なかなかマネできたものではありません。おかげでサイコーもシュージンも、もうすでに表情が未来を向いている。

そう、本当に喜ぶ瞬間は まだまだ先です。

はい 新妻エイジ

このページには驚きました──、新妻エイジがスマートフォンを持っているなんて! という小ボケは置いておいて──。

亜城木との競争に負けたからといって、こんなにもエイジが悔しがるとは意外です。かつては「ファン」だった「亜城木先生」の作品がアニメになったのだから、一緒に喜んでも不思議ではない。

現在の両者は「ライバル同士」ですが、それでも「次は負けません!」みたいな さわやかさがエイジの持ち味──だと思っていました。この努力家の天才作家は、なかなか心の奥底を見せてくれません。

どれだけエイジが『ZOMBIE☆GUN』に力を入れているかが よく分かる一場面でした。もしかしたら今までも、雄二郎や亜城木の見えないところで、エイジは悔し涙をひとりで飲み込んでいたのかも。

断トツの看板作品

おそらく瓶子のなかで、亜城木夢叶を応援する個人的な気持ちが何割かはあったと思う。その割合は、佐々木前編集長よりも多いはず。編集長という立場を利用した公私混同──とも言えそうです。

亜城木くんは まだ新妻くんに 届いていない」という言葉に、彼の素直な気持ちが表われている。たぶんエイジなら、そこから「亜城木派」瓶子の本心を読み取ったはず。

それでも、瓶子が想い描く 未来の「週刊少年ジャンプ」には夢があります! 自分は支持したいですね。正直な気持ちをエイジに話した点も好印象です。

私のミスと言っていい 判断

瓶子の判断は、結果的には最高の結果を生みました。アニメ化の勢いで『REVERSI』はコミックスの部数を伸ばすだろうし、エイジに火が点いたことで『ZOMBIE☆GUN』も追い上げてくるに違いない。

『REVERSI』の白悪魔も黒悪魔も──すべて食い尽くしてしまうゾンビのような迫力を持ったエイジは、これから どんな作品を生み出すのだろう? 彼の新境地が見られるかもしれませんね!

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