HUNTER×HUNTER No.276『卵男』 (週刊少年ジャンプ 2008 年 19 号)
タイトルの『卵男』(ミサイルマン)って何だ? ──というのが、まず気になりますね。ここに来て、新キャラ? とか。
今回は、対モントゥトゥユピー戦の続きです。前回から、まさかのナックル参戦(は していたけど)で、どうなるかと思いましたが──。まったく勝機が見いだせない このバトル、まだまだ先が読めません。
そして、いきなりリストラになったメレオロン(嘘)が、向かう先は──。
いつものように、各キャラが各キャラらしく活き活きと動く、というマンガのお手本のような回でした。外見だけ すげ替えた、中身が似たような人(というか死神)たち ばかりが出てくるマンガが、たいへん多いですからね……。
ナックルの戦術
ナックルというキャラが面白いのは、外見と違って頭脳戦が得意な ところ。
初登場の際、ゴン・キルアに決闘を挑むため、街中を大声で叫びながら練り歩く──けど、決闘の場所を言ってないので台無し、という事がありました。
──さらにその後の展開を見て、読者の大半は「ナックルは単純馬鹿」と思ったのでは? 自分は思いました。
しかし、いざゴンとの念バトルが始まると、意外にも「計算高い」戦略が得意だった、というのが面白い。
まぁ、それでも正直で裏表がない性格で、キメラアントに対しても「できれば正々堂々とケンカしたい」と思っている、ある種の甘さが、今後ハンタとしてはウィークポイントかも知れませんね。
さて、そんなナックルなので、前回の続きは「馬鹿正直に殴り合いを挑む」──では ありませんでした。
いきなり逃げ出したのには、驚いたし、笑いました。なんか、浦飯幽助と仙水忍(正確にはミノル)とのバトルを思い出します。あの、洞窟の中で泳ぎだしたところね。突飛な行動だけど、計算している、みたいな。
ref.: 幽☆遊☆白書の登場人物一覧 – Wikipedia
シュートの執念
急に緊張の糸が切れたからか、本当に限界だったのか、「奥義」の状態から転落するシュート。
もういいよ、頑張ったから寝ていなよ──、と言いたいけれど、念能力が解除されるので無理、という……。
「暗い宿」(ホテルラフレシア)で奪ったのは「目」が 1 つ。とくに、戦局に影響はないように見えます──が、この作者の事だから、あとあと重要になるかも知れませんね。奪った目を、シュートが使う事ができる、とか?
メレオロンとウェルフィン
メレオロンが走りながら考えたのは、相手次第では見つかっても大丈夫、ということ──。相手次第では。
その直後、ウェルフィンと遭遇。という、ある意味「思った通り」の展開になりました。下手をすれば、護衛軍よりも会いたくない相手ですね。
ここからの展開が、今回の一番の見所です。メレオロンの焦りと、ウェルフィンの「軍団長一の懐疑主義者」っぷりが、素晴らしくよく描かれています。
卵男
「卵男」(ミサイルマン)は、ウェルフィンの能力名でした。
この能力は「自動追尾型ミサイル」で、本編の説明を読む限り、「無敵」の能力と言っても良い気がします。質問しないと発動しない、というのが厄介ですが。
しかし、ウェルフィン自身が、自分の能力すら疑っている、というのが最高に面白い。「オレに服従するか?」とか、無茶な質問を投げかけて、完全に武器として使う事もできるのに、あくまでも交渉手段として使う、というのもウェルフィンらしくて好いです。
その懐疑主義ゆえに、軍団長として、そして王を目指す者としての器があるのですが──。同時に、疑り深すぎて、どんどんと侵入者を追い込む機会を失っている、という悪循環。
さらに、ウェルフィンが「真の王」ではなく、「影の王」を目指す理由が興味深いです。機会と場所があれば、いくらでも良いリーダになれた人──蟻ですね。
まとめ
「10 週連続掲載」という、冨樫先生しか発動できない能力(笑)も、折り返し地点を過ぎました。
「コミック 1 冊分を まとめて発表して、再開の直前にコミック発売」というのも、案外いいような気がしてきた、今日この頃。──まぁ、読めなくなったり、中途半端に中断されるよりは、ですが。
今回のラストで、メレオロンがゴン・キルアと合流しましたが、よく見るとキルアに「神の共犯者」が発動してますよね? これが、どう つながってくるか──。
先が読めない展開が続いていますが、先を読ませないまま、永遠に続いて欲しいなぁ……。