『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.7 「これから」
記念すべき第 1 回目の人気投票が行なわれました!
結果は第 1 位のキルアと 2 位のクラピカが断トツで、3 位のゴンよりも 4 倍以上の票が入っています。4 位にヒソカ、5 位にレオリオ──と順当な結果で、票を入れたファンの層が目に浮かぶようですね!
これがインターネットの調査だったら、ハンゾーやミルキが上位を独占して、「フ」の付く女子が涙目──となったに違いない。
Yahoo! ショッピング: HUNTER×HUNTER 7
Reviewer: あじもす @asiamoth,
No.055 「ヒソカは…」
なんの前触れもなく現れた この女の子は、ヒソカの きょうだいか恋人かと思いました。外見からすると和風で、『幽☆遊☆白書』の住人のようにも見えます。
初登場の人物なのに、いっさい名前を明かさないところがニクい。普通だったら、いくら不自然になろうとも名前を連呼しますよね。ベラベラと素性を語ったりして、どんどん薄っぺらな人物になっていく。
彼女が使う「念糸縫合
」(ネンしほうごう)という精密で乱暴すぎる治療技があったから、ヒソカもムチャが出来たのかな。もしも「あ 急用を思い出した」とか何とか言って、途中で帰られたらどうしたんだろう。
「伸縮自在の愛
」(バンジーガム)と「薄っぺらな嘘
」(ドッキリテクスチャー)というヒソカの能力が明かされました!
しかし、説明を聞いてもピンと来ないというか──「ショボくね?」と当初は感じました。ただ、その後の解説を聞くと、ヒソカの用意周到さが あってこその能力だと分かる。
前の巻でウイングが「ハッタリの語源」について語っていました。ヒソカのハッタリは、「発」だけで終わっていない。使い方しだいで いくらでも応用が利きます。
ヒソカは語尾にトランプのマークが付く。あまりマークの法則性は ないように感じるけれど、この女性と話している時には、すべてハート・マークでした。食事にも誘っているし、本当に好きなのでしょうね。
てっきりヒソカは「ゴンやキルアのような子」にしか興味がないのかと思っていたから、ちょっと残念(はぁと)。
ヒソカは「幻影旅団」の団員だったのか!? と思わせて、じつは入れ墨は偽物だった──という手の込んだ演出が興味深い。「ドッキリテクスチャー」は触ればバレるけれど、さすがに背中を触れられる状況は めったにないでしょうね。
──いや、もしかしたら先ほどの女性と食事をともにしていたら、そのあとで(以下、続きは『To LOVEる ダークネス』で!)
No.056 「修行開始」
ウイングは、人気投票で 10 位に入れなかった恨みをどうやって上位の 2 人に ぶつけようかと目論んでいる──わけもなく、良き先生として指導をしてくれました。まったく名前が載っていないズシに失礼だし。
ゴンもキルアも すでに大金持ちだから、じつはウイングに高額の授業料を支払っているのかもしれない。そうでもないと、ウイングとズシは どうやって宿代を稼いでいるのか疑問が出てきます。
──あ、そもそもウイングも 200 階クラスで戦える実力があるだろうから、過去にファイト・マネーを稼いだのかもしれませんね。それなら納得ができるかな。
- ウイング
- 「──よし 次のコミケでも爆売れする同人誌が描けたぞ!」
- ズシ
- 「師匠…… もうベタ塗りはイヤっス!」
ゴンの小指に巻き付けた「赤い糸」──もとい念を込めた糸は、ウイングの性質からすると不思議な気がします。どんな念を使ったのだろう?
もっとも不思議な点は「ビデオで録画できる念」です。
たとえば赤外線式のリモコンは、ボタンを押しても「光が飛んでいく様子」は人間の目に見えない。ところが携帯電話のカメラ撮影モードでレンズを向けると、ハッキリと「赤い光」が目視できる(試してみよう!)。
これと似た仕組みで、ビデオで撮影すると誰にでも念が見える──のであれば理解できます。そうではなく、ビデオ映像から「凝」で念を感じるのは、どういう理屈なのだろう。触れてはいけない領域ですかね。
ふと思ったけれど、念能力者だけに見える「なんとかビデオ」も作れるよな……(ごくり……)。
まゆ毛が太いズシが「凝」を使っている場面は、どう見ても昔のスポ根マンガで面白い。この場面のためだけに彼の容姿を決めたのかも。
この根性が燃えているような表現は、いまでは『家庭教師ヒットマンREBORN! リボーン』の「死ぬ気の炎」として、スタイリッシュ・バトルに生まれ変わっている。このトレンドは、あと 10 年は続きそうな気がします。
ウイングの教え方は本当に分かりやすい。ヒソカが試合で何をしていて、それに対して どうするべきかが、ゴンやキルアと同様に念を知ったばかりの読者にも、スラスラと頭に入ってくる。
あいかわらずシャツの裾が片方だけ出ているウイングですが、その抜けているところも親しみやすい。「計算で やってるんだよ!」だったら面食らうけれど。
一番好きなウイングの教えは、下の引用文です。「修行」を勉強や部活動に置き換えたら、そのまま学校での教育になる。いや、それ以上に実りある人生の勉強ですね。彼のような先生に出会いたかった……!
できるだけ 自分の器を 大きく育てなさい
そのための 修行なのです ガンガン鍛錬に 励みなさい
そして 同じくらい 遊んで人生を 楽しみなさい
ゴンとキルアだけではなく、まだ 90 階で ウロウロしてる 程度
のズシですら、「お客さん
」に気がついた。よっぽど強い殺気が向けられていたのか。
200 階に着いたばかりの時には、この不気味な連中には勝てなさそうだった。ところが今では、キルアは憎まれ口を叩いている。ここからも成長を感じます──が、いつでも彼は口が悪いですけどね。
No.057 「約束」
扉絵のキルアが格好いい! 映画のポスタみたいです。これは暗殺稼業を手伝っている時の記憶か、あるいは「イメージ映像」か──。たぶん後者でしょう。
ゾルディック家の人間が、わざわざ暗殺に銃を使うとも思えません。なによりも、サイレンサ(消音器)を付けずに現場へ行って、枕を替わりにするはずがない。「素人の犯行」に見せかけた可能性は あるけれど。
ゴンとキルアは念を覚えてから まだ日が浅いのに、もう「先輩」のズシを追い抜きつつある。コミカルに描いてあるけれど、この時のズシの心境を考えると──、ちょっと かわいそうですね。
師匠のウイングも、ゴンとキルアのように「打てば響く」人間を教えるほうが、ズシよりも面白いのでは? ──いや、違うかな。ズシのように粘り強く成長する弟子じゃないと、自分が育てた感じがしないかも。
ズシが ひとりになったところを襲うサダソたちは、卑劣にも ほどがある!
──のだけれど、車いすの男・リールベルトのヒザで眠るズシが妙に かわいらしくて笑えてきます。まるで腹話術の人形みたいで、これが彼の念能力に見えたりして。
3 人がズシをさらう前から、そのことをキルアは知っていたかのように見える。しかし、事前に情報をつかんでいた──という描写はありません。
おそらくキルアは、彼らの邪悪な気配を感じ取っていたのでしょう。さらには暗殺の仕事をしていた時に卑怯な悪者を山ほど見てきたから、事前に察したのだと見ました。
キルアは事を荒立てないように、そして自分ひとりで全部背負い込むために、ウイングたちの前で嘘をつく。ハンター試験中は一匹狼のような感じだったのに、じつはレオリオよりも面倒見が良い。
この「他人の苦労も背負う」キルアの性格は、「ジャンプ」マンガの主人公たちに ほぼ共通しています。ゴンの「なんでも努力で乗り越える」性格も 1 人で備えている主人公が多いなか、『H×H』は 2 人で 1 人という感じがする。
キルアとゴンが「凝」を使えるようになったことは唐突だけれど、おそらく前日の夜に部屋へ戻った後で鍛錬を続けていたのでしょう。
並の十代よりは何倍も人生経験が豊富な彼らでも、生まれて初めて知った世界の広がりは、とても新鮮だったに違いない。「井の中の蛙」で終わらずに良かったですね。
「急に ムラムラと 戦いたくなってさ
」というゴンの言葉が面白い。なんだか違うことを想像してしまう──なんて人は居ませんか!?
ウイングにとっても、急成長する弟子たちの戦いが早く見たかったはず。師匠らしく自制心が強い彼も、だんだんとゴンとキルアに影響されてきている。
「修行と息抜きと 睡眠の時間は 等しく とるように
」というウイングの忠告は、これまた学生たちに向けた言葉に聞こえます。
つまりは、「オンライン・ゲーム(修行と息抜き)は 1 日 16 時間まで!」ということですね、冨樫先生!
ゴンは わざと負ける
ことをガマンできる
と言っているけれど──、彼が誰よりも負けず嫌いなことは、ゴン自身もキルアも読者も知っている。
キルアが裏で動いているのは、じつはズシのためではなく、ゴンのためだったのか──と分かります。「キルアはゴンの世話役」という役割分担が、この段階で しっかりと固まっている。
苦労の絶えないカップr ──コンビですね!
サダソが背後から真っ二つにされた! ──と感じるほど、キルアが放つ殺気は強烈だったようです。ほかのマンガでも似たような作品は目にしたけれど、週刊連載で読んでいた当時はシビレました! さすが、人気投票 1 位の実力者ですね。
悪魔の申し子みたいなキルアの表情も素晴らしい!
No.058 「再戦」
いかにも「少年マンガの主人公たち」という感じの扉絵が明るくて良いですね! その右隣に描かれている連中のせいで、けっして すがすがしいバトルではないけれど、すこしだけ柔らかな空気になっている。
『H×H』のテーマの 1 つが、「少年マンガであることを忘れない」なのかな──と感じました。──だからといって、安心して子どもに読ませられる作品ではないけれど……。
フロアマスターになって富と名声を得ることが、リールベルトたちの目的だったらしい。小悪党の発想は、いつの時代でも単純で分かりやすいですね。
しかし、200 階へ来るまでの間に彼らは数億円を得ているはずだし、念を使えるだけで金の稼ぎようがあるはず。ただ、体にハンディを負っているから、今のうちに稼げるだけ稼いでおきたいのでしょうね。その点だけは責められない。
ふと気がつくと、いつの間にかキルアが室内にいる。──これは『幽☆遊☆白書』でも見た表現です。リールベルトとギドは、キルアとの実力差が圧倒的に開かれている。
これは「念」うんぬんではなく、キルアが暗殺者時代に仕込まれた体術によるものでしょう。彼自身は「仕事」のことを忘れたいのに、彼を生かしているのは暗殺術である──。皮肉が好きな作者らしい設定です。
ゴンが釣り竿を使うと聞いてウイングは納得しているけれど──、試合の前には使用法が分からなかったはず。おそらくギドと同様に、体に引っ掛けて倒すのかと思っていたのでは? そこからの創意工夫を期待したのでしょうか。
前回のゴンとギド戦のことは、「3.11 決戦
」と語られている──。そう言えば、まるで昨日の出来事のように思い出せるけれど、そんなに日が経っていたのか……。いろいろと結びつけられそうだけれど、やめておこう。
東北地方太平洋沖地震 – 自粛するよりも募金しよう | 亜細亜ノ蛾
ギドは「散弾独楽哀歌
」(ショットガンブルース)という(ムダに)格好いい名前の技を持っていた! ──まぁ、たんに相手へコマを飛ばしただけですけどね。なぜ前回の戦いでも使わなかったのだろう。手加減したのかな。
ゴンが正面から受けたコマは、いったいどこへ消えてしまったのか。コマは念ではなく実体だから、そのへんに破片くらいは散らばっている可能性が高い。
じつは、そのコマの破片を自在に操る「奔放独楽狂詩曲」(ボヘミアンラプソディ)こそが、ギドの最終奥義だった! ──なんてことは なかったですね。
ギドよりも圧倒的な実力を見せつけたゴンだけれど、釣り竿で床の石版を釣り上げる芸当は──いくら何でも針や糸が強靱すぎる。──あ、くじら島にいた沼の主の釣り上げた時点でツッコミを入れるべきだったか。
こんなにも頑丈な釣り竿は、並の市販品ではなく、父親──ジンが残した大切な品物だと見ました。ゴンがずっと大事に持っているくらいですからね(「いまのところは」という前提付きで)。
バトルのシメは、鉄製の義足をブチ折るという──作品を離れた視点で見ると危険な描写でした。ウイングもヒソカもニンマリ見ているし……。それ以前に、3 人の小悪党の描写自体にクレームが入っていそうです。
キルアが 200 階クラスで戦うのは初めてなのに、リールベルトとのバトルがメインイベント
なのは なぜだろう? 今までの戦いを評価されたのでしょうか。
それよりも、リールベルトのほうがギドよりも格が上だから──という理由かもしれませんね。これまでの描写ではサダソがリーダ格っぽかったけれど、彼は もういない。2 番手がリールベルトだったのだと思う。
キルアやゴンの前では、その格付けも空しいけれど。