バクマン。 #35-2 「嬉しさと寂しさ」 去る服部と感謝する亜城木

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『バクマン。』 35 ページ 「嬉しさと寂しさ」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 22・23 合併号)

Ilford Sportsman (by Dr Craig) (by Dr Craig)

港浦がジャンプの編集者らしく、荒木飛呂彦の名セリフ(?)を言う。

ああ、そんなのあったね – 2ちゃんねる漫画用語辞典Ver.4.0(仮 @Wiki – あ行

──という事ではなく、たんなる無神経な発言である。「そんなこと ありましたね」、と。

極端な体育会系の人間として港浦を描いているが、編集者には こういうタイプが多いのだろうか。

そういえば服部だって、どちらかと言えば「上下関係をキッチリ」「横同士のつながりを密に」という感じに見える。

作家と違って文章で食っているわけでもないし、マンガ家の原稿を何日も(張り付いて)待ったり、確実に編集部や印刷会社へ原稿を届けることが仕事なので、スポーツマンタイプの編集者が多いのかもしれない。

港浦 頼む

服部は亜城木夢叶の仕事場から立ち去る。この場面は光と影を強調して描いてあって、興味深い。服部が歩んでいく方向には、彼にとって良いできごとが待っているのだろうか……。

ひとの気持ちに対する感覚が鈍いようだが、服部の訴えを亜城木に伝えるところを見ると、港浦にも ちゃんと先輩思いのところがあるようだ。根はいいヤツなのだろう。

この、やる気だけは ありあまっている編集者を見ていると、なんだか『アイシールド 21』が頭に浮かぶ。真正直な性格と風ぼうは中坊明(なかぼう あきら)に一番似ているが、そうではなく、なんというか村田雄介さんがよく描きそうな感じがする。この感覚、伝わっているだろうか?

アイシールド21の登場人物 – Wikipedia

頑張れ 亜城木夢叶

去りゆく服部に向かって、サイコーとシュージンは頭を下げて礼を言う。いい場面だ。

このシーンでは とくに、サイコーの変化を感じた。

服部と初めて会った「8 ページ」の真城を見てみよう。なんともイヤなガキ、である。服部をまったく信用していない。

それに、比較すると高木のほうが行動に移るまでが早かったのに、今回は真城が真っ先に服部を追いかけている。

どれほどサイコーが、そしてシュージンが、服部へ感謝の気持ちを伝えたかったのか、よく分かった。

それに対する服部の言葉は、たった一言である。しかし、2 人に言うことが、これ以上に あるだろうか。

服部:
「面白いマンガ 読ませてくれ」
プロの厳しさ

服部さんは 絶対当たり だったと思うとシュージンが嘆く。その通りだろう。しかし、別れた直後に担当者としての能力について振り返るあたりは、イマドキの若者らしく現実的だ。

自分は、友だち以外の人間とは親しくできない。正直に言えば、同僚や上司は信頼もしていないのだ。表面以上に、心の中ではビジネスライクに乾いた風が吹いている。あまり尊敬できる人と出会わなかったからだろう。

真城と高木は、よい時期に服部と巡り会った。2 人とも学校では信頼できる教師がいなかったようだが、ある意味では、服部が人生の師だ。いや、これからも、マンガを人生を学ぶ人間と会う事だろう。

2 人の若さが うらやましい……。あ、これからは 3 人か。港浦は、とても 23 歳には見えないが。

コメント

  1. 神速 より:

    服部さん格好良すぎます!!

  2. asiamoth より:

    そうそう、服部は本当に格好良かったですね!
    (一昔前の)男のロマンと美学を感じさせる本作品らしい去り方でした。また服部に会える日を信じて、さらば!