『バクマン。』 49 ページ 「リコールとコール」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 37・38 合併号)
今回の感想の範囲では、とにかく佐々木編集長の態度が謎でした。いったい、どんな考えをもっているのか……。
いや、普段の自分は、人から「○○くんは何を考えているのか分からない」と言われるたびに「君はテレパスなのか?」と反論したくなるアマノジャクです。他人が考えている事は、完全には理解できない。
だからこそ、人の考え・気持ちは想像するしかありません。他人を理解しようとする、それが思いやりというものでしょう。
それでも、今回の佐々木には、理解される事を拒絶しているような印象を受けました。
よくないだろ
雄二郎は面白いじゃないですか
という意見ですね。人間としては楽しいヤツですが、編集者──サラリィマンとしては立場があやうそう。
ただ、今回は、相田のように作家を脅すような言動をするよりも、編集長へ話を通す方向が正しい。
よく考えると、「ファミレスにノコノコやってきて『ボイコットをやめろ!』と言うだけ」って、どんだけ無策だよ! と言いたくなります。
結果的に、ボイコット組と担当の編集者たちは、平行線のまま話し合いが終わりました。しかし、それでも双方には「面白いマンガを作ろうとする仲間」という感じがします。単純な仕事だけの かかわりでもなく、友だちでもない──面白い関係ですね。
マンガ家 なんだね
意味ありげに隣のおじいちゃんが登場しました。これは、今後の展開の重要な鍵となる人物か !? ──ということは、ないでしょうね。サイコーのおじいさんも、かなり重要っぽく見えましたが、まったく姿が見られません。
全力を尽くしたからなのか 悔いはない
という言葉が心にしみました。
思うに、どんなことでもいいから、あの頃が 一番楽しかった
という時期を持つことが大切です。「どうやって?」は自分で考えてもらうとして……。
自分にも、楽しかった時期がある。いま冷静に思い出すと、ツラかった思い出にすり替わりかけているけど、でも、そのときは楽しかったんだ。その思いだけで、これから先も生きていける。
何もかもアイマイに書いていますが、とにかく、自分が楽しめることを一所懸命にやりたいものです。──そう、「一生」じゃなくて、「一所」に全力を込める!
班長が 2 人揃って
すごい団結力を感じました
と真剣な表情で語る吉田──には悪いけれど、どうしてもあのコピペを思い出します。
すごい一体感を感じるとは (スゴイイッタイカンヲカンジルとは) – ニコニコ大百科
たぶん、編集者たるものマンガや書籍・新聞・ネットからの情報収集を欠かさないだろうから、吉田も言った瞬間に「あ──オレ、格好つけて言ってるけど、コピペみたい」と思ったに違いない!
お前達の仕事
編集長の返答にはビックリです。これだけの緊急事態なのに、一度 決めた事
って……。なんの説明にもなっていない。私の責任
と分かっているのなら、代替案くらい考えるべきだ。
──どうなんでしょ? この時点では、佐々木編集長は「何とか説得すればボイコットを止められる」と思っていたのでしょうか。それとも、「カネ(原稿料・印税)やってるんだから、描くのが当然だろう」とか……?
さんざんヒネくった上で、分かりやすい落し所を見せる展開──たとえば、『H×H』の「ヨコヌキ」の回が自分は好きです。なので、今回の佐々木のガンコなそぶりも「──そういうことだったのか!」というオチが欲しい……。
『ハンター×ハンター』 10 巻の密室にジャンプキャラが挑む! : 亜細亜ノ蛾
不可能ではないかと
服部の訴えに対しても、同じ事を繰り返す編集長を見ると、(『バクマン。』世界の)ジャンプの行く末に不安を覚えました。
「アンケートの結果で掲載する順番をコロコロと変えて、人気が落ちたら あわてて路線変更」という雑誌の編集長が、決めた事
に こだわり続ける──。どう考えても、おかしい。
ちょっと、佐々木の思考がトレースできません。瓶子と佐々木の会話もイヤな感じがします。
──あ、そうそう、もうすっかり感覚がマヒしましたが、「これを週刊少年ジャンプに載せている事」自体がすごいですよね。いちおうは「架空世界のジャンプ」の話とはいえ。
そう思って読み返してみると、おなじみの「この作品はフィクションです」という決り文句は、作中のページのどこにも書かれていません。
──もしかして『バクマン。』って、実話なのでは……(ゴクリ……)。
(答え: 巻末の左下を見よ)