『バクマン。』 113 ページ 「不得意と心掛け」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 02 号)
恋愛は片想いが 基本
という言葉が出てきました。
これは、マンガや小説などの創作物では鉄則でしょうね。そう言われてみると、「両思いのカップルを描いた人気の作品」と言われても、パッと思い浮かばない。
──『ラブラブファイヤー』くらいかな?
現実世界の恋愛も、片思いのころが苦しくて楽しい。甘酸っぱい思いが続くのは、つきあい始めた直後まで──だったりします。
サイコーと亜豆との付き合い方は、恋愛の甘酸っぱい期間を延ばすためには、良い方法なのかもしれませんね。極限まで、1 つの思いを引き延ばす──。
──「藍染隊長法」と名付けましょう。
参考: 【ネタバレ注意】漫画『BLEACH』の藍染惣右介さん、ここにきて再び変身。
駄目だ ……
亜城木夢叶の持てる力をすべてつぎ込んだ力作──が 9 位
という展開は、なんだか懐かしい(『バクマン。 (7)』 p.129)。サイコーとシュージンにとっては、二度と思い出したくなかった感覚でしょう。
サイコーや服部が言うとおり、天下の「ジャンプ」本誌で上位 10 位以内を獲ったのは、読切としては そんなに悪い 順位じゃない
のです。
しかし、亜城木の目標は、そんなに低くない。
平丸くん おめでとう!
右のページとは温度が段違いですね……。
平丸が天才であることは何度も書いてきましたが、彼の才能には限界がないのでしょうか? あれだけ手を抜いたイーカゲンな読み切りで 3 位
になるのは、異常です。
異常(アブノーマル)だから、天才と言うのだけれど。
「ラッコ・ルーム」(?)で自分が生み出した『ラッコ 11 号』のキャラクタに囲まれた平丸を見ると、彼の作品が「自己投影型」であることがよく分かります。よっぽど自分のキャラが好きなのでしょうね。
ようするに、ナルシストということ。
このあたりも、亜城木コンビとは正反対の平丸です。そう言えば、サイコーが「シリアスな笑い」を(鈍感な港浦に)説明する際、『ラッコ 11 号』の一場面を参考に出していました。
これからの亜城木は、平丸から学ぶべきでは?
どれだけ平丸から作風を学んだとしても、人気 獲っちゃったって 事ですか?
なんてセリフは、彼以外には言えないでしょうね!
春だなあ
自転車をこいで川沿いまで行って、2 人並んで日向ぼっこ──。サイコーとシュージンが、大昔から好んでいるスタイルです。
河原の斜面で寝転んでいる場面が、今回は妙~~~に長くて、ちょっと笑ってしまった。知らない人が見たら、「エエ若いモンが働きもせんと!」と思うでしょうね。実際は、結構な高給取りですケド。
恋愛読切祭の結果は、蒼樹の圧勝です。平丸もすごい。
でも、一番インパクトがあったのは、平丸とわずかな差の新井先生です。ベテラン作家が久しぶりに書いた恋愛マンガなのに、これだけ評を集めるとは……。編集者も本人も、この順位には手応えを感じたはずです。
『バクマン。』は、新井貴作の成長を描く作品である。
福田が恋愛マンガ向きではないことは分かっていましたが、岩瀬が最下位なのには驚いた! 岩瀬の原作が悪かったのか・絵柄の問題なのか、この時点では分かりません。おそらく、絵に問題があるのでは──と自分は思った。
票が取れなかったのは、巨乳をやめたからでは……。
真逆と思ったけど
サイコーが原作者としての一面を見せたという展開は、今後につながるのでしょうか?
いままでも、シュージンの原作にサイコーは改善案を示してきました。これからは、よりいっそうのアドバイスをサイコーがする──とは思えません。シュージンの立場がなくなる。
あり得そうな展開としては、「亜城木夢叶っぽくない
作品」を、もう一度サイコーが描くことでしょう。読み切りのネームはサイコーが描き、連載はシュージンが作る──という感じ。
ただ、白鳥の『恋太 & ピース』の時みたいに、シュージンが他人の原作を描くことは、今後はなさそうな気がします。
そうなると、あくまでも亜城木夢叶の作品として、サイコーとシュージンが別々に原作を描く──といった展開でしょうか。どんな状況だ。
今回の一連のドタバタは、「──そんなこともあったね」という青春の一ページで終わりそうな気がする……。
おかげでもう 1 本
サイコーが原作を描いたことのメリットは、案外すくなかった。しかし、作画のスピードが上がったことは、今後も生きてきそうです。
時間に余裕ができれば、心にもゆとりが生まれるはず。
そうすれば、お世話になった人への恩返しや、他人に対する思いやりが、サイコーにも芽生え──ないだろうなぁ……。せめて、服部や港浦には、お歳暮や年賀状くらいは送っていて欲しい。
亜豆と早く 結婚したい?
とサイコーにシュージンが聞くのは、なんだか妙な気がします。何を急に言い出すのだろう……?
たしかに第三者から見ると、サイコーも亜豆も、結婚を急いでいるようには思えません。上で書いたように、恋愛期間を意図的に長く取ろうとしているようにも見える。
サイコーと亜豆はお互いに、本当は早く結ばれたいのだと思う。「アニメ化したら──」という条件づけも、お互いの思いを強めるためです。
ただ、この 2 人の結婚生活が想像できない……。