『バクマン。』 113 ページ 「不得意と心掛け」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 02 号)
今回は何と! 新妻エイジの初恋の相手が登場します!
ここ最近で、一番ビックリしました。英語にするとやたらと長いタイトルになる「人気作家恋愛読切祭」の結果なんて、頭から消し飛んだくらいです。
マンガ家としてのエイジしか、読者は知りません。もっとほかの面も見てみたい……!
結構 面白い
同じ新妻エイジの恋愛読み切りを読んで、評価がハッキリと分かれる。この見せ方が面白い。
前回のラストでは、シュージンの感想しか聞けなかったので、てっきり「誰が読んでもエイジの恋愛マンガは面白くない」のかと読者は思わされた。サイコーは驚いていたけれど、自分たちの作品との比較をしただけではないか、と。
ところが今回の話を読むと、「面白くなかった」という意見は、シュージンと加藤だけでした。マンガ好きがこれだけ集まっていて、この違いは何だろう……?
──いま、あまりにもベタすぎて、書くのをためらう「違い」を思いつきました。こういう理由ではない──よなぁ……。
「メガネを悪く言う場面が出てくる」
恋愛読切祭という 企画
読み方で 感想も違ってくる
──と服部は言う。思い当たるところが多くて、深くうなずきました。
たとえば、バトルマンガとして『BLEACH』を読むと、技の名前を叫んでいるだけで迫力がないし、毎回同じで面白くない。しかし、キャラクタたちが好き勝手な行動を取る場面は、そこそこ面白い(似たようなキャラばかりだけど……)。
『HUNTER×HUNTER』は最高に面白いけれど、「ウチの子どもは『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』が好きなんです」と笑う親御さんに、「こちらもどうぞ」と気軽には勧められないでしょう。
『魔人探偵脳噛ネウロ』は、「本格的な探偵物」としては読むべき部分はすくないけれど、あの独特のふんいきは、この作者にしか描けません。
こういう作品の読み方は、例を挙げるときりがない。
新妻エイジのように、バトルマンガは面白いけれど、ほかのジャンルが弱い──といったマンガ家は多いでしょう。「ジャンプ」にバトルマンガを描いているマンガ家の中で、恋愛マンガも読んでみたい人は──久保帯人先生くらいかな。
ほとんどの作家が、特定のジャンルしか描けないと思う。得意 不得意
は、あって当たり前です。あらゆるカテゴリィの作品を発表して、ことごとく面白かった作家となると──やはり、手塚治虫先生になるのでしょうか。
ところで、このページの加藤は調子に乗りすぎ。
人気は取れるかもしれないが
大方の予想どおり、『LOVE 力 A to Z』は順位が伸びませんでした。こうなると、服部からも「ささやかな時」の方が 面白いと思う
と言われているし、亜城木夢叶の読み切りに期待がかかります。
このページの順位表は、見どころが多い。
福田の『ロードレーサー GIRI』が、『PCP』よりも順位が上とは意外です(失礼)。というのも、亜城木たちがまったく話さなくなったために、福田の印象が薄くなっていました。さすが「福田組」の組長だけあって、がんばっているなぁ。
「ジャンプ」では長い間、レースのマンガを見ていません。スポーツマンガの一種と考えれば、人気が出そうな気がするケド。
──と書いていて、「いま、スポーツマンガって人気あるのか?」と疑問に思った。『黒子のバスケ』も、違う層(「ふ」)に人気がありそうだし。
高浜の『正義の三肩』も、いい順位に付けていますね! 個人的に、高浜は強く応援しています。出番がないけれど、元気でいるだろうか?
これまたクール(冷たい)亜城木夢叶だけに、一番弟子のことをまったく話さない。サイコーもシュージンも、自分たちの将来しか見ていないのだな。──あ、それは誰でも同じか……。
静河流の『True human』まで上位にいるのは、すこしだけ作為を感じます。一時期、落ち目だった気がする。
人生経験によって、描くマンガの面白さが決まる──とは限らない。これが、今週号のテーマの 1 つでした。とはいえ、世間を何も知らないよりかは、知った上で自分なりに描いたほうが良いはずです。
山久の献身的な努力によって、静河も人並みの経験を積みました。いまの静河は──すっかり毒気が抜けて、普通の好青年になっていたりして。異常な作品を描く人ほど、いい人に見えたりしますからね……。
大スベリは してない
今回、もっとも衝撃的だったページです。
なんと、あの新妻エイジに好きになった 女の子
がいたとは……! まぁ、小学生の時
だし、微笑ましい記憶ですケド。
外海時江
さんは、「ジャンプ」の看板作家で大金持ち・イケメン(のはず)のエイジに好かれていたなんて、夢にも思っていないのだろうな……。
もっと重要なことは、それ以来 好きになった子
がエイジにはいなかった──という申告です。エイジに「女の子を好きになる」なんて感情があったこと自体がビックリなのに、対象がたった 1 人というのも深い。
作者としては、「子どものころの淡い思い出」という「面白いエピソード」として描いたのだとは思いますが、見方によっては──エイジは本気で好きだったようにも思えます。彼女以外は見ていない──とも取れる。
雄二郎の発言にはエンリョがない。
新妻くん 恋愛経験ないだろ
(見くだしながら)とか、もっと恋愛してからだな
(あきれながら)などと、きついことをサラッと言っている。
うーん──、普通にパワハラ・セクハラなのでは?
言われたエイジは深く傷ついたせいか、くやしい ですっ
とギャグもすべっている(ギャグじゃないよ)。
蒼樹さん 2 位ですか
「ジャンプ」本誌で恋愛マンガが 2 位を取るなんて、蒼樹紅はすごい! いままでの情報では、『神様がくれた…』にはエロイ描写もない(すくない)はずなのに……。
そう言えば蒼樹もまた、「亜城木たちがウワサをしなくなった作家」の 1 人です。「亜城木夢叶から遠ざかると、作品がヒットする」という都市伝説が成立しそうな気がする。加藤の「さげま■」よりも強力かも。
今回の感想は、ここまでです。なかなかキリの良いところで終わりだけれど、もう 1 位か 2 位じゃないと
──という時の結果って、なんだか先が読めてしまうなぁ……。